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それでもよろしければどうぞ。
#1 #2 #3 #4 #5 #6 #7
朝、6時。
チャイムが鳴る。
玄関を開ければそこには土方さんの姿。
早朝なのに土方さんは土方さんだ。
土方さん、朝から爽やかだなー…。
私はまだ頭起きてないのに。
「オハヨウゴザイマス…」
「おはよーさん。準備は出来てるか?」
歩み寄ってきた土方さんは私を見下ろして私が持っていたスポーツバッグを奪い取った。
「ええ!持ちますよ!…そっか…本当だったんですね…」
「あ?夢だと思ったか?さ、行くぞ。さっさと乗れよ」
「あら、先生!おはようございます!宜しくお願いしますね」
「おはようございます。いきなりの申し出を引き受けてくださった千亜さんに感謝してます。
娘さん、一週間お借りします」
頭を下げる土方さんに母は声高らかに応える。
「いえいえ、こんな娘で役立つなら。そのまま一生先生に預かっていただいても構いませんよ」
「お か あ さ ん!!!余計なこと言わない!じゃあ行ってくるね。ほら、行きますよ!」
私は土方さんの腕を引っ張って歩くように促した。
嬉しそうな母に軽く挨拶した土方さんは車に乗り込み、私も助手席に乗り込んだ。
乗り込んでしばらくは車内は静かで。
でもそれは心地よい空間で、ガラス越しに柔らかい朝日が差し込む。
私が小さくあくびを噛み殺せば、「眠いか」と少しの笑いを含んだような土方さんの声。
「すみません」
「ぃや、いい」
運転席に視線を向ければ、交わった視線は優しくて。
妙に気恥ずかしくなってしまった私は思わず視線を逸らした。
「学校集合でそこからはマイクロバスで移動だ」
「あのー、行き先はどこです?」
「あ?長野の○○高原だ。お前も行っただろ」
「そっか、あそこかぁ」
「宿の源さんとこには世話になってるからな」
「うわ、懐かしい名前ですね!」
土方さんと話しながらようやく頭が働きだす私。
過去に参加した合宿の様子が脳裏に甦ってくる。
赤信号で停まった車。
土方さんは自分の鞄から冊子を取り出す。
「お前にも渡しとく。日程表だ」
懐かしい…。
そう思いながらパラパラと捲って、スケジュールを見れば少し口元が引きつる。
「うっわぁ…。相変わらずハード」
「やるからにはこれくらいやらねぇと合宿じゃねぇだろうが」
そう言った土方さんの顔を見れば、口角を上げていた。
「うわー…。嬉しそう」
「生意気な奴がいるんだよ」
鼻で笑った土方さんに私は部員達に少しばかり同情を覚えた。
「懐かしい…」
土方さんの車が高校の門をすり抜けていく。
懐かしい光景にどこかくすぐったい感覚。
まさかこの歳で合宿に付き合うとは思わなかったな~なんて。
どこか浮かれながらもその風景を眺めた。
駐車場に車を停めて、自分の荷物と合宿で使う荷物を持てるだけ持つ。
「行くか。馬鹿な連中ばっかだが一週間頼むな」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
向かい合って改めて挨拶をすれば、どちらからともなく笑みが零れた。
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次はようやく生徒たちが出てきますよ~w