薄桜鬼・現パロ【Love the Spiral】(土方・原田)#24 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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設定無視、キャラ崩壊などご注意を。


それでもよろしければどうぞ。





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朝食の配膳が終わったのは7時20分ごろ。

ふうと一つ息を吐けば、入口から届いた声。




「千ー亜ーさーん」


「沖田くん。朝練お疲れ様」

私が声をかければ、身体全体で溜め息を吐くように少しオーバー気味な仕草をしながら
歩み寄ってくる。


「うん、ホントに疲れた。あの人、鬼。ね、もう座っていい?」


「うん、どうぞ?」


「食べちゃっていいかな?」


「だーめ。先生たち来るまで待ちなさい」


「…千亜さん、エプロン姿可愛いね。僕のお嫁さんにならない?」


沖田君の言葉に椅子の足に自分の足を引っ掛けてガタンと音を立てた。

テーブルに肘をついた沖田君が私を見ながらニコニコと笑っている。



「な、何言ってんの?!」


「総司、高橋さんを困らせるな」

振り返るとそこには呆れたような表情をした斎藤くん。


その後も食堂にぞろぞろと入ってくる部員の子たちに挨拶をしながら考える。


最近の高校生は恐ろしい。ませてる。


あ、でも左之もこんなことしょっちゅう言ってたような気もするな。

そんなことを思い出して、思わず笑みを浮かべてしまった自分にドキリとする。


私の中で左之は…。



「全員揃ってるかー」

飛び込んできた土方さんの声に私は我に返る。


急いで千鶴ちゃんや一年の子達に手伝ってもらいながら味噌汁やご飯を用意した。








「じゃあ9時から練習開始だ。解散」

皆揃って食べ終え、土方さんの声で皆が動き出す。



「千亜ちゃん、コーヒー飲むかい?土方くんたちにも淹れるから」


「いいんですか?」


「ああ、ちょっと一息つこうよ」


「じゃあいただきます。あ、私淹れますよ」


「いい、いい。千亜ちゃんは座ってなさい」

源さんの言葉に「ありがとうございます」と応えて席に向かった。




…どうしよう。

土方さんと左之は向かい合わせに座っている。


席に向かいながら考えていると左之が隣の椅子を引いて「座れよ」と促した。

少しの戸惑いを隠して、小さく頷いて椅子に腰掛ける。



「高橋、飛ばしすぎんなよ」


「ふふ、大丈夫ですよ」

土方さんの言葉に応えると鼻腔を擽るコーヒーの香り。


源さんの奥さんが「どうぞ」と目の前に差し出してくれる。

小皿にチョコやクッキーも乗せられていてそんな気遣いがありがたかった。


「まぁ息抜きしながらやればいい」


「はい、ありがとうございます」

冷えていたチョコを口に入れてその美味しさに口元が綻べば、
それを見た土方さんも口元に笑みを浮かべていた。


「美味しいですよ?」と笑えば、「俺はいい」と言ってコーヒーを飲み干して食堂を出て行った。



「左之も食べる?」

隣にいた左之にむけて声をかけて小皿を寄せれば、左之も一つ口に運ぶ。


「ん、美味いな」


「ね!」

顔を見合わせて笑う。


「ほら、もう一個」

そう言った左之がチョコの包装を取って、私の口元に寄せる。


「え…、ちょっ…」

食べろってことだよね?


慌てる私に左之は「ほら」ともう一度口を開けるのを促すように言う。



「誰も見てねーから」


「そういう問題じゃ…」

私の言葉を塞ぐようにチョコが下唇に宛てられた。


唇に微かに触れる左之の指先。


左之の優しい瞳が私を見ていた。


私は視線を逸らして、小さく口を開いてチョコを咥えた。


「美味いか?」

そう言いながらコーヒーに口をつける左之。


「…うん…」

思わず「ずるい」という言葉を頭に浮かべながらチョコを食べる。


甘ったるく溶けたチョコが胸の奥に広がった。



「ごちそうさん」

視線を上げれば立ち上がった左之はふわりと笑って私の頭をポンポンと撫でた。



あの頃と同じように。