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<土方視点>
休憩室の自販機前で一服していると明るい声が耳に入る。
高橋と雪村だ。
自然と口元が緩むのを感じた。
入口の方に視線を向けていれば、俺の視線に気付いた高橋が目を見張って声を上げる。
「わ!びっくりした!土方…先生、電気くらいつけましょうよ…」
「先生、先にお風呂頂きました」
雪村が小さく頭を下げる。
「ああ…。高橋、今話せるか」
「いいですよ。千鶴ちゃん先に部屋戻ってて。
あ、原田先生にお風呂どうぞって伝えてもらえる?いいですよね?先生」
俺が「ああ」と応えれば、雪村が頷く。
「わかりました。土方先生おやすみなさい」
「ああ、お疲れさん。おやすみ」
雪村に声をかけつつ、煙草を灰皿に押し付けながら、深く紫煙を吐く。
「何です?お話って」
高橋は歩み寄りながら声をかけてくる。
自販機だけの光の中。
まだ濡れたままの髪が少し色気を含んだような表情に見え、
トクンと小さく跳ねた胸中をごまかすかのように目を細めた。
「…何か飲むか。付き合えよ」
ソファから立ち上がり、千円札を出して自販機に滑り込ませる。
「お酒以外なら」
「当たり前だ。何にする?」
「じゃあカフェオレで」
ボタンを押せば、休憩室に無造作に缶が落ちる音が響く。
「ほら」
「わーい。いただきます」
嬉しそうにそれを取り、俺に笑みを向ける。
その表情は高校生だった頃と変わりなく、無邪気なものだった。
俺もブラックを買って、部屋にあるソファに並んで座り、蓋を開ける。
「…悪かったな。いきなり連れて来て」
「今それ言います?」
俺の言葉に少し目を丸くした高橋はクスクスと笑い出す。
「平気ですよ。実際暇だったんだし。明日からもっと忙しそうですけどね」
「お前がいてくれて助かるよ」
「じゃあもっと敬ってください」
「ばぁか。調子乗るんじゃねぇ」
「すみません」
俺が頭を小突けば、笑いながら言葉を零す高橋。
コイツの笑顔は俺の頬を緩めさす。
「まぁ、労ってやるよ。何だったら身体解してやろうか。まずは髪の毛乾かすとこからか?」
「ちょ、セクハラ!!」
俺が濡れた髪に手を伸ばし、指で髪を一束絡めれば、
くすぐったそうに笑いながらそれから逃れようとする高橋の身体。
『逃げるんじゃねぇ』
そう思って引き寄せようかと思ったその時。
投げられた声に俺達の動きが止まった。