【夕顔217-3】☆茫然自失ワード☆ | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【夕顔217-3】☆茫然自失ワード☆

古文ほど、3年間の蓄積が不可欠な教科はありません。

3年生や浪人生になってからやらなかったことを後悔するのでなく、

1年生のときから、毎日の知識を積み重ねていきましょう!

源氏物語イラスト訳 重要古語ラブラブ 

 

【古文単語の覚え方】

チェックボックス1.現代語から想像して覚える

チェックボックス2.漢字のイメージで覚える

チェックボックス3.ゴロを利用して丸覚えする

の3つのどれかで覚えます。

 

今回は、同じ意味のものをまとめて覚えましょ♪

 

【今回の源氏物語】

引き動かしたまへなよなよと我にもあらぬさまなれ、「いといたく若びたるけどらぬるめりせむかたなき心地たまふ

   サゲサゲ↓

今回のイラスト訳はこちら

 

 

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今回出てきた古文単語
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■【引き動かし】…サ行四段動詞「引き動かす」連用形

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【ど】…逆接の接続助詞

■【なよなよと】…弱々しいさま副詞

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【我にもあらず】…茫然自失の状態である

※【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形

■【さま】…ようす

■【なれ】…断定の助動詞「なり」已然形

■【ば】…順接確定条件の接続助詞

■【いと】…たいそう

■【いたく】…ひどくク活用形容詞「いたし」連用形

■【若び】…バ行上二段動詞「若ぶ」連用形

※【若ぶ】…幼稚である。子どもっぽい。うぶだ

■【たる】…存続の助動詞「たり」連体形

■【人】…。ここでは夕顔をさす

■【にて】…~であって

※【に】…断定の助動詞「なり」連用形

※【て】…単純接続の接続助詞

■【物(もの)】…物の怪(もののけ)

■【に】…受身の対象を表す格助詞

■【けどら】…ラ行四段動詞「けどる」未然形

※【けどる(気取る)】…正気・魂を奪う

■【れ】…受身の助動詞「る」連用形

■【ぬる】…完了の助動詞「ぬ」連体形

■【なめり】…~であるようだ

※【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便の無表記

※【めり】…推定の助動詞「めり」終止形

■【と】…引用の格助詞

■【せむかたなき】…ク活用形容詞「せむかたなし」連体形

※【せむかたなし】…どうしようもない

■【心地(ここち)】…気分

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

  アップ

今回は「なめり」にも注意しましょ♪

「重要古語一覧」もご参照ください。
 

 

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☆ 本日の古文単語「せむかたなし」 ☆

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引き動かしたまへど、なよなよとして、我にもあらぬさまなれば、「いといたく若びたる人にて、物にけどられぬるなめり」と、せむかたなき心地したまふ

 

問)傍線部の心情として、最も適当なものを一つ選べ。

 

1.夕顔の息が吹き返さないので、驚き意外に思っている。

 

2.夕顔がどんどん弱っていくのを見て、しかたなく思っている。

 

3.夕顔が物の怪に取り憑かれてしまい、呆然となっている。

 

4.夕顔が息も絶え絶えの状況なので、おろおろとしている。

 

5.夕顔が死に瀕して、どうしようもなく悶え苦しんでいる。

 

照れ  チュー  びっくり

 

傍線部の心情把握は、

まずは一語一語の逐語訳が基本です。

ニコニコ

 

今回は、「せむかたなき心地」に着目しましょう。

 

【せむかたなし(為む方無し)

【形容詞:ク活用】

…なすべき手段や方法がない。どうしてよいかわからない。どうしようもない

 

 ※Weblio古語辞典より

   

人は、大きなショックを受けると、

ボーゼンとして何が何だか分からなくなってしまいます。

 

たしかに、息をしてない夕顔を発見したとき、

光源氏は、選択肢の「驚き意外な」意である

あさまし」という気分になったのかもしれません。

 

 

【あさまし

【形容詞:シク活用】

①驚くばかりだ。意外だ

②情けない。興ざめだ

③あきれるほどひどい

④見苦しい。みっともない   

 

 

しかし、作者紫式部は、

このときの光源氏の心情には触れず、

 

引き動かしたまへど…」と臨場感あふれる筆致で続け、

物にけどられぬるなめり」と、事態を受け止めた後、

 

せむかたなき心地」という心情のみが描かれています。

 

1.夕顔の息が吹き返さないので、驚き意外に(△)思っている。

 

2.夕顔がどんどん(△)弱っていくのを見て、しかたなく思っている。

 

3.夕顔が物の怪に取り憑かれて(×)しまい、呆然となっている。

 

4.夕顔が息も絶え絶えの状況なので、おろおろと(△)している。

 

5.夕顔が死に瀕して、どうしようもなく悶え苦しんでいる。

 

せむかたなし」は、「せんかたなし」ともいい、

語源の違う「せんなし(栓無し)=しかたない」にも似てますね。

 

でも、選択肢2とは、文脈がズレてますので注意が必要。

 

 

 

 

ここで、茫然自失の心情を表す古語をまとめておきましょう。

 

【あきる(呆る)

…事の意外さにどうしてよいか分からなくなる

 

【あきれまどふ(呆れ惑ふ)

…呆然として途方に暮れる

 

【物(もの)もおぼえず

…(何も知覚できないほど)茫然としている

 

【うつつ(現)ともおぼえず

…(あまりのことに)現実のこととも思えない

   

また、夕顔茫然自失となった状況を表す古語として、

「我にもあらず」というのがありました。

 

【我にもあらず

…自分が自分であるという気がしない。うわの空である

   

ほかにも、

「あれ(われ)かにもあらず」

「あれ(われ)か人か」

「われかのさま」「われかの気色(けしき)」

などもあります。

ニコニコ

 

 

さらに、どうしようもない状況を表す古語として、

 

【いかがはせむ

…どうしようか、どうしようもない

 

【何かはせむ

…いったいどうなるだろう、いやどうにもならない

 

【すべきやうなし

…するべき方法がない。どうしようもない

 

【すべなし・ずちなし

…どうしようもない

(※「すべ」も「ずち」も「術」という字義で、方法・手段の意)

 

【わり(理)なし

…理性ではどうにもならない

   

 

さて、今回の光源氏の心情せむかたなき心地)ですが、

夕顔が息を吹き返さなければ、

ああ、もうどうすることもできないのだ」と諦めるほかない状況でしょう。

 

しかし、また一方で、

諦めるしかない状況にありながら、

人は、いつまでも諦めがつかず悶え苦しむこともあるものです。

 

 

今回の「せむかたなし」☆

 

どうしようもなく」てもう諦めるというのか、

どうしようもなく」て悶々と苦しむのか、

はたしてどちらが適当でしょうか…ね。

キョロキョロ

 

 

 

 

 

【解答】…

 

 

 

 

【夕顔(第5章)】の一気読みはこちら⇒

【源氏物語イラスト訳】の冒頭はこちら⇒

 

【今回の源氏物語】

引き動かしたまへなよなよと我にもあらぬさまなれ、「いといたく若びたるけどらぬるめりせむかたなき心地たまふ


 

過去記事リンク

引き~(接頭語)

たまふ

ど・ども(接続助詞)

なよよかなり

し(識別)

て(接続助詞)

す(サ変動詞)

て(接続助詞)

あり(ラ変)

ぬ(「ず」「ぬ」の識別)

さま(様)

なり(断定)

ば(接続助詞)

いと

いたく(いたし)

若々し

たり(助動詞) 

 

にて(識別)

もの(物)

に(助詞)

る(「る」意味の識別)

ぬ(助動詞)

なめり

と(格助詞)

心地(ここち)

 

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