源氏イラスト訳【夕顔217】引き動かし
引き動かしたまへど、なよなよとして、我にもあらぬさまなれば、「いといたく若びたる人にて、物にけどられぬるなめり」と、せむかたなき心地したまふ。
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【源氏物語イラスト訳】
引き動かしたまへど、なよなよとして、
訳)揺すって動かしなさるけれど、ぐったりとして、
我にもあらぬさまなれば、
訳)茫然自失の様子であるので、
「いといたく若びたる人にて、物にけどられぬるなめり」
訳)「たいそうひどく子供じみている人であって、物の怪に正気を奪われてしまったのであるようだ」
と、せむかたなき心地したまふ。
訳)と、どうしようもない心地がしなさる。
【古文】
引き動かしたまへど、なよなよとして、我にもあらぬさまなれば、「いといたく若びたる人にて、物にけどられぬるなめり」と、せむかたなき心地したまふ。
【訳】
揺すって動かしなさるけれど、ぐったりとして、茫然自失の様子であるので、「たいそうひどく子供じみている人であって、物の怪に正気を奪われてしまったのであるようだ」と、どうしようもない心地がしなさる。
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■【引き動かし】
■【たまふ】
■【ど】
■【なよなよと】
■【し】
■【て】
■【我にもあらず】
※【ぬ】
■【さま】
■【なれ】
■【ば】
■【いと】
■【いたく】
■【若び】
※【若ぶ】
■【たる】
■【人】
■【にて】
※【に】
※【て】
■【物(もの)】
■【に】
■【けどら】
※【けどる(気取る)】
■【れ】
■【ぬる】
■【なめり】
※【な】
※【めり】
■【と】
■【せむかたなき】
※【せむかたなし】
■【心地(ここち)】
■【し】
■【たまふ】
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光源氏が渡殿から戻って来て…
見ると、すでに息をしていない夕顔――
「せむかたなし」は、
ほんとうに、どうしたらよいか分からないで
戸惑っている光源氏のようすを
表していますね。