【帚木431-3】古文単語「いで」
源氏物語イラスト訳のあいです
さあ!今日は重要古語!
毎日、少しずつ入れていきましょぉ♪
(ノ´▽`)ノ
【今回の源氏物語】
「いで、およすけたることは言はぬぞよき。さは、な参りたまひそ」
とむつかられて、
「召すには、いかでか」
とて、参りぬ。
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今回出てきた古文単語
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■【いで】…いやもう。さあ
■【およすく】…ませる。大人びる
■【たる】…完了の助動詞「たり」の連体形
■【は】…提示の係助詞
■【言は】…ハ行四段動詞「言ふ」の未然形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」の連体形
■【ぞ】…強意の係助詞
■【よき】…ク活用形容詞「良し」の連体形
■【さは】…それでは
■【な―そ】…―してくれるな(禁止)
※【な】…禁止の副詞
※【そ】…禁止の終助詞
■【参る】…「行く」の謙譲(空蝉⇒光源氏)
■【―たまふ】…尊敬の補助動詞(空蝉⇒小君)
■【と】…引用の格助詞
■【むつかる】…機嫌を悪くして腹を立てる
■【れ】…尊敬の助動詞「る」連用形(作者⇒空蝉)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【召す】…「呼ぶ」の尊敬(小君⇒光源氏)
■【に】…逆接の接続助詞
■【は】…強意の係助詞
■【いかで】…どうして(疑問副詞)
■【か】…反語の係助詞
■【とて】…~と言って
※【と】…引用の格助詞
※【て】…単純接続の接続助詞
■【参る】…「行く」の謙譲(作者⇒光源氏)
■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」の終止形
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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今日の古文単語:「いで」
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この言葉は、
今昔物語集などの説話でもよく出てくる、
話し言葉特有の、感動詞です。
(・∀・)
(感動詞)
①さあ(誘い)
②どれ。さあ(行動)
③おやまあ。いやもう(感嘆)
④いや。さあ(疑心)
「学研全訳古語辞典」より
感動詞という名のとおり、
もちろん感動したときにも用いられるのですが、
今回のような場合は、
どんな心情で用いられるのかが
出題されそうですね♪
('-^*)/
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大学入試古文 問題例
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心やましく、
「いで、およすけたることは言はぬぞよき。さは、な参りたまひそ」
とむつかられて、
問題)傍線部の心情として最も適当なものを、次の中から選べ。
1.小君が大人びたことを言って姉である空蝉をたしなめたので、紀伊守は空蝉に気を遣って小君をなだめている。
2.男と女のことなど分かるはずもない小君が大人びたことを言うので、空蝉は不愉快に思って小君をしかりつけている。
3.情趣を解しないことを言う小君に対し、紀伊守は殿上童になるために必要な道理を教えねばならないと思っている。
4.大人の恋愛のことなど分からないと思っていた小君が、いつの間にかずいぶん成長したので、空蝉は感激している。
5.何も知らないはずだと思っていた小君が、光源氏と空蝉の仲を熟知していたことが判明し、空蝉は非常に驚いている。
心情問題は、
センターや私大、国公二次でも
しょっちゅう出てくる難問です!
ヽ(゚◇゚ )ノ
「いで」=感動
というふうに、短絡的にとらえずに、
複数の視点で、文脈に沿った解釈をしていく…
心情問題は、
いろんなパターンの問題を解いて
慣れていく必要があります。
ポイントは、
傍線部前後に含まれる心情語。
●心やまし=不愉快に感じている
●むつかる=不快に思って腹を立てる
このような古語にはさまれている傍線部は、
感動というより、否定的な気持ちのはず。
…今回の本文からは、
主語や目的語は分かりにくいけれど…
2.男と女のことなど分かるはずもない小君が大人びたことを言うので、空蝉は不愉快に思って小君をしかりつけている。
3.情趣を解しないことを言う小君に対し、紀伊守は殿上童になるために必要な道理を教えねばならないと思って(△)いる。
4.大人の恋愛のことなど分からないと思っていた小君が、いつの間にかずいぶん成長したので、空蝉は感激している(×)。
5.何も知らないはずだと思っていた小君が、光源氏と空蝉の仲を熟知していたことが判明し、空蝉は非常に驚いている(△)。
否定的というヒントだけでも、
「いで」の心情がしぼれますよね。
正解は……2
「いで、およすけたることは言はぬぞよき。さは、な参りたまひそ」
とむつかられて、
「召すには、いかでか」
とて、参りぬ。
● 過去記事リンク
■およすく
■ぞ・ぞや
■たまふ
■むつかる
■れ・られ
■とて
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