~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -11ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

 

その①② ↓↓ よりつづく…

 

 

さて、Amazon Primeで視聴できたので、「北ホテル」の映画化作品をじっくり鑑賞させていただいた。1938年に公開された作品で、監督はマルセル・カルネである。

 

映画化ということで、より娯楽性が増した印象。群像劇というスタイルから、北ホテルを背景として、その中のエピソードを創作し、サスペンス風味やメロドラマという形でまとめられている。これに対して原作とは異なるという評価もできるが、むしろこの「北ホテル」のエッセンスをうまく織り込み、その北ホテルでの日常の情緒を活かして、当時のフランス映画の名作を作り上げたという風に見るのが良いと思う。メインのストーリーを軸にしながら、北ホテルを人生の通過点として、そこに行き交う人々の哀愁を見事に表現している。1938年と言えば、トーキーが熟成され、名画がたくさん生まれている、そんな時代である。

 

以下、私の映画ブログに、詳細のあらすじや感想をアップしたので、ご興味あれば…

 

さて、クラシック音楽がメインのブログという事で、音楽の話題も追記しておきたい。この映画の音楽がそれほど有名かというと、そうでもないと思うが、この映画に音楽をつけたのは、モーリス・ジョベールである。モーリス・ジョベールは、1900年生まれの作曲家で、1940年に第二次大戦に従軍し戦死した。しかし、1930年代の映画に音楽が重要な位置を占め、ともに発展した時代に、数多くの名画に対して音楽を作曲していた。まさにフランスの映画音楽の成長時代の作曲家で、その曲は、ジャン・ヴィゴ、ルネ・クレール、ジュリアン・デュヴィヴィエ、マルセル・カルネ監督などによる、多くの錚々たる作品を飾っている。

 

モーリス・ジョベールは、元来クラシック音楽の作曲家であり、クラシックの分野でも多くの曲を残しているはずなので探してみた。とりあえず見つけたのが、以下の曲がが含まれるCDのもの。このバラード(1934)は映画音楽でなく、劇音楽「テッサ、誠実な心を持ったニンフ」からの曲ということのようだ。クラシックとは言っても、映画音楽タッチを感じる曲だったので、いつか純クラシック作品も探してみたいと思う。

 

マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団の演奏によるバラード(1934)

 

さて、今日は7月14日で、パリ祭の日。映画「北ホテル」もラストはパリ祭の日であった。オリンピックを控えたパリ。今日は盛り上がることだろう…。

 

~ 完 ~

 

その① ↓↓ よりつづく…

 

この「北ホテル」のあらすじはシンプルで、パリのジェマップ河岸にある小さな北ホテル(L'Hôtel du Nord)を買って、新たな経営者となったルクーヴルウル夫妻と、そのホテルのおよそ上流とは言えない住人やホテルのカフェの客たちの群像劇。ホテルと言っても観光客が入替り立替りというものではなく、中長期滞在のアパートという雰囲気で、言わば木賃宿。労働者を中心とした住人たちの短くもほろ苦いエピソードが連ねられて、全体が形作られている。そして最後に全体を振り返ると、そのちっぽけなホテルの中にも、いかにたくさんの住人たちの日常や喜怒哀楽が積み重ねられていた、ということにしみじみと思い当たるのだ。

 

こういった木賃宿の市井の人々の生活を描いた小説としてまず思い当たるのが、ゴーリキーの「どん底(1902)」なのだが、雰囲気も表現するものもかなり違っているように思える。例えば、この「どん底」をフランスでジャン・ルノワール監督が映画化した作品は、逆に明るく希望の持てる作品になっているが、むしろこの小説「北ホテル」もルノワール版「どん底」の雰囲気を感じ、これにはお国柄の違いなど、伝統的な相違が色濃く出ているものと思う。

 

「北ホテル」は、フランスの第1回ポピュリスト小説賞を受賞しており、このポピュリスト小説賞は現在では、ウジェーヌ・ダビ賞の名が冠せられている。まず、ここで言うポピュリスト・ポピュリズムという言葉は、現在において政治的な意味で使われるそれとは、ニュアンスが異なっている。ポピュリスト小説とは、源流はナロードニキ運動にあるとは言われるものの、プロレタリア小説とは似て非なるものらしい。というのも、ポピュリスト小説はプロレタリア小説のような小説の社会性や政治性を否定し、むしろ市井の人々への人間愛を前提としている。自然主義を継承しつつもこれに対抗して、自然主義のように彼らを獣のように扱い、同情を以て観察するのではなく、深い愛情をもってそこにある絵画的美しさを描く、という思想とのことである。今風に言えば、目線が違うのだ。

 

以上の文学論は訳者である岩田豊雄氏の巻末解説に書かれていることから推測してみたのだが、私の浅学ゆえ、足りない部分は多いと思う。その岩田豊雄氏は小説を書くときは獅子文六と号していた。あの多くの作品が映像化された獅子文六である。彼は1920年代にフランスに滞在してフランス現代劇の研究に没頭し、フランス人女性と結婚した。

 

そのようなポピュリスト小説であるのだが、日本に類似した作品があるかというと、私の少ない読書経験からだと、いい当てるのがなかなか難しい。プロレタリア小説はたくさんあるのだが、ポピュリスト小説となると、たぶん分野としてあまり認識されていないでは?と感じた。その中では山本周五郎の小説など、これに近いのかな、と思ったりもする。

 

ウジェーヌ・ダビは1936年に、38歳でクリミアのセヴァストポリにて客死した。その2年後1938年に北ホテルは、マルセル・カルネ監督によって映画化される。せっかくなので、そちらも見て見ようと思う。どういう作品になっているのか、楽しみでもあり不安でもあり、なのである…。

 

~つづく~↓

 

【CDについて】
作曲:シューマン

曲名:ピアノ五重奏曲変ホ長調 op44 (28:11)

   ピアノ四重奏曲変ホ長調 op47 (26:08)

演奏:レーゼル(p)、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
録音:1983-84年 ドレスデン ルーカス教会

CD:KICC 3565(レーベル:Deutsche Shallplatten、発売:キングレコード)

 

初めて、渋谷のタワーレコードに立ち寄ってみた。銀座山野楽器のCDフロアもこの7月末に閉店が報道されており、ワンフロアがクラシックCDという店舗は、ディスクユニオンなど中古レコード店を除けば稀有な存在となってきている昨今のこと、新品のクラシックCDが並んだフロアに足を運んでみたかったのだ。そして、そこには昔と変わらぬ時が流れていた。

 

あまり上客とは言えないかもしれないが、お目当てはなく、1枚だけ何か買っていきたいという気分であった。お店の推薦のCDが、書店でいえば平積み扱いのような形で、宣伝コメント付きで棚の上段の部分に並んでいる。新譜などにもいろいろ目移りする中で、目についたのがこのCD。相変わらず古い男だ…。そもそもこのCDが平積みになっているという事に、驚きと親しみを覚えたのであった。2010年の発売で、税抜きで952円のいにしえのCDである…。

 

【演奏について】

シューマンのピアノ五重奏曲と言えば、ピアノと2vn+va+vcの弦楽四重奏という形の曲では、古今屈指の名曲であると思う。個人的にはこの曲は、2012年に聴いた上海カルテットと長富彩さんの演奏がとてもスリリングで、強烈な印象を受け、それ以降いろいろ聴いた思い出がある。そして、今回のCDはゲヴァントハウスSQの演奏。そう、この2曲の初演地はライプツィヒのゲヴァントハウス。いわば本家本元の演奏なのである。

 

ピアノ五重奏曲は、ピアノが少し強い性格の曲だと思うのだが、この演奏も強めのレーゼルのピアノで入っていった。ただ、これは冒頭の印象だけで、あとは非常に調和した演奏であると感じた。もっと濃厚な演奏もあると思うのだが、表情は抑制気味で品格を保っている。フレーズ毎の表情つけよりも、絶妙なテンポから深い叙情性が湧き出てくる感じであった。後半に入っても激高していく感じは無く、安定と構築感を出し切った、さすが本家であった。

 

そして、もう一曲はピアノ四重奏曲。冒頭の静かに入っていく雰囲気がとても良くて、調和の美しさの中に浮遊していく。そして、レーゼルの刻む、静かに沸き上がるようなスケルツォ。これに続く、美しいメロディが存分に歌われる第三楽章が、ここは筆舌に尽くしがたいほど美しいのだ。これほどまでに…。第四楽章は安定の演奏で、しっかりと着地して閉じられていく。この曲は、今まで聴く頻度は決して多くなかっただけに、こんなに美しい曲なのかと改めて再認識させてくれたのだった。

 

【まとめ】

調和して、安定して、とても美しい演奏。これは確かにお薦めですね…。タワレコさんありがとう✨。この2曲、またどこかで生で聴きたくなりました。

 

購入:2024/07/11、鑑賞:2024/07/12

 

関連する過去記事から

 

 

 

 

 

しばらく、ご無沙汰してしまいました。その間音楽は聴いてはいたのですが、毎日新しいものを聴くという訳でもなく、という形で過ごしてしまいました。まぁ、それが普通の姿かもしれません(笑)。ということで、久しぶりにブログを書いてみます(題名もちょっと変えました)。今後も不定期になるとは思いますが、よろしくお願いします。

 

ところで、ブログに読書のことを書くのは初めてなのですが、読書や映画も好きなので時々書いてみたいと思いました。クラシック音楽も含めて、いろいろな形の芸術や文化とその背景に触れるのは、この上ない楽しみなのです。

 

ある日、神保町のカフェで時間をつぶしたあと、夜の会食場所へ向かうために駅に向かっていた時、改修中の三省堂の近くの光和書房さんの店頭に出ている文庫本の棚の前でふと足を止めた。

 

こういった店頭に日の光を受けて並べられている文庫本は、どれでも100円といった特売の形のものが多いので見てみようと思ったのだが、けっこうマニアックな文庫本が並んでいるようだった。その中で、題名が目を引いたのがこの「北ホテル」。手頃な厚さで、時々手に取って読んでみるには面白そうと手に取ってみると800円。まともな値段である。それほど特売という訳でもなかったようだ。

 

「北ホテル」といえば、昭和な私に思い浮かぶのは、内山田洋とクールファイブの演歌なのである。と言っても、その歌が世に出た1975年に演歌を聴く趣味は無かったので、もっぱらカラオケで、たまに誰かが歌う歌としての馴染みであったに過ぎない。そして、この小説は1929年作、マルセル・カルネ監督による映画化が1938年なので、演歌とこの小説は無関係であり、あるとしても題名を借用した程度のものではないかと思う。ただ、私がこの文庫本を手に取ってみたときは、なんとなくそんな演歌的な世界を期待していたのかもしれない。

 

こうして、一期一会という出会いでこの本が私の手元にきたのであるが、ネットで見ると意外と手に入りにくい本のようでもあるので、マニア的感覚からすると、少々嬉しくもあった。そして、何かの折に取り出して、昭和27年(1952)刊の、旧字旧かなで記された訳文と格闘しながら、この本を少しづつ読み始めた。私は、読書のスピードは極めて遅いのである(笑)。

 

~つづく~ ↓

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団の室内楽シリーズ。今回は、コントラバス奏者の城満太郎さんのプロデュースによるプログラムで、ロマン派のコントラバスの入っている室内楽作品が2曲となっています。メンデルスゾーンという名前に惹かれるのですが、この曲は作品番号は大きいのは没後に出版されたためで、作曲時期はあの弦楽八重奏曲よりも前になる、1824年、メンデルスゾーンが15歳の若き日の作品です。それはそれで面白そうなのですが、どちらかというと、聴く前に興味を抱いていたのはもう一つの作品。ルイーズ・ファランクのピアノ五重奏曲なのでした。

 

ルイーズ・ファランクは、アントン・ライヒャに教えを受けた女性作曲家でありピアニスト、そして教育者でした。1804年生まれといえば、ベルリオーズの1歳年下で、女性作曲家という意味では、ファニー・ヘンゼルの一つ年上に当たります。1842年38歳の時に女性として初めてパリ音楽院の教授に就任。その職を1872年までの30年間務めました。多数のピアノ曲と、多彩な室内楽曲、そして交響曲を3曲残しています。作風は、ウィーン古典派の流れを汲み、そこからロマン派の音楽に発展させていったもので、同時代のドイツのロマン派作曲家と同じ道を独自に進んだと言えるのでしょう。

 

同時代の女性作曲家である、ファニーやクララがいろいろと女性的なエピソードを残しつつ華々しく語られるのに対し、ルイーズ・ファランクは極めて実直といいますか、そこはあまり語られず、エピソードとしてWikiにあるのは、同じ教授職にありながらの男性教授との給与格差に関して長年戦い続け、1850年の九重奏曲がヨアヒムの出演を得て成功したおりに評価がやっと上がり、1852年にやっと給与格差を解消したことがメインで書かれていました。

 

長らく作品は忘れられていましたが、近年忘れられた女性作曲家の発掘の動きもあって、演奏機会も増え、録音も増えてきているようです。ロマン派の歴史の中の一人の作曲家としても大変興味深く、期待して会場に行きました。

 

◆プログラム
①ファランク:ピアノ五重奏曲第1番 イ短調 op. 30
②メンデルスゾーン:ピアノ六重奏曲 ニ長調 op. 110

 

演奏:西江辰郎(vn)、脇屋冴子(va)、日髙夕子(va)、サミュエル・エリクソン(vc)、

   城満太郎(cb)、岸美奈子(p)

2024年5月13日 すみだトリフォニーホール

 

トークでは、城さんが選曲の経緯を語られました。ファランクが先に決まり、もう一曲は編成が似ていて演奏機会の少ないメンデルスゾーンにしたとのこと。コントラバス奏者による選曲とはいえ、今回はコントラバスが前面に出るというよりは、堅実に下支えする曲を選ばれたようです。メンバーは、コンマスの西江さんに加え、フォアシュピーラークラスの方が並んでいます。

 

一曲目のファランクの曲は、さすがに古典派に造詣が深く、またピアニストであったというファランクの特徴が出ている曲で、しっかりした古典的構成の中にロマンティックなメロディや装飾が織り込まれた素晴らしい曲だと思いました。ピアノもキラキラと活躍しています。作りとしてはユニゾンとソロが目だつ感じで、あまり凝ったという感じではないと思いますが、チェロの美しいソロで始まり、ヴィオラのソロも登場する第二楽章などはとても美しい音楽だと思いますし、他の楽章も造形美の中にロマンが散りばめられた感じの美しい曲で、他の作品もいろいろと聴いてみたくなりました。

 

ロンドン・シューベルト・アンサンブルによる録音です。

 

メンデルスゾーンの曲はヴィオラを加えた編成で、弦楽は中低音を厚くして、その分高音域でピアノが活躍する様です。ピアノ協奏曲とまでは行かないとは思いますが、そちら寄りの音楽かもしれません。細かい仕掛けはファランクの曲より既に凝っていると思います。明るく楽しい曲で、演奏効果も素晴らしい曲だと思いました。時々聴いてみたくなる曲でした。

 

メンデルスゾーンのピアノ六重奏曲の、ユジャ・ワンたちによるライヴ映像です。

 

新日フィルの演奏は、暖かい音でゆったりと歌うような素晴らしい演奏だと思いました。そして、ピアノの岸さんは大活躍だと思います。こういった編成では後ろに配置されているので、視覚的にあまり目立たないですが、終始早いパッセージでピアノの音が響いている感じでした。この2曲とも、かなりピアノのウェイトは高いですね。めったに聴けない曲が、素晴らしい演奏で聴かれて良かったと思います。

 

アンコールは、シューベルトの「ます」の第四楽章でした。メンデルスゾーンの後で演奏されましたので、ヴィオラが1枚多くなっていました。アンコールらしく、楽しい演奏だったと思います。

【CDについて】

作曲:ブラームス

曲名:ピアノ・ソナタ第3番へ短調 op5 (38:24)

   ラプソディ変ホ長調 op119-4 (4:46)

   カプリッチョロ短調 op76-2 (3:10)

   間奏曲変ホ短調 op118-6 (5:15)

   ラプソディロ短調 op79-1 (8:16)

演奏:ペライア(p)

録音:1990年11月-12月 ロサンゼルス大学 ロイス・ホール (op5)

   1991年5月 ハンブルク フリードリヒ・エーベルト・ハレ

CD:SRCR-8708(レーベル:SONY Classical)

 

【曲と演奏について】

ブラームスのピアノ曲は、決して頻繁に聴く作品群ではないのですが、最近頻繁にこのCDを聴いていました。お目当ては、最後の4つの曲。一方でピアノ・ソナタ第3番の方は、ブラームスのピアノ曲の中でも、めったに聴かない曲の一つなのでした。ソナタは、シメントリーな5楽章構成という、ブラームスの独特の曲で、活発な、ラプソディを思わせる第一楽章と美しくも情熱的な第二楽章が聴きごたえのある曲でした。

 

最後に配置された四つの曲。特に最後のラプソディのop79-1は、元々大好きな曲だったので、改めて久しぶりに聴いて、しばらくハマっていたのです。この曲に限って言えば、今までいくつかの演奏を聴いたことがあって、いろいろなタイプがあるのですが、これはペライアならではの演奏かな?輝かしい音で分離良く、鋭く切れ込んでいくペライアのピアノが、この曲にピッタリで、名演の一つではなかろうかと思った次第です。勿論他の曲も同傾向の演奏で、なかなか聴きごたえがあるCDでした。

 

【録音について】
ペライアのピアノの音がしっかり表現されているいい録音です。

 

【まとめ】

普段は、あまり聴かないブラームスのピアノ曲と、ペライアのピアノ。何となくハマって繰り返し聴いてしまいました。ブラームスのピアノ曲は、聴けば聴くほど味が出るといった類の曲が多いようです…。

 

購入:不明、鑑賞:2024/05/11

 

関連記事からのリンクです

 

 

 

【CDについて】

作曲:モーツァルト

曲名:セレナード第13番ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K525 (16:54)

   音楽の冗談 K522 (19:25)

演奏:アマデウス四重奏団、ツェペリッツ(cb)、ザイフェルト(hr)、クリアー(hr)

録音:1979年4月29日-5月2日 ミュンヘン レジデンツ・プレナールザール

CD:400 065-2(レーベル:DG)

 

【曲と演奏について】

この録音が出たのは、高校の頃で、ちょうど「アルゲリッチ、バッハを弾く」と同じころと記憶しています。アイネ・クライネはともかくとして。もう一曲の「音楽の冗談」というのに惹かれました。へぇ、モーツァルトにこんな曲があるんだ…と。さすがに当時は手が出なかったのですが、のちにCDが出て回収したという訳です。LP時代にはこの録音は、DGのデジタルのあの右上がめくれたようなジャケットの意匠はついて無かったと思います。CDで見て、初めてデジタル録音だったのだと気が付いたのです。DGのデジタル録音としてはごく最初期のものでした。

 

久しぶりに取り出して聴いてみました。アイネ・クライネは安定です。アマデウス四重奏団の演奏は、アクセントが少なくクリアで整った感じがします。その分面白みがないかもしれませんが、この曲を聴くには混じりけの無い、いい演奏だと思います。でも、やはりこのCDで面白いのは音楽の冗談の方だと思います。そんな生真面目なアマデウス四重奏団の演奏は変わらない中で、モーツァルトの意匠が凝らされたこの曲を実にうまく演奏していると思います。真面目に演奏してナンボの、技巧が映える曲なのですね。第二楽章のホルンのソロや、第三楽章のヴァイオリンのソロは最高だと思います。こういう風にわざと外した曲って、意外に難しいのではないか?と思ってしまいました。

 

【録音について】
DG最初期のデジタル録音です。自然な感じのクリアな音なので、いいと思います。

 

【まとめ】

このCDは、大変古いCDですが、既に盤面が茶色(金色?)になってしまっています。当時のDGのMade In U.K. のものは、ほぼ茶色くなる傾向があるので、困ったものです。製法の違いでしょうか。音はまだ普通に聴こえています。

あと、このCDはタワレコ企画で廉価で再発されていますが、余計なものが付いていますね(笑)。この2曲セットというところがいいんですが…。

 

購入:不明、鑑賞:2024/05/09(再聴)

 

過去記事からのリンクです

 

 

 

最近リリースされた新譜から ㊴

今週の新譜は、普通の曲?の新譜です。とはいっても、一筋縄ではいかないのが、カプリングされている、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」ですね。原典版と、原曲が利用された、「ソローチンツィの定期市」の中の一曲の、シェバーリンによるオーケストラ版というラインナップでした。興味深いCDです。

【CDについて】

作曲・曲名:

   ①リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」op35 (45:13)
   ②ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(1867原典版) (12:57)
   ③ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(1880年版)

    歌劇「ソローチンツィの定期市」より若者の夢、1930シェバリーン編 (11:19)
演奏:パッパーノ指揮 サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

   サンタ・チェチーリア国立アカデミー合唱団 & 児童合唱団③

   ヴァチュコフ(bs,br)③

録音:①2022年8月24日、②2019年5月9-11日(L)、③2014年10月25,26,28日(L)

   ローマ Auditorium Parco della Musica

CD:5054197933691(レーベル:Warner Classics)

 

【曲と演奏について】

リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」の新譜を買うなんて、あまり考えたことが無かったのですが、通俗曲=有名指揮者=メジャーレーベルという、昔懐かしい組み合わせに思わず買ってしまいました。ただ、買ってみて思ったのですが、このCDは確かにシェエラザードの優秀録音新譜ではあるのですが、聴きどころは、二つのバージョンの「はげ山の一夜」ではないかと思いました。パッパーノが注目されたころは、あまり熱心にクラシックを聴いていなかったので、もしかして初めてかもしれません。

 

まずは、「シェエラザード」冒頭が迫力のある大音量で始まったあと、ゆっくりと荘重な感じで進んで、ソロヴァイオリンへと入っていきます。振幅の大きいドラマティックな演奏と思いました。迫力も十分です。ゆっくりダイナミックに進みつつ、各楽器の音色の特色も丁寧に表現されていると思いました。この演奏を新たに世に問うコンセプトは?といえば、最大限にドラマティックに輝かしくという方向かと思いました。じっくりとオーケストラの音と物語を聴かせる演奏です。

 

最後まで聴いた感想として、個別のフレーズはニュアンスに富みますが、全体としては一定の枠とテンポの中に納まり、細部まで丁寧に表現された演奏だと思いました。そのような演奏で、リムスキー=コルサコフの管弦楽が引き立っていたと思います。現代の演奏という感じです。


さて、「はげ山の一夜」。まずは初稿原典版。いろいろな音がして華やかな飾りが多く感じます。聴き慣れたリムスキー=コルサコフ編曲とは雰囲気が違います。この曲で聴くと、いろいろと手を変えて続くので、まだ続くか…という風にも感じます。こうしてみると、まずは「リムスキー=コルサコフ版」がこの曲を世界中に知られた曲にするのに、大いに役立ったということですね。原曲も素晴らしい楽想に富んだ音楽ですが、それをコンパクトにスマートに表現した

のがリムスキー=コルサコフ版だと思いました。

 

アバド・ベルリンフィルの動画です。原典版の録音もありますね。

 

もうひとつは歌つきの、「ソローチンツィの定期市」の中に挿入されたヴァージョン。ムソルグスキー存命中はヴォーカルスコアのみで、オーケストレーションされていなかったものです。これは迫力があります。ムソルグスキーの曲って歌が入ると、また独特な雰囲気が出てくるような気がします。リムスキー=コルサコフ版の、はげ山の一夜には、原曲のはげ山に無い部分をこの曲から引用した部分もあるようです。これはなかなか面白かったです。ムソルグスキーはもっといろいろ聴いてみたい作曲家だな…と思いました。

 

【録音について】

素晴らしい録音ですね。全体音量が大きくて無理が無く、ダイナミックレンジも大きく、迫力があるものでした。日本版はSACDでということらしいです。

 

【録音について】

初めて聴いたパッパーノですが、じっくり丁寧に歌い込んでいく感じがしました。全体的にはムーティとかと感触がにているでしょうか??

 

購入:2024/04/29、鑑賞:2024/05/09

 

関連しそうなCDの過去記事リンクです

 

 

 

 

 

【LPについて】

作曲、曲名:

   メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲変ホ長調 op20 (28.07)

   ブラームス:クラリネット五重奏曲ロ短調 op115 (34:42)

演奏:メンデルスゾーン:ファイン・アーツ弦楽四重奏団+ゲスト

   ブラームス:ファイン・アーツ弦楽四重奏団、ケル(cl)

録音:メンデルスゾーン:1960年代前後?

   ブラームス:1958年 ロンドン Royal Festival Hall?

CD:OW-7552-EV(レーベル:EVEREST(Concert Disc)、発売:日本コロムビア)

 

【曲と演奏について】

またまた、LPレコードの鑑賞です。これは、最近近所のブックオフでピックアップしてきたLPです。ちょっとマイナーっぽい感じが良かったので…。日本コロムビアは当時からですが、自社のPCM録音と、スプラフォンの提携が多かったと思うのですが、それ以外にもちょっとマイナーな音源のLPを発売していました。これはアメリカのエヴェレスト(コンサート・ディスク)の音源でした。昔、私もエヴェレストの録音を少しだけですが、買った記憶があります。録音データとかはこのLPには全く書いていなかったので、Discogeで調べました(笑)。これは、日本コロムビアの廉価版シリーズの一枚ですが、私がLPを買い始めた頃は既に新しいシリーズに移っていたので、このシリーズはあまり覚えがありません。

 

演奏している、ファイン・アーツ弦楽四重奏団は、1946年の創立で現在でも活動を続けられている、長い歴史を持った四重奏団です。元々はシカゴ響の奏者の方々によって結成された四重奏団で、古くから録音も数多く残されています。最近では、ナクソスから新譜が継続してリリースされているようです。もちろん長い歴史の中でメンバーは入れ替わっていて、特にヴィオラは11代目になっているようですが、第1ヴァイオリンはまだ2代目です。

 

さて、聴いた印象ですが、全体的にテンポが速く、あっさりめで流れるような感じがありました。それがメンデルスゾーンにはとても心地よいのですが、もう少しアクセントがあった方が…と思うのは、昨今HIP的演奏に慣れてしまったからかもしれません(笑)。ブラームスの方はレジナルド・ケルがクラリネットを演奏しています。ケルは往年の名手で、ロンドン・フィルなどで活躍し、渡米後ベニー・グッドマンの師でもあったとか。今聴くとちょっと癖がある演奏に聴こえます。ここぞという時に、アクセントがとても強く感じられるというか、それが第二楽章のクラリネットの活躍の場面ではとてもいいのですが、第四楽章の変奏曲でつないでいくところになると、少々極端に聴こえてしまうというか…。今の時代に聴くからという事かもしれませんが、録音のバランスの要素もあるのではないかとも思いました。でも、なかなか興味深いLPだったと思いました。

 

【録音について】
八重奏曲の方は自然ないい録音だったと思います。ブラームスの方はあまり広がりが感じられず、分離が良くないような気がしました。

 

【まとめ】

最近買ったLPレコードの1枚です。ブックオフで何枚か買ったのですが、盤質的には、少々当たり外れもありますね。これは当たりだと思いました。

 

購入:2024年、鑑賞:2024/05/04

 

過去記事からのリンクです

 

 

 

 

 

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」op13 (19:12)

   ピアノ・ソナタ第9番ホ長調 op14-1 (13:48)

   ピアノ・ソナタ第10番ト長調 op14-2 (16:48)

   ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調 op22 (24:22)

演奏:ブレンデル(p)

録音:1994年6月 ノイマルクト

CD:442 774-2(レーベル:PHILIPS)

 

【曲と演奏について】

最近、ブレンデルのCDを聴くことが多いのですが、いっぱい買ってしまったので(笑)。これからも増えると思います。一見当たり前に聴こえる演奏が内容が深くて好きなのです。今日は、ベートーヴェンのソナタ。シューベルトの全集のあと、再び取り組んだ全集からです。第8~11番ですから、初期ソナタの後半部。第8番の「悲愴」は、ベートーヴェンが自ら愛称を認めている、数少ない曲の一つですね。順番に入っているので、悲愴から聴いています。

 

ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」

しみじみと。じっくりした序奏で始まりました。そのあと流れるように主部に入っていきます。このあたりのブレンデルの表現が素晴らしくて、音も一つ一つ明快で、絶妙なニュアンスが作られています。ぶれないベートーヴェンのソナタの姿です。有名な第二楽章は端正に演奏され、メロディの素晴らしさがストレートに表現されていました。第三楽章は柔らかなニュアンスで始まり、細かいところまで行き届いた、無理なく曲の素晴らしさを最大限に表現した演奏ですね。伝統的な演奏かもしれませんが、ブレンデル流の完璧です。

 

ピアノ・ソナタ第9番ホ長調

シンプルな感じの、典型的なソナタ構成の進行でした。所々にはっとするような趣向も散りばめられています。第二楽章の短調の主題や、第三楽章の主題の同じ音の連打などは、細かいながらも面白い部分だと思いました。シンプルな曲をブレンデルが堅実に表現しているという感じでしょうか。

 

ピアノ・ソナタ第10番ト長調

抒情的なメロディで始まるソナタでした。コンパクトなソナタですが、第1楽章は男女の応答を思わせるであるとか、第2楽章はベートーヴェンが初めてピアノソナタで変奏曲を用いたとか、いろいろ聴きどころのある曲です。第一楽章はその展開部が意外と盛り上がったりしますし、第二楽章の変奏曲はブレンデルが絶妙の演奏を見せていました。第三楽章も一つ一つの主題が面白く、この曲が悲愴以外の3曲では一番好きだと思いました。

 

ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調

このCDの中では一番規模の大きい曲で、唯一の四楽章構成でもあります。ベートーヴェンはこの曲はかなり自信作であったとのことです。確かに構えの大きい曲ではあります。アルペッジョが美しい第一楽章、メロディが美しく歌う第二楽章、古典的なメヌエットの第三楽章、爽やかなロンドと対位法的展開が顔を出す第四楽章という構成。確かに古典的なソナタをしっかり構築したという感じでした。形式的な様式美は備わっていると思います。ブレンデルのピアノは全てに於いて的確という演奏をしていますので、曲の良さは素直に表現されていると思います。ただ、曲自体は様式美はありますが、感動的までとはいきませんでした。

 

【録音に関して】

問題なく素晴らしい録音です。

 

【まとめ】

最近、すっかりブレンデルのピアノに浸ってしまいました。見つけたら拾っている感じでのブレンデルの全集ですので、続けて聴いていきたいと思ってはいますが、次はいつ手に入るかな…。

 

購入:2024/02/09、鑑賞:2024/05/04

 

ブレンデルのCDからのリンクです。