【CDについて】
作曲:ブラームス
曲名:①クラリネット五重奏曲ロ短調 op115 (36:33)
②クラリネット三重奏曲イ短調 op114 (26:01)
演奏:キング(cl)①②、ガブリエリ弦楽四重奏団①
ゲオルギアン(vc)②、ベンソン(p)②
録音:1983年1月24-25日 ロンドン Barmabas's Church
CD:CDA66107(レーベル:Hyperion)
【曲について】
この2曲を同時に世に送り出したブラームスですが、「クラリネット五重奏曲」のあまりの評価の高さに対し、「自分は三重奏曲の方が好きだ」と言ったそうです。しかし、私にもこれは、五重奏曲の方だよね…と、失礼ながら思えます。一つ一つの楽章ごとの完成度も素晴らしく、全体の構成も大変まとまりのいい曲だと思います。
【演奏について】
クラリネット・ソナタで愛聴盤となっているシア・キングさんの演奏した、クインテットとトリオを組み合わせたCDをGETしたので、さっそく鑑賞してみました。思い入れもありますが、いい演奏に違いないと思っています(笑)。
まず五重奏曲、第一楽章は少し弦が強めに感じますが、ヴァイオリンがよく歌います。メリハリが効いていて良かったです。聴きどころは第二楽章でやってきます。穏やかな弦楽器の波に乗って、クラリネットが高揚したメロディを奏でます。高らかとしたモノローグ。素晴らしい音楽です。第三楽章も面白くて、冒頭はクラリネット主導でスタートし、中間部では弦のリズムの上に、クラリネットが合いの手のような音を乗せていきます。最終楽章は変奏曲で、次々に押し寄せてくる楽想を漂いながら、最後に第一楽章が帰ってきて、印象的に曲を閉じます。人生の回想を聴いているようです。シア・キングさんのクラリネット。この漂うような哀愁は好きです。
三重奏曲は、チェロとピアノとのトリオになります。第一楽章は哀感漂う楽章で、静かな中で、情熱の炎が時として燃え上がります。消え入るようなフレーズと燃え上がるフレーズの対比が見事で、三つの楽器のアンサンブルも素晴らしいです。第二楽章は明るく切ない感じの緩徐楽章。過去の回想かも知れません。第三楽章と第四楽章は比較的明るい基調になります。そして情熱的な終曲を迎えます。この二つの曲。ブラームスとしては、どちらも自信作だったようですが、現時点では私はやはり五重奏の方がいいですねぇ。今回は、シア・キングさんのクラリネットが聴けて、大変良かったです。特に五重奏の第二楽章は最高です。
【録音について】
録音年代は1983年なんですが、アナログ録音なんですね。クリアという訳にはいかないのですが、暖かい音色でいいと思います。
【まとめ】
思い入れたっぷりで聞いていたので、とても幸せな時間を過ごせました。ブラームスのクラリネット五重奏曲。以前はそれほどでもなかったのですが、ハマりますね。歳かな…。
購入:2024/01/15、鑑賞:2024/01/17
こうしてみると、クラリネット五重奏曲はもう4回目なのでした(笑)。