メンデルスゾーン:オラトリオ「エリア」 コルボ グルベンキアンo&cho (1983) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
一言二言で印象を書き留めておきたい。
長い文章だと、書くことが主になってしまう。
その時の印象を大切に。

1月はメンデルスゾーンで ⑤

メンデルスゾーンの最終回。交響曲⇒室内楽曲⇒器楽曲ときたので、最後はこれで。この曲は聴いたことが無かったので、是非この際聴いておきたいと思って取り寄せました(笑)。誰の演奏でも良かったのですが、この分野では安定のコルボで。演奏の派手さを狙うのであれば、サヴァリッシュ盤も良かったかなぁ…と思ったりしています…。

【CDについて】

作曲:メンデルスゾーン

曲名:オラトリオ「エリア」 op70 (142:34)

演奏:コルボ指揮 リスボン・グルベンキアン管弦楽団・合唱団

   ヴィーンス(s)、ワトキンソン(a)、ルーイス(t)、ルクソン(bs)、

   レー(boy,s)、アルタヴィッラ(s)

録音:1983年4月 リスボン グランド・オーディトリアム

CD:RECD-1017/19(レーベル:ERATO、発売:RVC)

 

【曲に関して】

メンデルスゾーンは聖書に基づく大規模なオラトリオとして、「聖パウロ」と「エリア」を作曲しました。「エリア」は2部構成で、第一部はイスラエルにバール信仰が広まったことよる神エホバの怒りから、エリアがバールの預言者たちとの対決に打ち勝つところまでが描かれ、第二部では、バールの預言者を滅ぼしたことにより、イスラエル王に命を狙われることとなったエリアがイスラエルから逃げる場面から、火の馬車により天に上げられるところまでが描かれ、終末部で救世主の出現に関する預言が歌われます。主要な歌詞は聖書によるものですが、創作も一部含まれています。

 

【演奏についての感想】

エリアのレチタティーヴォから始まり、序奏へと入っていきます。このような宗教曲は今まで聴いてきた経験は、ごくごく少ないのですが、イメージはなんとなくヨハネ受難曲とか、マタイ受難曲の雰囲気で、聖書に書かれたキリストの誕生や受難の物語や、それを取り巻く当時の歴史的背景と聖人の物語を劇音楽風にアレンジしたものと理解しています。聖書に親しんだことのない者としては、まず物語風に吸収するという形になっていきました。序奏は弦楽を中心とした音楽で、古典派のイメージを持ちました。

 

こういった物語からイメージとして頭に浮かんでくるのは、私は映画の映像からの印象が大きいですね。「十戒」とか有名ですが、ヨーロッパ映画であれば、例えばパゾリーニの「奇跡の丘」とか、聖書の中の物語を芸術的に扱った映画がたくさんあります。私としては日常の中のこととして感じることは難しいですが、ヨーロッパの世界ではより身近に感じられるのだろうなと思いを巡らせます。しかし、実感にはほど遠いです。そんなことを考えているうちに音楽は進みます。

 

メンデルスゾーンは、バッハやヘンデルを深く研究していましたので、この曲にはそれらの影響が多く残されていると言われています。コルボの演奏は柔らかい音で、この物語を綴っていきます。曲もアリア、レチタティーヴォ、合唱と組み合わされて、物語を劇的に表現していきます。第二部の冒頭に置かれたソプラノのアリアがとても美しく、また、物語の節目には迫力のある合唱が登場して劇的に区切りを作っていきます。内容は異なるものの、オペラと同じような表現形式ですね。ただただ、美しい合奏と合唱と歌唱を楽しむばかりの2時間でした。

 

【録音に関して】

バランスよく全体が捉えられていて、弦楽器の音なども大変美しい録音でした。

 

【まとめ】

もう1月も終わってしまいましたか…。1月はメンデルスゾーンの普段は聴かない曲も含めて網羅的に聴いてみました。まだまだ聴いたことのない曲はたくさんありますが、また機会があれば勿論聴いてみたいと思います。

 

購入:2024/01/08、鑑賞:2024/01/14

 

1月はメンデルスゾーンシリーズの過去の4回分のまとめです。