1月はメンデルスゾーンで ④
メンデルスゾーンの作品の中でも、ピアノ曲もそこそこの地位を占めていると思いますが、今回はそのピアノ曲から聴いてみました。昨年夏にGETして聴いていたかった、ロロフの演奏です。メンデルスゾーンのピアノ曲の中でも比較的有名な曲が入っているので、イメージが湧くのではと思いました。
【CDについて】
作曲:メンデルスゾーン
曲名:厳格な変奏曲ニ短調 op54 (11:46)
幻想曲嬰へ短調 op28 (14:55)
ロンド・カプリチオーソ op14 (6:56)
無言歌集 op19-1 甘き思いで (3:19)
無言歌集 op19-3 狩の歌 (1:48)
無言歌集 op19-4 ないしょ話 (2:13)
無言歌集 op38-5 情熱 (2:35)
無言歌集 op38-6 デュエット (2:55)
無言歌集 op62-5 ヴェニスの舟歌 (2:32)
無言歌集 op62-6 春の歌 (2:42)
無言歌集 op67-4 紡ぎ歌 (2:06)
無言歌集 op85-3 うわごと (2:22)
演奏:ロロフ(p)
録音:1963年10月21-22日 ベルリン Studio Zehiendorf
CD:TOCE-3152(レーベル:EMI、発売:東芝EMI)
【曲に関して】
メンデルスゾーンのピアノ曲といえば無言歌が有名ですが、この名称はメンデルスゾーンが最初に用いたもので、ファニーの発案とも言われています。曲は広く演奏されるように、技巧的な難易度は下げられていて、文字通り言葉の無いリートといった感じのメロディが主体の小品です。ロマン派音楽の中で広まり、後世の作曲家もしばしばこの名称を用いました。
【演奏についての感想】
厳格な変奏曲は、メンデルスゾーンのピアノ曲の代表的作品の一つのようで、いろいろな曲集で登場してきます。哀愁を伴う短いメロディを、これも短い変奏で第17変奏まで奏でられる作品で、目まぐるしく曲の雰囲気が変わり、いろいろな楽想を楽しめる作品でした。メンデルスゾーンが曲の中に、いろいろな要素をすべて盛り込んだという曲なのかもしれません。古典的な変奏曲の様式ですが、メンデルスゾーンはほとんどピアノの変奏曲を作曲していないので、貴重な作品です。
幻想曲嬰ハ短調は「スコットランド風・ソナタ」とも呼ばれています。メンデルスゾーンがスコットランドを訪れたことから生まれた曲は交響曲など有名ですが、この曲もその一つとのことです。出版前までは実際にスコットランド・ソナタと呼んでいたようです。形式的には第一楽章と第三楽章がソナタ形式になっていました。ロマン派の他の作曲家もそうですが、敢えて幻想曲という形で出版されました。伝統的な形式に拠りながらも、ロマン派ピアノ曲の名曲の一つと思います。
さて、ロンド・カプリチオーソを経て、最後に無言歌が9曲収録されています。ここは、じっくりメロディに耳を傾けて見ましょう。ヴェニスの舟歌とか、春の歌とかいいですね。そもそも有名曲ではありますが…。ロロフは、ライプツィヒやベルリンが本拠のピアニストで、大学教授でもありました。録音を聴くのは初めてかもしれません。まさにメンデルスゾーンが活躍したエリアと重なりますが、ロロフの演奏はこの時代のドイツの巨匠スタイルを持つ、実直な感じのピアニストと言っていいのではないかと思いました。
【録音に関して】
ピアノの音は、そもそもの音がどうだったかという事もありますが、今一つクリアに輝かない雰囲気がありました。
【まとめ】
1月のメンデルスゾーンは4回目でピアノ曲を聴きました。幻想曲はちょっと気に入りました。もちろんヴェニスの舟歌(第3)もいいですね。さて1月はあと1回、メンデルスゾーンを聴いてみたいと思います。
購入:2023/08/29、鑑賞:2024/01/14
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