ベートーヴェン:ピアノソナタ第12,13,14,19番 ブレンデル(p) (1994) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
一言二言で印象を書き留めておきたい。
長い文章だと、書くことが主になってしまう。
その時の印象を大切に。

【CDについて】
作曲:ベートーヴェン

曲名:ピアノ・ソナタ第12番変イ長調 op26 (19:51)

   ピアノ・ソナタ第13番変ホ長調 op27-1 (15:48)

   ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 op27-2 (15:32)

   ピアノ・ソナタ第19番ト短調 op49-1 (8:05)

演奏:ブレンデル(p)
録音:1994年4月 ノイマルクト(ドイツ)No.12-14

   1994年2月 スネイプ・モルティングス(イギリス)No.19

CD:438 663-2(レーベル:PHILIPS)

 

【曲について】

ピアノソナタ第12番は、第三楽章に葬送行進曲を配していることから、葬送ソナタとも通称されています。第三楽章は、「ある英雄の死を悼む葬送行進曲」と題されていますが、この英雄が誰であるのかは、定かではありません。ショパンはこのソナタを好んでおり、同様に第三楽章に有名な葬送行進曲を持つピアノソナタ第2番の作曲当たっては、このソナタの影響があるのではないかと考えられています。

 

【演奏について】

べートーヴェンのピアノソナタ。このCDに収められている曲は中期のソナタを中心としたものですが、月光以外はそれほど聴く機会が多くないので、新鮮な気持ちで聴いてみます。まず、第12番から。この曲は葬送ソナタとしても知られていますね。その葬送行進曲以外にも、第一楽章が変奏曲で始まり、このCDでも一番長い楽章になっています。変奏曲は、いろいろな感情表現が移り変わっていくので、面白い形式です。ここでも侘しい曲から闊達な曲への移り変わりなど、楽しく体験できました。

 

第三楽章が葬送行進曲で、第四楽章が早いパッセージが続く曲という事で、ショパンのピアノソナタにも影響を及ぼしている構成となっています。第13番は第14番とともに、幻想曲風ソナタということで、ソナタ形式の曲がありません。これは、第12番も同様なんですが…。そして、第14番も幻想曲風ということで、月光の幻想的なメロディで始まります。そして、第14番の第三楽章がこのCDで初めて出てくるソナタ形式となります。この第三楽章はベートーヴェンを代表する中期の傑作ですね。いつ聴いても圧倒される曲です。

 

最後の第19番は若干おまけ的についている感じがしないでもないですが、この曲は最初からソナタ形式でスタートしますので、シンプルな曲ですので、構築を追って聴いていくのも面白いと思いました。という訳で、安定のブレンデルの演奏で鑑賞しました。ベートーヴェンのソナタと言えば、一つ前の世代のバックハウスやケンプといったところが定番ですが、ブレンデルは、この世代ではベートーヴェンの曲を最もベートーヴェンらしく弾いてくれたピアニストで、独墺系のピアノ曲、特にベートーヴェンとシューベルトはブレンデル無くして同時代の演奏は語れないと言いたいくらいの定番のピアニスト。その頃の巨匠たちがショパンの演奏を多く残しているのに対し、そのイメージが無い(録音はゼロではない…)というのも潔くで、わたくし的には、ベートーヴェンの演奏の信頼感が気分的に増しています(笑)。

 

【録音について】

美しい録音です。ブレンデルの重量感のあるピアノの音がよく解ります。

 

【まとめ】

最近よく聴いてみるブレンデルですが、改めていろいろな演奏を聴いてみたいと思っています。私にとってもピアノ曲の鑑賞経験値のルーツとなっていると思います。

 

購入:2023/12/27、鑑賞:2024/02/03

 

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