【CDについて】
作曲:シューベルト
曲名:ピアノ・ソナタ第18番ト長調 op78 D894「幻想」 (40:34)
ピアノ・ソナタ第15番ハ長調 D840「レリーク」 (22:44)
演奏:ブレンデル(p)
録音:1988年3月15-17日 ノイマルクト
CD:PHCP-3952(レーベル:PHILIPS、発売:日本フォノグラム)
【曲について】
ピアノ・ソナタ第15番は、1825年に作曲されましたが、第三楽章および第四楽章はそこそこの部分は作曲されているものの、未完に終わっています。補筆完成版も何種類か作られていますが、完成した第二楽章まで演奏されることが多いようです。1825年といえば、シューベルトが「グレイト」を作曲した年にあたります。同じハ長調の長大なピアノ・ソナタになる予定だったようです。レリークは遺作といった意味になります。
【演奏について】
今年初めてのシューベルトのピアノ・ソナタの鑑賞です。今回は、ブレンデルで鑑賞。初めてシューベルトのピアノ・ソナタを聴いたのが、高校の頃、ブレンデルが演奏したD960でした。とてもいい曲だなと感じたのですが、あの頃は長さについていけませんでしたね…。
幻想ソナタ、いい曲ですね~。先日、このCDをイヤホンで聴きながら高速バスに乗っていて、通り過ぎる風景を眺めていると、なんとも言えない感覚に包まれました。ありがちなシチュエーションでもありますが、そんな旅情のある風景にも、よくマッチする曲かもしれません。
ブレンデルの演奏は、一音一音をとてもよく表現していて、表情豊かに聴こえます。全体の流れも、程よいニュアンスとバランスで、この曲の素晴らしい世界を作り出しています。それほど強いニュアンスで表現する訳ではなく、標準的な流れの中でこれほどの楽興を醸し出す演奏は、さすがブレンデルで、第一楽章は永遠にこの世界にとどまっていたいような、素晴らしい雰囲気に包まれました。もちろんブレンデルのこの素晴らしい演奏は、最後まで続きます。どこをとってもシューベルトという、安心感と安定感は最高のものでした。
レリークは完成されなかったピアノソナタで最後にあたるもの。第16番以降はすべて完成されています。第一楽章は、重厚で響きの多彩な押しが強い曲という感じを持ちました。完成した6曲とはまた違った雰囲気を感じます。第二楽章もメロディは美しいながらも、ガッチリした感じのする緩徐楽章だったという印象です。四楽章版もいろいろあると思うので、通して聴いてみたと思いました。
【録音について】
ブレンデルの強いピアノの音がよく響きます。音は大きめですね。
【まとめ】
自分的にはブレンデルのシューベルトにやっと帰って来たという感じで、このCDはちょっと感慨深く聴いていました。聴けばよかったと言えばそれまでではありますが、無理なく順を追ってというのもありますしね(笑)。これからもブレンデルは聴いてみたいと思います。
購入:2023/12/14、鑑賞:2024/01/02
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