【新譜】シューベルト:八重奏曲ヘ長調 フィルハーモニック・アンサンブル・ベルリン (2023) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
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その時の印象を大切に。

【CDについて】

作曲:シューベルト

曲名:八重奏曲ヘ長調 D803 op166 (61:01)

演奏:フィルハーモニック・アンサンブル・ベルリン

録音:2023年6月16-19日 ベルリン-ノイケルン Nikodemuskirche

CD:IC027(レーベル:Indesens Calliope Records)

 

【曲について】

シューベルトの八重奏曲D803は、ベートーヴェンの七重奏曲を意識して作曲された作品で、6楽章構成で、内容も近いものがありますし、編成は七重奏曲+第2ヴァイオリンですね。クラリネット、ファゴット、ホルンに、弦楽四重奏とコントラバスという形です。ディヴェルティメントなどの流れをくむ合奏曲という位置づけでしょうか。

 

【演奏について】

フィルハーモニック・アンサンブル・ベルリンという演奏者名になっているCDで、日本語だと「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のソリストたち」と書かれているので、常設団体という事では無さそうですが、どうなんでしょうか?10人前後のこういった曲の録音と言えば、ウィーン・フィル母体の団体と、ベルリン・フィル母体の団体の主戦場?という感じですが、双方特色が出て面白いと思います。モーツァルトのK334とか比べると性格がでますね。ウィーンの方が旋律がはっきりして歌うような演奏で、ベルリンの方はシンフォニックな感じと言ったところでしょうか。この曲は、昔のウィーンの録音は聴いたことがありますが、ベルリンで聴くのは初めてです。

 

聴いた感じも、全体的にパワフルな感じがします。ウィーンの方はどの楽章もメロディが浮き立つような所が強調されている印象ですが、こちらはここにはそれほど目立たず、全体で音楽が進んでいく感じと申しましょうか…一概に言えないかもしれず、難しいですが。ただし、第四楽章の変奏曲とかは、楽器ごとにいろいろな変奏が移り変わっていく感じがあるので、ソリストの素晴らしいパフォーマンスが目だって、興味深く感じました。

 

あとは、時代と共にスタイルも技術も変わって行っていると思いますので、今のベルリンの録音と、古いウィーンの録音を比較してもどうか…というところはあるかも知れません。ただ、伝統の音は確かに存在して、そもそもホルンが違いますね。それほど聴き込んだ曲ではないので、細かいことは言えないのですが、きっとこれが今様の八重奏曲なんだろうな…と思いながら、シューベルトの音楽に浸っていたのでした。シューベルトの充実した時期の作品でした。

 

【録音について】

まとまりのいい録音という感じでしょうか。尖ったところが無いですね。いい録音と思います。

 

【まとめ】

こういった曲の新譜は、独墺系の音楽の伝統と現代が交錯するようで、ちょっと面白く感じました。例えば60年代の演奏と、2023年の演奏では、もしかしたらスタンスも違ってくるのかもしれないなと思ったりで、そうこう考えるのも面白かったです。

 

購入:2024/01/14、鑑賞:2023/02/08

 

八重奏曲の過去記事です。