リース:クラリネット室内楽曲集 クレッカー(cl) ドゥイス(p)他 (2003/4) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
一言二言で印象を書き留めておきたい。
長い文章だと、書くことが主になってしまう。
その時の印象を大切に。

【CDについて】

作曲:リース

曲名:クラリネット三重奏曲変ロ長調 op28 (23:53)

   クラリネット・ソナタト短調 op29 (24:59)

   クラリネット・ソナタ変ホ長調 op169 (20:23)

演奏:クレッカー(cl)、フロム(vc)、ドゥイス(p)

録音:2003年11月17-21日、2004年5月10,11日

   ハイデルベルク/サントハウゼン Tonstudio Teije von Geest

CD:777 036-2(レーベル:CPO)

 

【曲について】

クラリネット三重奏曲op28は、作曲の経緯等は定かでないようですが、クラリネットはヴァイオリンでも演奏することができて、その場合はピアノ三重奏曲ということになります。op29のソナタもヴァイオリンでも演奏できるようですが、元来クラリネットのために作曲された曲と考えられており、初期のこの形式の曲として重要な位置を占めると考えられているとのこと。op169のソナタはフルート・ソナタ(感傷的なソナタ)としても知られています。

 

【演奏について】

フェルディナント・リースは、ベートーヴェンのピアノの弟子であり、師の回想録の執筆で知られています。作曲家としては、約300曲の作品を残しているとのことですが、長らく忘れられた作曲家となっていたようです。そして、近年CPOやNAXOSの録音によって作品が網羅され、急速に研究が進むこととなりました。今日はそんなリースのクラリネットの室内楽作品。初めて聴きます。作曲年代は、1808~1814の間になります。

 

一通りざっと聴いた印象としては、師であるベートーヴェンの影響を受けた古典派の曲をベースとしつつ、メロディや装飾などロマン派のイメージも漂っていました。まず目立つのは、ピアノの伴奏がとにかく派手で目立つこと。これがかなり強い第一印象でした。逆に緩徐楽章の印象が薄くかんじます。ピアノ伴奏の装飾の多さや派手さは、すべての曲に共通していて、対してクラリネットはピアノの多彩さに比べて音色が少し単調な感じもしました。と、とりあえず聴いて、あとはじっくり楽しみます。

 

トリオはやはりチェロが入っている分、音が多彩で厚くなっています。第一楽章はなかなか面白いです。クラリネットの音色も多彩ですね。緩徐楽章はシンプルに入ってチェロでメロディを奏でる展開は粋ですねぇ…。ト短調のソナタも第一楽章はいろいろ凝っていて、クラリネットのいろいろな表情を聴くことができます。伴奏のピアノのおかげで、終始華やかな感じがして、どこを聴いても楽しい曲でもあります。リースの曲を初めて聴きましたが、なかなかいい曲でした。埋もれてしまうには惜しい曲でした。室内楽の名曲との出会いはとても楽しいものです。

 

【録音について】

3つの楽器の音が、それぞれ特徴的に捉えられていました。いい録音と思います。

 

【まとめ】

始めて聴くリースの曲。いい発見がありました。あと、このCDをイヤホンで聴いたり、大きいスピーカーで聴いたり、小さなセットで聴いたりと、いろいろしてみましたが、クラリネットの音色がそれぞれ違って聴こえることがよく解りました。一番心地よい音は何かなぁと思いながら聴いていたのですが、奥が深いです。

 

購入:2023/12/08、鑑賞:2024/02/01