ベートーヴェン:ディアベッリ変奏曲 ブレンデル(p) (1976) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】
作曲:ベートーヴェン
曲名:ディアベッリ変奏曲 ハ長調 op120 (51:11)

演奏:ブレンデル(p)
録音:1976年2月8日 ロンドン BBC Studio (ライヴ)
CD:PHCP-9609(レーベル:PHILIPS、発売:ポリグラム)

 

【曲に関して】

変奏曲の大傑作と言われており、大変敷居の高い曲である。同じような作品にバッハのゴルトベルク変奏曲があるが、どちらも50分超。変奏曲数も30曲を越えている。このCDのライナーノーツにも、ベートーヴェンのピアノ芸術の総決算ともいえるこの曲という表現がある。そういった批評家諸氏の文章を見るたびにどんどん敷居が上がるのであるが、実際にいざ聴くのに勇気がいるのは、その長さと、とりとめもなく聴いているとどうしても睡魔に襲われるというところかもしれない。

 

【演奏についての感想】

CD棚には2枚ほどこの曲のCDがあるが、全く記憶に残っていない。途中で記憶が飛んだのだろうか?(笑)。今回のブレンデルのCDは、購入してまだ聴いていなかったもの。きっとヤフオクでたくさん買い集めたものの1枚ではないかと思う。よく見てみると、ディアベリは未聴の棚に、他にも1枚あったが、とりあえず今回はブレンデル盤を拝聴。

簡素なディアベッリのワルツで始まり、そのまま第一変奏へ。ライナーノーツには「第一変奏にきく精神の大きさ、深さ」とあるが、この短い変奏で、いきなり精神の大きさとは何ぞや?と怪訝に思うのである。そんな感じで第14変奏まで進む。ライナーノーツには「きき手はこの第14変奏あたりで、言わばエア・ポケットに落ち込んだような、一種のたるみを感じるものである」と書いてある。つまりこれは、このあたりで寝落ちするということの芸術的表現であろう。実際ここで一回寝落ちして、元に戻って聞き直した(笑)。

実際、一つ一つの変奏には晩年のベートーヴェンの完成した技法が込められており、その多彩さ凄さはわかる人にはわかるという事ではないだろうか?そして、曲のつなぎなども、前後関係を意識しながら、間やテンポなど、どうやって次に移行していくかという構成感もポイントではないかと思う。このCDはライヴということで、そのあたりの作り方もスタジオ録音とは違って、より自然によりドラマチックになされているのではないかと思った。

その全体の33曲は、いくつかのまとまりで、それぞれピークを作っている。そして、第29変奏以降が圧巻である。もはや元の主題はどこかに行って、壮大に展開していく。今回は一応そういう造りになっていることは判ったので、また次のCDを聴くときに心して聴きたい。

 

【録音に関して】
ちょっと高音やフォルテがきつかったり、音量の限界を越えたりします。あとライヴですので咳など少々あります。これは問題はないですが。

【まとめ】
このCDを聴いて、初めてこの曲のイメージが湧いてきました。ライヴなりのニュアンスなどもあると思うので、そのあたりわかりやすく聞けて、いいCDではないかと思います。

購入:不明、鑑賞:2023/05/21