その①② ↓↓ よりつづく…
さて、Amazon Primeで視聴できたので、「北ホテル」の映画化作品をじっくり鑑賞させていただいた。1938年に公開された作品で、監督はマルセル・カルネである。
映画化ということで、より娯楽性が増した印象。群像劇というスタイルから、北ホテルを背景として、その中のエピソードを創作し、サスペンス風味やメロドラマという形でまとめられている。これに対して原作とは異なるという評価もできるが、むしろこの「北ホテル」のエッセンスをうまく織り込み、その北ホテルでの日常の情緒を活かして、当時のフランス映画の名作を作り上げたという風に見るのが良いと思う。メインのストーリーを軸にしながら、北ホテルを人生の通過点として、そこに行き交う人々の哀愁を見事に表現している。1938年と言えば、トーキーが熟成され、名画がたくさん生まれている、そんな時代である。
以下、私の映画ブログに、詳細のあらすじや感想をアップしたので、ご興味あれば…
さて、クラシック音楽がメインのブログという事で、音楽の話題も追記しておきたい。この映画の音楽がそれほど有名かというと、そうでもないと思うが、この映画に音楽をつけたのは、モーリス・ジョベールである。モーリス・ジョベールは、1900年生まれの作曲家で、1940年に第二次大戦に従軍し戦死した。しかし、1930年代の映画に音楽が重要な位置を占め、ともに発展した時代に、数多くの名画に対して音楽を作曲していた。まさにフランスの映画音楽の成長時代の作曲家で、その曲は、ジャン・ヴィゴ、ルネ・クレール、ジュリアン・デュヴィヴィエ、マルセル・カルネ監督などによる、多くの錚々たる作品を飾っている。
モーリス・ジョベールは、元来クラシック音楽の作曲家であり、クラシックの分野でも多くの曲を残しているはずなので探してみた。とりあえず見つけたのが、以下の曲がが含まれるCDのもの。このバラード(1934)は映画音楽でなく、劇音楽「テッサ、誠実な心を持ったニンフ」からの曲ということのようだ。クラシックとは言っても、映画音楽タッチを感じる曲だったので、いつか純クラシック作品も探してみたいと思う。
マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団の演奏によるバラード(1934)
さて、今日は7月14日で、パリ祭の日。映画「北ホテル」もラストはパリ祭の日であった。オリンピックを控えたパリ。今日は盛り上がることだろう…。
~ 完 ~