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~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【LPについて】

作曲、曲名:

   ラヴェル:ボレロ (14:13)

   オネゲル:交響的楽章「パシフィック2.3.1.」 (6:06)

   デュカ:交響詩「魔法使いの弟子」 (10:47)

   ラヴェル:ラ・ヴァルス (12:47)

演奏:アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団

録音:1963年

CD:GT9245(レーベル:LONDON、発売:キングレコード)

 

【曲と演奏について】

アンセルメの没後10年にあたって発売された、廉価版LPシリーズです。ちょうど高校生の頃、クラシックを聴き始めた頃店頭に並んでいたので、よく手に取ってみました。このあたりのオーケストラの録音は、私にとってもクラシック入門に大いに役立ったと思います。

 

颯爽としたテンポで始まるボレロは、全くテンポを変えずにクレッシェンドしていくのは譜面通りです。この録音を聴くと、溶け合うような楽器の暖かく柔らかい音色に感動します。きっとこれはアンセルメ=スイス・ロマンドのもので、後年にこの分野の録音を引き継いだデュトワ=モントリオールのクリアで絢爛な音とはまた違う、一昔前の管弦楽名曲集の響きだと思います。颯爽としたテンポですっきりと終わりますが、音色の美しさに迫力を加えていく様子は、はアナログ時代の録音の美しさをそのまま表現したようなものでした。

 

パシフィック2・3・1は、改めてじっくり聴くとシンプルな曲ではありますが、この録音で聴いても、音域の広さと迫力を感じられました。いつもクラフトワークの「トランス・ヨーロッパ・エクスプレス」を思い出してしまう面白い曲です。魔法使いの弟子も標題的な面白さがある曲。ファンタジアの曲で有名ですね。箒がいっぱいになります。これも正確なリズムの刻みでクレッシェンドしていく曲で、そういえばボレロといい、パシフィック2.3.1.といい、そういったリズムとクレッシェンドの曲で構成されたアルバムになっていますね(笑)。

 

最後にラ・ヴァルス前日の記事で聴いた曲です。あのCDを聴いて、久しぶりにこのLPを聴いてみようと思いました(笑)。雲の中から徐々にウィンナ・ワルツが形作られていくところが圧巻な曲。雲は晴れていきますが、ラヴェルの曲なのでウィンナ・ワルツといっても、あくまでラヴェルの雲間を漂うような印象が残ります。アンセルメの演奏はリズムは乱れず美しい音色で温かみのある絢爛さを作っているような気がします。長年演奏を共にしてきたスイス・ロマンド管弦楽団で、この音色とスッキリした構成感を出していくのは、まさにアンセルメの真骨頂なのでしょう。

 

【録音について】
オーケストラの音色や残響まで、音域も広く明確に捉えられているいい録音だと思います。

 

【まとめ】

昔買ったLPレコードを聴くと、当時聴いていた音楽がなかなか贅沢なものであったことを感じつつ、今や当時より更に美しい音で、全く同じ音源を聴くことができるのは大変楽しいことだと思いました。この「アンセルメの芸術」シリーズは帯の裏に書いてあるラインナップがけっこう興味深くて、アンセルメはCDのBOXで全録音を聴くことができますが、当時のLPを見つけて振り返ってみたいと密かに思いました。実行に移すと沼ですが…

 

購入:1980年頃、鑑賞:2024/05/03

 

関連する過去記事です。

 

 

 

 

ショスタコーヴィチの時代 ㊶

最近リリースされた新譜から ㊳

ショスタコーヴィチが1952年に作曲した子供のためのピアノ曲集。ちょうど最近新譜としてリリースされたので、さっそく聴いてみました。全曲は聴いたことが無かったので。作曲されたのは、交響曲第10番の前年になります。アルバムは、アンナ・ヴィニツカヤさんの作品で、彼女は、2007年のエリザベート王妃国際音楽コンクールの覇者ですね。

【CDについて】

作曲・曲名:

   ラヴェル:優雅で感傷的なワルツ (16:29)
   ショスタコーヴィチ:七つの人形の踊り (10:35)
   ヴィトマン:サーカス・ダンス (22:45)
   ラヴェル:ラ・ヴァルス (12:21)
演奏:ヴィニツカヤ(p)

録音:2023年7月 Teldec Studio

CD:ALPHA 1044(レーベル:Alpha)

 

【曲と演奏について】

まずは、ショスタコーヴィチの七つの人形の踊りについて

この曲は、1952年に若きピアニストのために書かれた比較的易しいピアノ曲集で、過去のバレエ作品などから編曲されたものです。中でも叙情的なワルツ、ロマンス、ポルカは、バレエ音楽の「明るい小川」からの選曲になっています。「明るい小川」の音楽はいろいろな所で登場してきますので、ショスタコーヴィチのお気に入りかな?と思ったりします。初期のこのタイプの作品の完成形ですね。

 

叙情的なワルツと題された曲は、他にもありますので注意ですが、この曲です(笑)。バレエ組曲からです。

 

以前にも記事に登場したCDですが、アシュケナージによる叙情的なワルツの演奏です。

 

曲集全体を聴いても、可愛らしいダンス曲集で、気軽に楽しめる(弾ける?)曲で構成されています。どの曲にも昔からのショスタコーヴィチの楽し気なセンスが溢れていました。ショスタコーヴィチは若き日々を、映画館のアルバイトで、無声映画の伴奏をつとめていました。そのような日々を振り返りながらということもあったのでしょうか。

 

最後に、もう一曲ということで、ポルカの動画をリンクします。この曲をYouTubeで検索すると、子供たちの演奏がいろいろ出てきます。子供向けの人気曲ですかね…。

 

アンナ・マリコヴァの演奏によるショスタコーヴィチの七つの人形の踊りからポルカです。

 

さて、この新譜CD全体についてです。

曲は、ラヴェル=ショスタコーヴィチ=ヴィトマン=ラヴェルという順番で構成されています。実際に聴いてみると、この4曲の構成がなかなか素晴らしくて、面白いCDでした。両端をラヴェルのシューベルトやウィンナワルツへのオマージュで挟み、間にシンプルなショスタコーヴィチと現代的なヴィトマンを置いています。

優雅で感傷的なワルツから始まります。ヴィニツカヤの演奏は、アクセントが強めの演奏で、ニュアンスに富んでいます。激しい部分は強く、叙情的なところはゆったりと歌いこんでという感じですね。音が一つ一つ丁寧に磨かれて出てくる感じで、なかなか聴かせる演奏だと思いました。

そして、7つの人形の踊りも、シンプルな曲集ではありますが、思いのこもった演奏を聴かせてくれます。

3曲目は、サーカス・ダンス。おそらく、このCDの中では中心的な役割だと思います。いろいろなタイプの短いワルツが現代風のアレンジで進行していきます。さすがにダンスできるという感じではありませんが、やってみたら実は面白いかも…。素直に受け止めて理解するのは難しいとも思ったのですが、ヴィトマンの過去の回想的要素もあるようでした。きっと最後の3曲は比較的演奏時間も長くてメインなのだろうと思います。現代における異国への誘いと、心の旅から自分を顧みるといった感じなのでしょうか。最後から2曲目のヴェネツィアのゴンドラがとても叙情的で美しく、これが一番好きかな…。そして、ラストは快活でシニカルでもある行進曲で、これはかなり凝った曲だと思いました。

そして、最後はラ・ヴァルスです。この混沌とした中から始まるピアノが、前曲との連続という事で良くマッチしていて、面白い構成だと思います。ラ・ヴァルスはラヴェル自身による2台ピアノと独奏ピアノの編曲がありますが、これはそれらを基にしてヴィニツカヤが父と共に編曲した作品とのこと。これはなかなかの編曲で、オーケストラ曲の雰囲気も持ちながらの素晴らしい演奏でした。ちょっと聴きごたえがあります。うまく全体がまとまった四楽章構成?のCDでした。

 

このCDのトレーラーは短いものしか見当たりませんでしたが、とりあえずリンクします。

 

 

 

もう一つ。ついでと言ってはなんですが、ヴィドマンの本業?のクラリネットの独奏による、自身のクラリネットのための3つの影の舞曲のリンクです。現代音楽におけるクラリネットの演奏が見られます。なるほど…。

 

購入:2024/04/29、鑑賞:2024/05/03

 

ショスタコーヴィチの7つの人形の踊りが収められたCDより

 

 

【CDについて】

作曲:J.S.バッハ

曲名:音楽の捧げもの BWV1079 (54:06)

演奏:レーデル指揮 ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団

   マルシュナー(vn)、シュネラー(vc)、レーデル(fl)、ホカンソン(chem)

録音:1964年

CD:RECD-2831(レーベル:ERATO、原盤:ERATO、発売:RVC)

 

【曲と演奏について】

前回この曲を聴いたのは、だいたい1年前で、ミュンヒンガーの録音でした。今回はレーデル。同種の演奏と言えば、そういう事になります(笑)。モダン楽器の弦楽合奏主体で、録音年代的ンもほぼ同じですね。

 

クルト・レーデルはあまり目立たないような感じですが、フルート奏者として活躍後、1952年にミュンヘン・プロ・アルテ管弦楽団を創設し、同楽団や音楽祭を指揮して活動を続けられました。早くから教授職にも就いていたとのことです。経歴からしても堅実なイメージです。60年代から数多くの録音をERATOに残しており、LP時代はERATOの廉価版にはお世話になりました。バロックからモーツァルトなどが多かったと思います。

 

久しぶりに聴くレーデルで、特段イメージは持っていなかったのですが、音楽がとても活き活きしていて楽しめたと思います。どちらかというとインテンポで淡々と進む感じではありますが、押し出しが強くて雄弁な演奏に感じました。一つ一つのフレーズが強い感じですかね…?たっぷりと音が出て歌っている感じです。そんな演奏で聴く6声のリチェルカーレは、誇張はありませんが、骨太に自然で流れてくるような感じで聴きごたえがありました。

 

【録音に関して】

音も大きめで、かつ自然でクリアに捉えられた、とてもいい録音だと思います。

 

【まとめ】

時々、ふらりと聴いてしまうバッハのCDです。大王のテーマと言われている主題ですが、バッハの処理は素晴らしいですが、主題自体も頭にしっかり残るいいメロディですね。

 

購入:2024/01/09、鑑賞:2023/05/01

 

数少ないバッハの過去記事をリンクしてみました

 

 

 

 

【CDについて】

作曲:ハイドン

曲名:ミサ曲ハ長調「戦時のミサ」 Hob.XXII:9 (45:01)

演奏:バーンスタイン指揮 バイエルン放送交響楽団・合唱団

   ブレゲン(s)、ファスベンダー(a)、アーンシェ(t)、ゾーティン(bs)

録音:1984年9月27-28日 ミュンヘン ヘルクレスザール(ライヴ)

CD:PHCP-9035(レーベル:PHILIPS)

 

【曲と演奏について】

エステルハージ家から解放されたハイドンは、イギリスで大成功を収めましたが、やがてウィーンに帰ることを決め、新たにニコラウス2世が当主となって楽団を再建しようとしていたエステルハージ家に戻り、再び楽長に就任します。ニコラウス2世はハイドンに毎年1曲のミサ曲を書くことを命じ、1796年から1802年にかけて作曲された6曲のミサ曲は、ハイドンの後期六大ミサと呼ばれようになり、ハイドンの最晩年の一連の作品を代表するものとなりました。この期間には、ミサ曲以外にも「天地創造」などオラトリオを作曲し大きな成功をおさめます。

この時期に器楽曲分野では、トランペット協奏曲変ホ長調、エルデーティ四重奏曲などを作曲していますが、既に代表的な分野である交響曲は書かれることはありませんでした。ハイドンは外的要因もあったにしろ、人生最後の作品群として、ミサ曲やオラトリオを書き進めたこととなり、そこにはかつて確立した交響曲の技法も織り込み、総合的な音楽として結実させたということだと考えられます。そのような後期6大ミサ曲の一つ「戦時のミサ」を鑑賞しました。

 

通常の典礼文に基づいたミサ曲で、「戦時の」というのは曲の内容の表現ではなく、戦時に書かれたということから来ているようです。キリエから静かに始まっていきます。合唱や独唱は美しく迫力があるものですが、その管弦楽が伴奏という役割以上に雄弁です。グロリアではチェロのソロも入り、ロマンティックな雰囲気を出す部分もあり、緩急の差もはっきりしていて、迫力と叙情性の両面を持った曲になっています。思えばこの時期はモーツァルトのミサ曲もすでに出ている時期ですので、その次の世代、ベートーヴェンへと繋がる古典派のミサ曲の集大成となる時期の作品になります。

 

この曲の大きな特徴の一つに、アニュス・デイのティンパニーの連打がありますが、とても印象に残ります。バーンスタインの演奏は、感情の篭ったもので、激しい部分の迫力は十分、叙情的な部分は特に美しく歌われます。それが良くコントロールされて、晩年のバーンスタインの素晴らしい演奏となっています。歌手陣も充実した素晴らしい歌唱でした。

 

同じメンバーによる、同年のオットーボイレン修道院バジリカ聖堂でのライヴ映像です。

 

【録音に関して】

合唱の迫力も良く捉えられていて、バランスもいい録音だと思います。

 

【まとめ】

ハイドンの音楽の最後を飾る6大ミサ曲の一つ。堪能できました。ミサ曲の名作の一つですね。そういえば、ハイドンのミサ曲でバーンスタインの演奏によるLPを1枚持っているはずです。せっかくなので、そっちも聴いてみようかな…と思った次第でした。

 

購入:不明、鑑賞:2024/05/01(再聴)

 

古典派のミサ曲に関連する過去記事リンクです。

 

 

 

 

 

 

最近リリースされた新譜から ㊲

今週は引き続き、ヨンのピアノとウリューピン指揮による、フランスのベルエポックを象徴する音楽を集めたCDを鑑賞しました。2枚組CDの2枚目にあたります。メインはナディア・ブーランジェによる、ピアノと管弦楽のための幻想曲。教育者としても20世紀の音楽に大きな影響を与えたナディア・ブーランジェの曲はどんな曲なのでしょう。

【CDについて】

①N.ブーランジェ:ピアノ管弦楽のための幻想曲 (21:19)
②フォーレ:ピアノと管弦楽のための幻想曲 op111 (14:23)
③フォーレ:夢のあとに op7-1(ヨン編によるピアノ独奏版) (2:28)
演奏:ヨン(p)、ウリューピン指揮 ベルリン放送交響楽団

録音:2023年1月3-6日 ベルリン Haus des Rundfunks, Saal 1

CD:19658863302(レーベル:SONY Classical) 2/2CD

 

【曲と演奏について】

先週に引き続き、ベル・エポックを感じるCDの2枚目です。ナディア・ブーランジェのピアノと管弦楽のための幻想曲は、1912年にピアニストであるプーニョのために作曲されました。ナディア自身は作曲をフォーレに師事しており、30歳になるまでは作曲活動を続けていましたが、卓越した作曲センスを持ち虚弱でもあった妹のリリ・ブーランジェには敵わないという自覚により、6歳年下のリリの死後は作曲の筆は折ってしまったとのこと。その後のナディアの教育者としての活躍は華々しく、著名な門人は数知れずという事となりました。

 

この幻想曲はプーニョのために作曲されましたが、ナディアとプーニョは深い愛で結ばれていたということが、残された資料により明らかになっているようです。曲は荘厳な雰囲気で、ドラマティックに開始されます。そして、壮大な音の渦中へと引き込まれていき、音楽は映画や舞台音楽的な、豪華絢爛たる展開を見せるものでした。そこには20世紀初頭の雰囲気を色濃く感じられます。進行の中で、ヴァイオリンのソロにピアノがキラキラと輝くように絡んだりと、とてもロマンティックになったりします。メロディをすぐに思い出すような曲では無く、雰囲気で聴く感じで、ドビュッシー的なのかもしれません。大変豪華な感じのする曲なのでした。

 

とりあえず見つけた動画は、グレイルザンマーのピアノとスローン指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団による演奏です。

 

このCDには、あとはフォーレの作品が2曲。「ピアノと管弦楽のための幻想曲op111」と、ピアノ独奏版の「夢のあとに」がカプリングされています。幻想曲はフォーレの晩年にあたる1918年の作品になります。この曲はピアノがとても輝かしい曲で、オーケストラは色を添えるといった雰囲気です。幻想曲的なとりとめの無い雰囲気を感じる曲でもありました。オーケストラは、進むにつれて少し頑張り出すところはありますが、あくまでもピアノのソロが中心の曲だと思いました。

 

ベル・エポックをテーマに、ブーランジェとその師でもあったフォーレのきらびやかな作品が収められたCDでした。実際ベル・エポックの雰囲気というものを感じるすべはないのですが、なんとなくバブル時代の華々しさを思い出して、一人納得するのでした。

 

華やかなベル・エポックの最後に「夢のあとに」というセンスも面白いなと…。バブル崩壊のあとも、まさに「夢のあとに」があちこちに見られました(笑)歌は鮫島有美子さんです。

 

【録音について】

1枚目と同様で、ちょっと音量が大きめですかね…。

 

【まとめ】

ベル・エポックから狂乱の時代へ。輝かしい時代の後の反動はいろいろな形で訪れるものですが、その時代はとても躍動的なので、一度経験したものとしてはいつまでも懐かしい時代でもあるのでした。

 

購入:2024/03/16、鑑賞:2024/04/30

 

CD1の記事のリンクです。

 

【LPについて】

作曲:J.S.バッハ

曲名:トッカータハ短調 BWV911 (10:53)

   パルティータ第2番ハ短調 BWV826 (18:56)

   イギリス組曲第2番イ短調 BWV807 (20:05)

演奏:アルゲリッチ(p)

録音:1979年2月6-9日 ベルリン ラングヴィッツ・スタジオ

CD:MG1249(レーベル:DG、発売:ポリドール)

 

【曲と演奏について】

今日は、またまた古いLPレコードを取り出してきました。これからも時々聴いてみようと思います。CDだと、なんとなく聴き流してしまうところもあるのですが、LPだと居ずまいを正して聴いてしまいます。70分のCDを緊張感を持って聴くのは厳しいところもあるので、この程度の時間がちょうどいいという事もありますし、針を落として流れてくる音が、なんとも自然な感じがして、音を聴いている楽しみもあったりと、なかなかいいものです。CDの便利さと引き換えに失ったものもあったかなと…。今やそのCDさえ過去のものになりつつありますが…。

 

さてと、このLPは私が最初に買ったアルゲリッチのレコードで、FM誌やレコ芸の評判も良くて、聞き逃してはならないものという気がしたので買ったのでした。アルゲリッチのジャケットの美貌にも惹かれたところもあることは、否定しません(笑)。バッハの音楽は当時の私としてはたいそう敷居の高いものでしたし、演奏に至ってはバッハの曲の聴き比べをしても、未だに何が何だかわからないところがあるので何とも言えません。この演奏は、いつ聴いても流麗な感じがしますし、アルゲリッチのイメージの強く速いというよりは、サラサラ流れるような演奏ではないかと思います。それがバッハなのかもしれません…。

 

このLPのジャケット裏は黒田恭一さんのライナーが書かれていて、バッハをピアノで演奏することがいかに勇気のいることかが、ポリーニやバレンボイム・ルプーといった当時の若手ピアニストが録音していないことなどを引き合いに出しつつ語られています。そういう時代だったのかなと思いつつ、グールドやヒューイットたちはむしろバッハからという感じでしたから、レパートリーの持ち方なのかな…と思ったりして。アルゲリッチの最初の先生であったグルダはバッハはずっと弾いていますね。そんなこんな考えつつ、アルゲリッチのバッハに浸っていた50分なのでした。

 

【録音について】
アルゲリッチのピアノの音は、予想以上に軽やかに聴こえました。

 

【まとめ】

アルゲリッチのこのあとだんだんソロの演奏をしなくなりました。ということで、ソロとしてはかなり最後期の録音になりますね。このあとは、クライスレリアーナとか?この録音は、アルゲリッチのあまり感情過多にならないような流麗な演奏かなと思いました。私としては、バッハのピアノというとすぐ頭に思い浮かぶ演奏は、このLPとグールドのインヴェンションなのでした。

 

購入:1980年頃、鑑賞:2024/04/30

 

アルゲリッチのピアノに関する記事です。

 

 

 

 

 

【CDについて】

作曲:シューマン

曲名:オーボエとピアノのための3つのロマンス op94 (14.12)

   夕べの歌 op85-12 (ヨアヒム編) (2:41)

   アダージョとアレグロ 変イ長調 op70 (9:23)

   幻想小曲集op73 (12:41)*

   民謡風の5つの小品 op102 より第2~4曲 (11:14)

演奏:ホリガー(ob,ob-d'amor*)、ブレンデル(p)

録音:1979年9月21-22日 ロンドン ウェンブリー

CD:PHCP-3621(レーベル:PHILIPS)

 

【曲と演奏について】

シューマン作曲による、オーボエとピアノのデュオのCDです。とはいっても、シューマンがオリジナルでオーボエのために作曲した曲は、最初のロマンスのみで、他の曲はそれぞれ別の楽器のために作曲され、オーボエで演奏できるように編曲されたものになります。それでは、聴いてみます。

 

オーボエとピアノのための3つのロマンス op94

シューマンの唯一のオーボエ作品で、、特定のソリストのための作品では無く、純粋にオーボエ・デュオとして作曲され、妻のクララ・シューマンにクリスマスプレゼントとして贈りました。

大変穏やかな印象と持つ演奏であり曲でした。ホリガーのオーボエが穏やかにたっぷりと歌われます。ロマンティックな歌を聴いているような曲だと思います。演奏の雰囲気がとても素晴らしく情緒があり、この曲の名演ではないでしょうか。曲の美しさを改めて感じることのできる演奏と思います。ホリガーの音は張りがあって優しい感じのする音でした。

 

夕べの歌 op85-12

「小さな子供と大きな子供のための12の連弾曲集」の中に収められたピアノ連弾曲から、ヨアヒムによって、オーボエ、フルート、ヴァイオリンいずれでも演奏できるように編曲された作品です。これも情緒のある曲で、伸びやかなオーボエの音が楽しめる曲でした。

 

アダージョとアレグロ 変イ長調 op70

これは先週もホルンとピアノ版で鑑賞しました。ホルンパートは作曲者によってヴァイオリン版とチェロ版も残されましたが、このオーボエ版はヴァイオリン版を基にしていて、ホルンの原曲からすると1オクターヴ高くなっています。そういった事ですので、ホルン版よりも随分と明るく聴こえるわけですが、この曲は前の2曲と比較してもピアノがより目だって対等な関係になっているようで、デュオの曲として大変優れた曲だと思いました。

 

幻想小曲集op73

この曲は、クラリネットとピアノのためのデュオとして作曲された作品で、出版時にはヴァイオリンやチェロ版の楽譜もつけられたとのこと。このCDではオーボエ・ダモーレでの演奏になっています。原曲はA管で書かれていますので、オーボエ・ダモーレも同じA管ですから、そのままクラリネットの楽譜で演奏できるようです。低音がはっきりした柔らかい音が特徴ですね。op70と同様にデュオが映える曲で、構成的にも主題やリズムが綿密に関連しながら進む曲になっています。

 

民謡風の5つの小品 op102 より第2~4曲

原曲はチェロとピアノのために作曲された作品で、シューマンの作曲したチェロとピアノデュオの唯一の作品になっています。出版時には別にヴァイオリン版も用意されました。最後は再び冒頭の曲の雰囲気に戻って、伸びやかな作品となりました。

 

これれの作品は、それぞれ、オーボエ・4手・ホルン・クラリネット・チェロと、比較的登場頻度の低い楽器のデュオ作品で。この時期にある程度集中して作曲されています。そして、特定の巨匠演奏家を意図した作品では無く、いろいろな楽器に移して演奏できるようになっているのも特徴的です。このCDではオーボエで全曲演奏していますが、ヴァイオリンでも普通に演奏できるのですね。テクニックよりは室内楽的な叙情を中心とした曲集で、ホリガーの伸びやかなオーボエの音と、ブレンデルの影になり日向に出てと、しっかり役割を果たしているピアノとのデュオがとても心地よいCDでした。

 

【録音に関して】

ホリガーのオーボエの音が、とても柔らかで張りがあるように聴こえます。いい録音だと思います。

 

【まとめ】

オーボエとピアノのデュオの室内楽作品のCDは今回初めてかもしれませんが、優しげなオーボエの音の世界がとても良かったと思います。

 

購入:2023/08/15、鑑賞:2024/04/30

 

シューマンの室内楽を中心とした関連シンクです。

 

 

 

 

 

【CDについて】

作曲:マーラー

曲名:交響曲第1番ニ長調 (55:53)

演奏:ショルティ指揮、シカゴ交響楽団

録音:1983年10 シカゴ Orchestra Hall

CD:F35L-50050(レーベル:LONDON)

 

【曲と演奏について】

たくさん購入してしまったマーラーのCDを聴いております(笑)。ショルティとシカゴ響の演奏も、一時代を築いた演奏として記憶しております。いくつかの演奏は聴いたのですが、第1番は聴いていませんでした。さて、第一楽章、予想外に穏やかに始まりました。あたかも黎明のように、曲が始まっていく感じです。ゆったりと穏やかですが、スピードが上がれば美しくかつ豪快に。きっかけなどもアクセントとしてつけられている感じです。そして、田園風景のような絵画的情景が続き、ここぞというところはアクセントをつけて、メリハリをつけながらグンと盛り上がります。

 

第二楽章も旋律のくっきりとした、明瞭な演奏が楽しめます。だたし、そもそものショルティの一部のイメージのように、ガンガン音を響かせるというものではなく、緊密度の高い音楽と出も申しましょうか…。第三楽章も穏やかな感じで流れていき、強調するところで、さっとテンポが動く感じでした。第四楽章の冒頭は大迫力です。この録音の音圧の大きさを感じました。そして再び音楽は落ち着き、朗々と旋律を歌い上げたあと、コーダに向かいます。

 

全体として、振幅は大きく感じました。しかし、何か押しまくるという感じではなく、穏やかな中に大きめのニュアンスを込めて、緻密に演奏されている感じがしました。そういった中では、どの部分も聞かせ所であり、密度の高い演奏のような印象を残しました。

 

【録音に関して】

優秀な録音で、込められた迫力や音圧など申し分なく、ダイナミックレンジも大きく収められていると思います。

 

【まとめ】

マーラーの第1番を聴くのも随分久しぶりになりました。ショルティの演奏は想像したほどの豪快さを感じませんでしたが、綿密な演奏の中で、オーケストラをしっかり鳴らしてこの名曲を表現したという感じでしょうか…。同じショルティ=シカゴ響といっても、直近で聴いた第6番の録音とは13年も時間が経過しています。肌触りが違ってくるものかもしれないな…。と思いました。

 

購入:2024/02/26、鑑賞:2024/04/29

 

リンクは今までの記事から関連するものをピックアップしました。

 

 

 

ショスタコーヴィチの時代 ㊵

今週はこの時代に作曲された、祝典序曲です。短い曲ではありますが、1曲づつ拾っていっております。どれかの交響曲のカプリングにありそうですが、このCDしか持っていませんでしたので、ついでにロシアの名序曲集を聴くことになります。なかなか聴かないCDなので良しとしましょう(笑)。

【CDについて】

作曲・曲名:

   グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 (4:47)
   ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲 (10:16)
   ショスタコーヴィチ:祝典序曲 op96 (5:37)
   プロコフィエフ:歌劇「セミヨン・コトコ」op81 序曲 (3:37)
   カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニョン」op24 序曲 (5:31)
   リムスキー=コルサコフ:歌劇「皇帝の花嫁」序曲 (6:30)
   ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」前奏曲 (5:28)
   チャイコフスキー:序曲ヘ長調 (11:05)
   グラズノフ:祝典序曲 op73 (9:11)

演奏:プレトニョフ指揮、ロシア・ナショナル管弦楽団

録音:1993年11月 モスクワ Conservatory Concert Hall

CD:439 892-2(レーベル:DG)

 

【曲と演奏について】

まずは、ショスタコーヴィチの祝典序曲について

元々この曲は、1947年8月に革命30周年記念として作曲されましたが発表されず、スターリンの死の翌年にあたる1954年に、ロシア革命37周年記念演奏会のためにボリショイ劇場管弦楽団からの委嘱を受けて改作されたものです。ボリショイ劇場管弦楽団の指揮者ネボルシンは演奏会の開幕にふさわしい曲が無かったため、演奏会当日の数日前になって、ショスタコーヴィチに依頼し、ショスタコーヴィチはわずか3日間で書き上げたとのことです。元々原稿があったとはいえ、速いですね。

現在でも比較的人気で、オーケストラレパートリーとしても広く演奏されており、吹奏楽演奏用にも編曲されて盛んに演奏されているとのこと。一聴して吹奏楽の曲かと思ったほど、管楽器群が大活躍する曲です。このCDの冒頭にある「ルスランとリュドミラ」に匹敵するような華々しく展開する曲で、音が目まぐるしく駆け回る様な主題が次々と受け継がれていき、見せ場たっぷりの曲。まさに開幕にうってつけの曲になっているようです。


演奏は、名手揃いのロシア・ナショナル管弦楽団。聴きごたえのある演奏でした。

 

ここは、ムラヴィンスキー=レニングラードでも聴いてみましょう。1956年の演奏です。

 

それでは、他の作品もせっかくですので聴いてみましょう…。

 

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

開幕はやはりこれです。あのムラヴィンスキーの演奏と同じくらいのスピード。切れる感じはムラヴィンスキーの方があったように思いますが、こちらもなかなか…。その上音に厚みが加わり、落ち着いた感じになっている気がします。

 

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲

ボロディンの死後、リムスキー=コルサコフとグラズノフによって補筆完成されました。韃靼人の踊りが有名なイーゴリ公ですが、序曲もロシア風のメロディに溢れています。

 

プロコフィエフ:歌劇「セミヨン・コトコ」序曲

これは、とてもメロディの美しいロマンティックな曲でした。オペラのあらすじは、ソ連帰国後初めてのソビエト的なものを題材としていますが、演出家のメイエルホリドが捉えられて処刑されたことから、初演は延期になったとのこと。大粛清の時代の作品です。

 

カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニョン」序曲

社会主義リアリズムの実践者であったカバレフスキーは、平易な曲や青少年向けの曲を多く作曲しましたが、この曲も明るく闊達な感じの聴きやすい曲でした。吹奏楽編曲でも良く演奏されるとのことです。

 

リムスキー=コルサコフ:歌劇「皇帝の花嫁」序曲

最近、実演を聴いたばかりです。リムスキー=コルサコフらしい、輝かしくドラマティックな曲。けっこう好きですねこの曲。演奏も明快で美しいものでした。

 

ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」前奏曲

「モスクワ河の夜明け」という題名も持ち、ムソルグスキーの死後リムスキー=コルサコフによってオーケストレーションされて完成された「ホヴァンシチナ」の前奏曲。このリムスキー=コルサコフ版を問題視する声も多く、原曲に忠実に改めて編曲しなおしたのがショスタコーヴィチで、このCDでの演奏を含め、今日最も演奏機会の多いものとなっています。

 

チャイコフスキー:序曲ヘ長調
1865年に作曲された曲で、op1より前の作品。静かに始まって盛り上がり、穏やかなメロディがあって、再び盛り上がりという形を繰り返しつつ、コーダへと向かっていく、いかにも序曲という作品でした。学生時代の作品で1年後に手を加えて拡大して好評を得たとのことです。ただ、後年のチャイコフスキーの作品のように、印象に残りやすい作品では無いと思いました。

 

グラズノフ:祝典序曲 op73 (9:11)

最後は、グラズノフの祝典序曲で、これもあまり聴かない曲です。ただしこれはチャイコフスキーのものよりは、華やかでメロディも美しく、馴染みやすい曲でした。演奏効果もありそうで、時々コンサートでも取り上げられる曲のようです。

 

とりあえず1曲何かということで、セミヨン・コトコ序曲を上げておきます。ゲルギエフ=マリインスキーによる演奏です。

 

 

さて、演奏しているプレトニョフですが、ウクライナ侵攻に公然と批判的な発言をしていることから、ロシア・ナショナル管弦楽団を追われてしまったような形になっているようです。プレトニョフは、ロシア・ナショナル管弦楽団の18人の奏者とウクライナ人やヨーロッパの音楽家を集めて新たにラフマニノフ国際管弦楽団を結成し、その最初のCDが先ごろ発売されました。思えば、プレトニョフとロシア・ナショナル管弦楽団は初来日の時にコンサートを聴きに行っています。是非新しいオーケストラの演奏も聴いてみたいと思っているところです。

 

購入:不明、鑑賞:2024/04/25

 

関連リンクとして、今回は祝典序曲をショスタコーヴィチに依頼したネボルシンの演奏を

 

 

 

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ㉚

【CDについて】

作曲:マーラー

曲名:交響曲第5番嬰ハ短調 (74:17)

演奏:バルビローリ指揮、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

録音:1969年7月16-18日 ロンドン Watford Town Hall

CD:CDM 7 64749 2(レーベル:EMI)

 

【曲と演奏についての感想】

未聴のマーラーのCDの消化です。棚にこのCDを発見して、あぁこれ持っていたんだなと…。時々、聴いてみたいなと思ってネットで眺めていたので、見つけて良かった(笑)。バルビローリのマーラーと言えば、交響曲第9番が長年名盤として聴き継がれていた時代があったと思いますが、これは第5番。バルビローリが亡くなる1年前の録音で、最後のマーラーの交響曲の録音と名たものです。

 

冒頭は堂々とした荘厳な導入で始まります。そこからじっくりと流れていく音楽は、古き良き時代のクラシック鑑賞の雰囲気を思い出させるもの。この演奏時間はバーンスタイン盤にも相当するものですが、ここまでじっくりと演奏される第一楽章は、なかなかお目にかかれないものだと思います。テンポの速い部分との対比も際立ちますが、基本テンポは一貫しているので、違和感は感じません。とても、ダイナミックというかドラマティックな演奏であると思います。この基調は、楽章が変わっても崩れることがなく、ずっとマーラーの音の世界に没入しているうちに第二楽章まで聴き終えてしまいました。そして、この音の繋がりの中から、なぜかいろいろな懐かしい私事の風景が頭の中で交錯していきます。

 

第三楽章は、決して早くなるわけではありませんが、普通のテンポに近い感じで、丁寧に進んでいきます。これは聴き続けてきた慣れかもしれません。いろいろな楽想が美しく表現されています。第四楽章はゆったりした演奏の流れの中での標準的なテンポでの演奏でした。とても美しい雰囲気のある演奏ですが、感情過多にはならず音楽が流れていきます、第四楽章はこの曲の中でも、別世界のような雰囲気を持っていますが、この流れの中では尚更に感じます。最終楽章は元のゆっくりとしたテンポに戻って、細部まで丁寧に演奏されつつフィナーレを迎えました。

 

このテンポでの乱れを感じさせない、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の演奏力も素晴らしいものと思います。バルビローリの演奏は熱い演奏でもあり、懐かしい演奏でもありという感じで、クーベリックの全集も無く、マーラーブーム前夜での代表的な演奏の一つであったと思います。この曲ではかなり長めの演奏時間でしたが、それほど長さを感じず終わりました。とても充実した演奏でした。このじっくりと歌われる演奏を聴いて、今更この曲に対するイメージが少し変わったかもしれません。

 

【録音に関して】

EMI録音という尺度を持って聴いているかもしれませんが、それにしては曲全体の雰囲気がよく表現された、いい録音だと思います。

 

【まとめ】

バルビローリの録音を聴いていると、何か往年のクラシック鑑賞の情景を思い出して、懐かしい感じがするのでした。

 

購入:不明、鑑賞:2024/04/25

 

このブログのマーラーの交響曲第5番に関する過去記事からのリンクです