マーラー:交響曲第5番 バルビローリ ニュー・フィルハーモニアo (1969) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ㉚

【CDについて】

作曲:マーラー

曲名:交響曲第5番嬰ハ短調 (74:17)

演奏:バルビローリ指揮、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

録音:1969年7月16-18日 ロンドン Watford Town Hall

CD:CDM 7 64749 2(レーベル:EMI)

 

【曲と演奏についての感想】

未聴のマーラーのCDの消化です。棚にこのCDを発見して、あぁこれ持っていたんだなと…。時々、聴いてみたいなと思ってネットで眺めていたので、見つけて良かった(笑)。バルビローリのマーラーと言えば、交響曲第9番が長年名盤として聴き継がれていた時代があったと思いますが、これは第5番。バルビローリが亡くなる1年前の録音で、最後のマーラーの交響曲の録音と名たものです。

 

冒頭は堂々とした荘厳な導入で始まります。そこからじっくりと流れていく音楽は、古き良き時代のクラシック鑑賞の雰囲気を思い出させるもの。この演奏時間はバーンスタイン盤にも相当するものですが、ここまでじっくりと演奏される第一楽章は、なかなかお目にかかれないものだと思います。テンポの速い部分との対比も際立ちますが、基本テンポは一貫しているので、違和感は感じません。とても、ダイナミックというかドラマティックな演奏であると思います。この基調は、楽章が変わっても崩れることがなく、ずっとマーラーの音の世界に没入しているうちに第二楽章まで聴き終えてしまいました。そして、この音の繋がりの中から、なぜかいろいろな懐かしい私事の風景が頭の中で交錯していきます。

 

第三楽章は、決して早くなるわけではありませんが、普通のテンポに近い感じで、丁寧に進んでいきます。これは聴き続けてきた慣れかもしれません。いろいろな楽想が美しく表現されています。第四楽章はゆったりした演奏の流れの中での標準的なテンポでの演奏でした。とても美しい雰囲気のある演奏ですが、感情過多にはならず音楽が流れていきます、第四楽章はこの曲の中でも、別世界のような雰囲気を持っていますが、この流れの中では尚更に感じます。最終楽章は元のゆっくりとしたテンポに戻って、細部まで丁寧に演奏されつつフィナーレを迎えました。

 

このテンポでの乱れを感じさせない、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の演奏力も素晴らしいものと思います。バルビローリの演奏は熱い演奏でもあり、懐かしい演奏でもありという感じで、クーベリックの全集も無く、マーラーブーム前夜での代表的な演奏の一つであったと思います。この曲ではかなり長めの演奏時間でしたが、それほど長さを感じず終わりました。とても充実した演奏でした。このじっくりと歌われる演奏を聴いて、今更この曲に対するイメージが少し変わったかもしれません。

 

【録音に関して】

EMI録音という尺度を持って聴いているかもしれませんが、それにしては曲全体の雰囲気がよく表現された、いい録音だと思います。

 

【まとめ】

バルビローリの録音を聴いていると、何か往年のクラシック鑑賞の情景を思い出して、懐かしい感じがするのでした。

 

購入:不明、鑑賞:2024/04/25

 

このブログのマーラーの交響曲第5番に関する過去記事からのリンクです