師走にマーラーのCDを消化しよう ②
マーラーをどんどん聴く2回目は、ラトルさん。全集を録音されていますね。一風変わったマーラーだという噂を聞きますが、どんな感じでしょうか。
【CDについて】
作曲:マーラー
曲名:交響曲第5番嬰ハ短調 (69:07)
演奏:ラトル指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2002年9月7-10日 ベルリン Philharmonie(ライヴ)
CD:7243 5 57385 2 3(レーベル:EMI)
【曲に関して】
最も有名な第四楽章のアダージェットは、アルマに宛てたラブソングと言われています。アルマがメンゲルベルクに宛てた手紙によると、マーラーは小さな詩を残しているとのことです。
わたしはあなたを愛しています、わたしの太陽の光よ、
わたしは言葉では言い表せません。
私の憧れ、私の愛、そして私の至福だけが、苦悩をもって宣言することができます。
このドイツ語のテキストは、アダージェットの主題に合わせて歌うことができるとのことです。
【演奏についての感想】
この録音は、ラトルがベルリン・フィルに就任した最初の定期のものということです。いろいろと気合も入っているのかな?と考えつつですね。ラトルのマーラーを聴くのは初めてではないとは思いますが、真剣に聴くのは初めてかも…。
トランペットのファンファーレでいつものように開始されます。とてもゆったりしたテンポだと感じました。そして、激しいトリオに入るとテンポはいくぶん早くなりますが、アクセントがつけられて、タメがある演奏に感じます。再び最初の主題に戻るとテンポももとに戻ります。時折出てくるタメためがなんか面白く感じます。そんなドラマティックな造りで、第二楽章に入っていきます。オーケストラがさすがベルリン・フィルという感じで素晴らしいです。第二楽章もニュアンスが適度につけられていて、面白く聴かれました。第三楽章は快活な進行と緩やかな場面が交差していきますが、対比幅が大きく感じられ、効果的に表現されていると思いました。
さて、お待ちかねの第四楽章のアダージェットに入ります。美しい音楽です。少々早めで、気持ちだけあっさり感があるような気がしますが、それでも十分に歌われています。この演奏だと、映画のシーンは浮かんでこないのですが、メロディ的には美しいと思いました。そして、最終楽章にゆったりと入り、音楽はだんだん活気を帯びてきます。相変わらず美しいベルリン・フィルの音に乗って、軽快に進みました。ニュアンスがついているのと、あまりメロディが流れる感じではなく、細かく演奏された部分が繋がって続いていくように感じました。その分あっさりしているかもしれません。今まで聴いてきたマーラーの印象とはちょっと違った感じです。
【録音に関して】
多少厚みがどうかとは思ったところもありましたが、オーケストラの美しい音がよく捉えられている録音と思います。
【まとめ】
マーラーの第5番を続けて聴いてみました。どちらかというとシノーポリの方が好きかな…。という感じですが、ラトルの良く練られた演奏と、ベルリン・フィルの音は捨てがたいです。
購入:2023/11/22、鑑賞:2023/12/06