【新譜】メンデルスゾーン:交響曲第3番、第5番 エメリャニチェフ スコットランドco(2022) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
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その時の印象を大切に。

最近リリースされた新譜から ⑲

メンデルスゾーンの交響曲の新譜が出ていましたので、最近の演奏はどうなんだろうと思いつつ買ってみました。3,4番だったら手を出さなかったかもしれませんが、3,5番というのがミソです。最近よく、初期の1番とか5番とか聴いてみたくなります…。

【CDについて】

作曲:メンデルスゾーン

曲名:交響曲第3番イ短調 op56 (38:02)

   交響曲第5番ニ短調 op107 (26:50)

演奏:エメリャニチェフ指揮 スコットランド室内管弦楽団

録音:2022年2月14-18日 ダンディー Caird Hall

CD:CXD 867(レーベル:LINN)

 

【曲について】

メンデルスゾーンの交響曲第5番は、第1番に次ぐ2作目の交響曲で、「宗教改革」という標題でも呼ばれますが、これは初版の際に出版社によって付されたものとのことです。この曲はアウクスブルクの信仰告白の300周年を記念して作曲されましたが間に合わず、その後メンデルスゾーンの生前はあまり演奏機会に恵まれず、1回演奏されただけでした。曲のモチーフにルター作曲のコラール「神はわがやぐら」や、ドイツの賛美歌「ドレスデン・アーメン」が用いられています。

 

【演奏について】

メンデルスゾーンの交響曲の新譜というのが目についてしまいました。最近なんとなくメンデルスゾーンに惹かれるものがあります。まだ若い頃は聴きやすい曲だくらいの印象でしたが、年を

とると、この若々しい音楽になんとなく惹かれてしまうのですね。演奏しているエメリャニチェフは、イタリアの古楽器オーケストラの「イル・ポモ・ドーロ」の首席指揮者を務めていて、スコットランド室内管には、前任者のティチアーティの代役を務めてシューベルトの「グレイト」を指揮した所、これが大評判になり、その後首席指揮者を務めることになりました。古楽のオーケストラとモダンオーケストラの両方で活躍しているようです。

 

エメリャニチェフのグレイトの録音風景。

HIPの雰囲気が濃いみたいですが、是非これは聴いてみたい演奏です。

 

さて、交響曲第3番から聴いてみます。何かHIP風味があるのかなと思いましたが、これは普通に室内管弦楽団の演奏ですね。室内管弦楽団らしく見通しのいい演奏で、適度なテンポの変化もあり、活気もある演奏と思いました。編成が小さい分、本当に室内楽的な響きがする感じです。第二楽章のスケルツォは活き活きしていますし、メロディも適度に歌われて、細部までクリアで好感がもてました。スコットランド室内管弦楽団にとっては、これはむしろご当地の曲という感じでしょうか。さすがに流麗かつ爽やかなメンデルスゾーンだと思います。

 

期待の第5番です。第3番と演奏の印象が変わりました。並べて聴くと、この曲は意外とドイツ的で重厚なのですね。むしろ、第3番の方が重厚というイメージを持っていたので、認識が違っていたようです。小編成でも重厚な雰囲気が出るように演奏しているのだという気がしました。第三楽章のメロディの前半、歌曲のような哀愁のメロディですが、透明感のある美しい音が奏でられます。全体としてテンポはちょっと速めですが、メンデルスゾーンらしい活気あふれる演奏で、大変楽しめたCDでした。

 

【録音について】

大変クリアな録音で、バランスもよく、優秀だと思います。

 

【まとめ】

YouTubeで聴くと、エメリャニチェフはHIPだとかなり思い切った演奏をしているような感じですが、ここでは若々しい活気のある演奏を聴かせてもらいました。今35歳なんですね。多才な方だと思いますので、これからの発展が楽しみだと思います。

 

購入:2023/12/06、鑑賞:2023/12/08