【CDについて】
作曲:ブラームス
曲名:ホルン三重奏曲変ホ長調 op40 (28:15)①
作曲:シューマン
曲名:アンダンテと変奏曲変ロ長調 op46 (18:50)②
アダージョとアレグロ変イ長調 op70 (8:23)
演奏:アシュケナージ(p)、ヴラトコヴィッチ(hr)
マイル(vn)①、ヴォフカ・アシュケナージ(p)②、ゲオルク・ドンデラー(vc)②、
マティアス・ドンデラー(vc)②
録音:1991年6月10-11日 ベルリン Jesus-Christus-Kirche, Dahlem
CD:433 850-2(レーベル:DECCA)
【曲について】
ブラームスのホルン三重奏曲は、全4楽章から構成され、緩-急-緩-急で配置された、ブラームス唯一のホルンの室内楽曲です。ホルンパートは、チェロあるいはヴィオラでも演奏可能とのこと。第三楽章は、同年に亡くなった母への想いを込めて書かれています。ブラームスはナチュラルホルンの音を想定して作曲したと言われています。
【演奏について】
前日、新日フィルの室内楽シリーズでこの曲を聴いたのですが、他の曲も含めて思うところも多く、なかなかブログになりそうにないので、まずはCDを取り出して復習してみました。ライヴ鑑賞記は書くかどうかは不明(笑)…。このCDは初出時に買ってしばらく聴いて以来、棚に眠ったままでしたね。あまり聴かない曲なのでした。
さて、ブラームスのホルン三重奏曲は緩急緩急の構成。第一楽章はゆったりと哀愁を帯びたメロディで始まる美しい緩徐楽章です。演奏はフレーズの受け渡しが絶妙に展開していきます。旋律はヴァイオリン主導で、それにホルンが柔らかく絡んでいく感じかと思います。ホルンの音色を添える部分や、主導する部分の2つがうまくバランスしていて、ホルンの音は目立つだけに、そこは絶妙に聴こえました。母への哀悼をこめた第三楽章は叙情的でとても美しく、第四楽章は変わって快活に展開していきます。ホルンをうまく生かして展開していく、とても素晴らしい三重奏曲でした。
変わってシューマンのアンダンテと変奏曲。この曲は初期はこの編成で作曲されたのですが、最終的には2台ピアノ版となって、作品番号が振られているとのことです。室内楽版はホルンにピアノ2、チェロ2という珍しい編成です。この編成だとピアノが前面に出るのだろうと思っていましたが、やはり最初からピアノが輝かしいフレーズをずっと主導していきます。ホルンとチェロは厚みや色彩を添えている役割に徹しているようです。途中で一部ホルンが前に出ることがありましたが、ここが唯一のホルンの聞かせどころ、チェロはほぼ前に出てこないですね。ピアノ主導で演奏される変奏は、美しくも楽しいものが多かったと思いました。
アダージョとアレグロは、いつの間にかCDが増えてきています。よく演奏される曲のようですね。ピアノとホルンの対等に渡り合う二重奏曲。美しいアダージョからアレグロに移るところで、ホルンの印象的なフレーズから入っていき、そこから始まる両者の展開が面白い曲でした。演奏は、アシュケナージとヴラトコヴィッチによる演奏。ヴラトコヴィッチは、デトモルト音楽大学出身で、ベルリン放送交響楽団の首席ホルン奏者を務めたあと、ソリストとして活躍されています。デトモルトといえば、若きブラームスが研鑽を積んだ土地。ブラームスのホルン三重奏曲は、デトモルト宮廷楽団の名ホルン奏者であったコルデスの音を想いながら作曲されたとも言われているそうです。
【録音について】
穏やかな音の、素晴らしい録音だと思います。
【まとめ】
ホルンの室内楽をまとめたCDでした。これらの曲はいろいろなCDに入っていますので、意図せずとも自然に聴いていた感じですが、改めて聴いてみると、室内楽の楽しみ方にまた一つ気づきがあったような気がしました。
購入:不明、鑑賞:2024/04/23
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