アンセルメ:ボレロ、フランス音楽へのおさそい (1963) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【LPについて】

作曲、曲名:

   ラヴェル:ボレロ (14:13)

   オネゲル:交響的楽章「パシフィック2.3.1.」 (6:06)

   デュカ:交響詩「魔法使いの弟子」 (10:47)

   ラヴェル:ラ・ヴァルス (12:47)

演奏:アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団

録音:1963年

CD:GT9245(レーベル:LONDON、発売:キングレコード)

 

【曲と演奏について】

アンセルメの没後10年にあたって発売された、廉価版LPシリーズです。ちょうど高校生の頃、クラシックを聴き始めた頃店頭に並んでいたので、よく手に取ってみました。このあたりのオーケストラの録音は、私にとってもクラシック入門に大いに役立ったと思います。

 

颯爽としたテンポで始まるボレロは、全くテンポを変えずにクレッシェンドしていくのは譜面通りです。この録音を聴くと、溶け合うような楽器の暖かく柔らかい音色に感動します。きっとこれはアンセルメ=スイス・ロマンドのもので、後年にこの分野の録音を引き継いだデュトワ=モントリオールのクリアで絢爛な音とはまた違う、一昔前の管弦楽名曲集の響きだと思います。颯爽としたテンポですっきりと終わりますが、音色の美しさに迫力を加えていく様子は、はアナログ時代の録音の美しさをそのまま表現したようなものでした。

 

パシフィック2・3・1は、改めてじっくり聴くとシンプルな曲ではありますが、この録音で聴いても、音域の広さと迫力を感じられました。いつもクラフトワークの「トランス・ヨーロッパ・エクスプレス」を思い出してしまう面白い曲です。魔法使いの弟子も標題的な面白さがある曲。ファンタジアの曲で有名ですね。箒がいっぱいになります。これも正確なリズムの刻みでクレッシェンドしていく曲で、そういえばボレロといい、パシフィック2.3.1.といい、そういったリズムとクレッシェンドの曲で構成されたアルバムになっていますね(笑)。

 

最後にラ・ヴァルス前日の記事で聴いた曲です。あのCDを聴いて、久しぶりにこのLPを聴いてみようと思いました(笑)。雲の中から徐々にウィンナ・ワルツが形作られていくところが圧巻な曲。雲は晴れていきますが、ラヴェルの曲なのでウィンナ・ワルツといっても、あくまでラヴェルの雲間を漂うような印象が残ります。アンセルメの演奏はリズムは乱れず美しい音色で温かみのある絢爛さを作っているような気がします。長年演奏を共にしてきたスイス・ロマンド管弦楽団で、この音色とスッキリした構成感を出していくのは、まさにアンセルメの真骨頂なのでしょう。

 

【録音について】
オーケストラの音色や残響まで、音域も広く明確に捉えられているいい録音だと思います。

 

【まとめ】

昔買ったLPレコードを聴くと、当時聴いていた音楽がなかなか贅沢なものであったことを感じつつ、今や当時より更に美しい音で、全く同じ音源を聴くことができるのは大変楽しいことだと思いました。この「アンセルメの芸術」シリーズは帯の裏に書いてあるラインナップがけっこう興味深くて、アンセルメはCDのBOXで全録音を聴くことができますが、当時のLPを見つけて振り返ってみたいと密かに思いました。実行に移すと沼ですが…

 

購入:1980年頃、鑑賞:2024/05/03

 

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