ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8,9,10,11番 ブレンデル(p) (1994) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」op13 (19:12)

   ピアノ・ソナタ第9番ホ長調 op14-1 (13:48)

   ピアノ・ソナタ第10番ト長調 op14-2 (16:48)

   ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調 op22 (24:22)

演奏:ブレンデル(p)

録音:1994年6月 ノイマルクト

CD:442 774-2(レーベル:PHILIPS)

 

【曲と演奏について】

最近、ブレンデルのCDを聴くことが多いのですが、いっぱい買ってしまったので(笑)。これからも増えると思います。一見当たり前に聴こえる演奏が内容が深くて好きなのです。今日は、ベートーヴェンのソナタ。シューベルトの全集のあと、再び取り組んだ全集からです。第8~11番ですから、初期ソナタの後半部。第8番の「悲愴」は、ベートーヴェンが自ら愛称を認めている、数少ない曲の一つですね。順番に入っているので、悲愴から聴いています。

 

ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」

しみじみと。じっくりした序奏で始まりました。そのあと流れるように主部に入っていきます。このあたりのブレンデルの表現が素晴らしくて、音も一つ一つ明快で、絶妙なニュアンスが作られています。ぶれないベートーヴェンのソナタの姿です。有名な第二楽章は端正に演奏され、メロディの素晴らしさがストレートに表現されていました。第三楽章は柔らかなニュアンスで始まり、細かいところまで行き届いた、無理なく曲の素晴らしさを最大限に表現した演奏ですね。伝統的な演奏かもしれませんが、ブレンデル流の完璧です。

 

ピアノ・ソナタ第9番ホ長調

シンプルな感じの、典型的なソナタ構成の進行でした。所々にはっとするような趣向も散りばめられています。第二楽章の短調の主題や、第三楽章の主題の同じ音の連打などは、細かいながらも面白い部分だと思いました。シンプルな曲をブレンデルが堅実に表現しているという感じでしょうか。

 

ピアノ・ソナタ第10番ト長調

抒情的なメロディで始まるソナタでした。コンパクトなソナタですが、第1楽章は男女の応答を思わせるであるとか、第2楽章はベートーヴェンが初めてピアノソナタで変奏曲を用いたとか、いろいろ聴きどころのある曲です。第一楽章はその展開部が意外と盛り上がったりしますし、第二楽章の変奏曲はブレンデルが絶妙の演奏を見せていました。第三楽章も一つ一つの主題が面白く、この曲が悲愴以外の3曲では一番好きだと思いました。

 

ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調

このCDの中では一番規模の大きい曲で、唯一の四楽章構成でもあります。ベートーヴェンはこの曲はかなり自信作であったとのことです。確かに構えの大きい曲ではあります。アルペッジョが美しい第一楽章、メロディが美しく歌う第二楽章、古典的なメヌエットの第三楽章、爽やかなロンドと対位法的展開が顔を出す第四楽章という構成。確かに古典的なソナタをしっかり構築したという感じでした。形式的な様式美は備わっていると思います。ブレンデルのピアノは全てに於いて的確という演奏をしていますので、曲の良さは素直に表現されていると思います。ただ、曲自体は様式美はありますが、感動的までとはいきませんでした。

 

【録音に関して】

問題なく素晴らしい録音です。

 

【まとめ】

最近、すっかりブレンデルのピアノに浸ってしまいました。見つけたら拾っている感じでのブレンデルの全集ですので、続けて聴いていきたいと思ってはいますが、次はいつ手に入るかな…。

 

購入:2024/02/09、鑑賞:2024/05/04

 

ブレンデルのCDからのリンクです。