【CDについて】
作曲:シューマン
曲名:オーボエとピアノのための3つのロマンス op94 (14.12)
夕べの歌 op85-12 (ヨアヒム編) (2:41)
アダージョとアレグロ 変イ長調 op70 (9:23)
幻想小曲集op73 (12:41)*
民謡風の5つの小品 op102 より第2~4曲 (11:14)
演奏:ホリガー(ob,ob-d'amor*)、ブレンデル(p)
録音:1979年9月21-22日 ロンドン ウェンブリー
CD:PHCP-3621(レーベル:PHILIPS)
【曲と演奏について】
シューマン作曲による、オーボエとピアノのデュオのCDです。とはいっても、シューマンがオリジナルでオーボエのために作曲した曲は、最初のロマンスのみで、他の曲はそれぞれ別の楽器のために作曲され、オーボエで演奏できるように編曲されたものになります。それでは、聴いてみます。
オーボエとピアノのための3つのロマンス op94
シューマンの唯一のオーボエ作品で、、特定のソリストのための作品では無く、純粋にオーボエ・デュオとして作曲され、妻のクララ・シューマンにクリスマスプレゼントとして贈りました。
大変穏やかな印象と持つ演奏であり曲でした。ホリガーのオーボエが穏やかにたっぷりと歌われます。ロマンティックな歌を聴いているような曲だと思います。演奏の雰囲気がとても素晴らしく情緒があり、この曲の名演ではないでしょうか。曲の美しさを改めて感じることのできる演奏と思います。ホリガーの音は張りがあって優しい感じのする音でした。
夕べの歌 op85-12
「小さな子供と大きな子供のための12の連弾曲集」の中に収められたピアノ連弾曲から、ヨアヒムによって、オーボエ、フルート、ヴァイオリンいずれでも演奏できるように編曲された作品です。これも情緒のある曲で、伸びやかなオーボエの音が楽しめる曲でした。
アダージョとアレグロ 変イ長調 op70
これは先週もホルンとピアノ版で鑑賞しました。ホルンパートは作曲者によってヴァイオリン版とチェロ版も残されましたが、このオーボエ版はヴァイオリン版を基にしていて、ホルンの原曲からすると1オクターヴ高くなっています。そういった事ですので、ホルン版よりも随分と明るく聴こえるわけですが、この曲は前の2曲と比較してもピアノがより目だって対等な関係になっているようで、デュオの曲として大変優れた曲だと思いました。
幻想小曲集op73
この曲は、クラリネットとピアノのためのデュオとして作曲された作品で、出版時にはヴァイオリンやチェロ版の楽譜もつけられたとのこと。このCDではオーボエ・ダモーレでの演奏になっています。原曲はA管で書かれていますので、オーボエ・ダモーレも同じA管ですから、そのままクラリネットの楽譜で演奏できるようです。低音がはっきりした柔らかい音が特徴ですね。op70と同様にデュオが映える曲で、構成的にも主題やリズムが綿密に関連しながら進む曲になっています。
民謡風の5つの小品 op102 より第2~4曲
原曲はチェロとピアノのために作曲された作品で、シューマンの作曲したチェロとピアノデュオの唯一の作品になっています。出版時には別にヴァイオリン版も用意されました。最後は再び冒頭の曲の雰囲気に戻って、伸びやかな作品となりました。
これれの作品は、それぞれ、オーボエ・4手・ホルン・クラリネット・チェロと、比較的登場頻度の低い楽器のデュオ作品で。この時期にある程度集中して作曲されています。そして、特定の巨匠演奏家を意図した作品では無く、いろいろな楽器に移して演奏できるようになっているのも特徴的です。このCDではオーボエで全曲演奏していますが、ヴァイオリンでも普通に演奏できるのですね。テクニックよりは室内楽的な叙情を中心とした曲集で、ホリガーの伸びやかなオーボエの音と、ブレンデルの影になり日向に出てと、しっかり役割を果たしているピアノとのデュオがとても心地よいCDでした。
【録音に関して】
ホリガーのオーボエの音が、とても柔らかで張りがあるように聴こえます。いい録音だと思います。
【まとめ】
オーボエとピアノのデュオの室内楽作品のCDは今回初めてかもしれませんが、優しげなオーボエの音の世界がとても良かったと思います。
購入:2023/08/15、鑑賞:2024/04/30
シューマンの室内楽を中心とした関連シンクです。