【CDについて】
①作曲:ベートーベン
曲名:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 op47「クロイツェル」 (34:11)
②作曲:フランク
曲名:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 (25:46)
演奏:パールマン(vn)、アルゲリッチ(p)
録音:1998年7月30日 サラトガ Saratoga Performing Art Center(ライヴ)
CD:7243 5 56815 2 2(レーベル:EMI、販売:EMI Records)
【曲について】
クロイツェル・ソナタと通称されている、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの中でも最も規模が大きく、ヴァイオリン・ソナタの傑作とされています。ベートーヴェン自身がつけた題は、「ほとんど協奏曲のように競って演奏される、ヴァイオリン助奏つきのピアノソナタ」とのことです(wiki)。ヴァイオリン・ソナタとして、両者が対等なスタイルというのは、この時期珍しかったようですね。
【演奏について】
パールマンと言えば、高校生の頃だったか、テレビでベートーヴェンの春とクロイツェルを見たことが印象に残っています。ヴァイオリン・ソナタという形式の曲を聴くのも始めただったかもしれません。パールマンの音は暖かい感じがしました。今日は、そのパールマンとアルゲリッチの協演のライヴ。この組み合わせでどんな演奏が聴けるのだろうと、期待が高まります。サラトガでのライヴで、イ長調の二つの曲が組み合わされています。
当時の二人の大巨匠の協演ということだけから言えば、それぞれの特色を存分に出したスリリングな競演というイメージも思い浮かべましたが、いざ曲が始まってみると、全くそういうイメージではないですね。二人の演奏から、超一流の技巧に裏付けられた、表情の豊かな音楽が流れてきます。それはお互いに誇示することもなく、あまりも自然に流れていきます。あたかも、パールマン=アルゲリッチという、一つの音楽としての人格がそこに出現したようです。室内楽とはこういうものだのかと、改めて感じ入らずにはいられません。
アルゲリッチのこの演奏を聴いていると、パールマンのヴァイオリンにすっと寄り添っていくような雰囲気が感じられました。特にベートーヴェンでは、ニュアンスが溶け合って流れを作り出している感じがしました。フランクはとても叙情的な演奏になっていると思います。二つのパートが独立して動く部分が多いと思いますので、ベートーヴェンとはまた違った一体感が生まれて、この曲がとてもロマンティックな演奏になって流れ出していると思いました。
【録音について】
ライヴではありますが雑音が少なく、音量は小さめでクリアです。前後に拍手が入ります。
【まとめ】
室内楽のライヴ演奏を聴く一つの醍醐味を、CDを通して体験することができます。素晴らしい一時間が体験できます。
購入:2023/07/18、鑑賞:2023/08/14