最近リリースされた新譜から ㊴
今週の新譜は、普通の曲?の新譜です。とはいっても、一筋縄ではいかないのが、カプリングされている、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」ですね。原典版と、原曲が利用された、「ソローチンツィの定期市」の中の一曲の、シェバーリンによるオーケストラ版というラインナップでした。興味深いCDです。
【CDについて】
作曲・曲名:
①リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」op35 (45:13)
②ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(1867原典版) (12:57)
③ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」(1880年版)
歌劇「ソローチンツィの定期市」より若者の夢、1930シェバリーン編 (11:19)
演奏:パッパーノ指揮 サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
サンタ・チェチーリア国立アカデミー合唱団 & 児童合唱団③
ヴァチュコフ(bs,br)③
録音:①2022年8月24日、②2019年5月9-11日(L)、③2014年10月25,26,28日(L)
ローマ Auditorium Parco della Musica
CD:5054197933691(レーベル:Warner Classics)
【曲と演奏について】
リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」の新譜を買うなんて、あまり考えたことが無かったのですが、通俗曲=有名指揮者=メジャーレーベルという、昔懐かしい組み合わせに思わず買ってしまいました。ただ、買ってみて思ったのですが、このCDは確かにシェエラザードの優秀録音新譜ではあるのですが、聴きどころは、二つのバージョンの「はげ山の一夜」ではないかと思いました。パッパーノが注目されたころは、あまり熱心にクラシックを聴いていなかったので、もしかして初めてかもしれません。
まずは、「シェエラザード」冒頭が迫力のある大音量で始まったあと、ゆっくりと荘重な感じで進んで、ソロヴァイオリンへと入っていきます。振幅の大きいドラマティックな演奏と思いました。迫力も十分です。ゆっくりダイナミックに進みつつ、各楽器の音色の特色も丁寧に表現されていると思いました。この演奏を新たに世に問うコンセプトは?といえば、最大限にドラマティックに輝かしくという方向かと思いました。じっくりとオーケストラの音と物語を聴かせる演奏です。
最後まで聴いた感想として、個別のフレーズはニュアンスに富みますが、全体としては一定の枠とテンポの中に納まり、細部まで丁寧に表現された演奏だと思いました。そのような演奏で、リムスキー=コルサコフの管弦楽が引き立っていたと思います。現代の演奏という感じです。
さて、「はげ山の一夜」。まずは初稿原典版。いろいろな音がして華やかな飾りが多く感じます。聴き慣れたリムスキー=コルサコフ編曲とは雰囲気が違います。この曲で聴くと、いろいろと手を変えて続くので、まだ続くか…という風にも感じます。こうしてみると、まずは「リムスキー=コルサコフ版」がこの曲を世界中に知られた曲にするのに、大いに役立ったということですね。原曲も素晴らしい楽想に富んだ音楽ですが、それをコンパクトにスマートに表現した
のがリムスキー=コルサコフ版だと思いました。
アバド・ベルリンフィルの動画です。原典版の録音もありますね。
もうひとつは歌つきの、「ソローチンツィの定期市」の中に挿入されたヴァージョン。ムソルグスキー存命中はヴォーカルスコアのみで、オーケストレーションされていなかったものです。これは迫力があります。ムソルグスキーの曲って歌が入ると、また独特な雰囲気が出てくるような気がします。リムスキー=コルサコフ版の、はげ山の一夜には、原曲のはげ山に無い部分をこの曲から引用した部分もあるようです。これはなかなか面白かったです。ムソルグスキーはもっといろいろ聴いてみたい作曲家だな…と思いました。
【録音について】
素晴らしい録音ですね。全体音量が大きくて無理が無く、ダイナミックレンジも大きく、迫力があるものでした。日本版はSACDでということらしいです。
【録音について】
初めて聴いたパッパーノですが、じっくり丁寧に歌い込んでいく感じがしました。全体的にはムーティとかと感触がにているでしょうか??
購入:2024/04/29、鑑賞:2024/05/09
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