あさひのブログ -30ページ目
「三国機密之潜龍在淵(全54話)」のあらすじ。
中国語版のざっくり解読なので間違ってるところもあるかもしれません。

[第一集]
皇家の力が衰退し諸侯が群雄割拠する後漢末期、朝廷の権力は曹操が握っていた。
楊平は幼い頃に河内の名家・司馬家に預けられ司馬家の次男・懿の弟分として育てられた。世が乱れ盗賊や強盗が蔓延るようになり楊平と司馬懿は日々連れ立って領地内を見回っていた。
ある日突然楊平の父・楊俊がやって来て息子を引き取りに来たと言う。楊平は司馬懿や世話になった司馬家の人々にろくに挨拶もできないまま連れ去られるようにして司馬家を後にした。
馬車の中で楊俊は何も言わない。と、突然一台の馬車が並走してきた。すると楊俊は突然御者を刺殺し車を止め、さらに車を降りて自ら腕を切り落とした!駆け寄る楊平を楊俊は突き放し相手方の馬車に乗って行けと命じる。その馬車に乗っていたのは漢帝国太尉・楊彪だった。楊平は楊彪から驚くべき真実を告げられる。彼の本当の名は劉平、彼の本当の父は楊俊ではなく先の皇帝・霊帝、彼は今の皇帝・劉協の双子の弟なのだと。生母は訳あって双子の片方を楊太尉に託し、彼の親戚である楊俊の子として育てさせたのだ。

司馬懿は弟分の楊平が自分に挨拶もなしに忽然と去ったことに疑念を持ち楊俊の車を追う。すると盗賊に襲われた馬車と重傷を負った楊俊を発見した。さらに先で楊平の遺体が見つかったが頭部は馬に踏みつぶされなくなっていた。幼少より共に育ってきた司馬懿はその遺体が楊平のものではないとすぐに気づく。これは身代わりだ…楊平は何か事件に巻き込まれたに違いない。

馬車は曹操が定めた新都・許都に着く。そしてひと気のない祠へと連れてこられた。そこで待っていたのは皇帝の兄に当たる亡き弘農王の妃・唐瑛。唐王妃は楊平に宦官の服を着せて皇宮へと向かう。
こんな夜分に唐王妃がやって来たとあって門番らは訝しむが、唐王妃は皇后の命令で薬を持ってきたといって入る。帝の間では皇后・伏寿が待っていた。彼女に案内されて入った帝の寝室で金色の布団に横たわるのは自分に瓜二つの男。本当に皇帝が兄だったと知り楊平は兄に向って拝礼するが、皇后は言う「今一歩遅かったです、陛下は今朝方身罷られました。」

[第二集]
兄が既に亡くなっていたという事実に劉平(楊平)は涙するが、皇后は劉平を「陛下」と呼び拝礼する。今皇帝が死ねば国は完全に曹操のものとなってしまう、そのため劉平に兄・劉協になりすますようにと言うのだ。それが劉協の遺志だったのだと着物の帯の裏に血で記された聖旨を見せる。そこには「自分の代わりに皇帝となり皇家を存続させよ」と記されていた。

急ぎ劉平は皇帝の服に着替え、劉協の遺体には宦官の服が着せられた。そして皇后は寝室に火を放つ。そしてやっとのことで逃げ出してきた風を装って庭へと出た。
皇帝の寝室から火の手が上がったと知って都令(都の警察長)の満寵や尚書令(官房長官)の荀彧が急ぎ駆けつける。満寵は炎に包まれる宮殿を睨みつけると猛然と駆けて行った。そして黒焦げの宦官の遺体を引きずって出てきたのだった。
尚書台へ避難した皇帝(劉平)と皇后に、荀彧は出火の原因を問う。皇后は陛下のために薬を煮出していた宦官の服に着火しあっという間に炎に包まれてしまったのだと話す。そしてこの可哀想な宦官を手厚く葬るよう言い渡した。
火事の原因を調べる満寵は黒焦げの遺体が去勢されていない事に気づく。これは宦官ではない、一体誰だ?さらに調べると火事による焼死や窒息死ではなく、それ以前に死んでいた可能性が高い。満寵は事の次第を荀彧に報告する。

兄の身代わりとして、皇帝として生きる決心をした劉平に、皇后は一晩かけて生前の劉協の様子や大臣らについて教え込んだ。陛下は長年曹操に抑圧された生活だったため決して笑わなかった、他人の前で笑顔を見せてはならない。そして董承には「私との約束を忘れるなよ」と言うようにと囁く。

[第三集]
劉平は訪ねてきた董承、荀彧、満寵と面会する。防火の備えを怠ったとして5名の宦官が処刑されることになったが、劉平は憐れに思い酌量を言い出し皇后に睨まれる。陛下の護衛を増やそうという話になり劉平は言われるがまま董承に人選を任せた。ふと思い出して董承に皇后から言われた例の言葉をかけると董承は嬉々として平伏するのだった。野盗が頻発しており郊外で楊俊が襲われ負傷したとの報告を聞いた劉平は思わず無事なのかと聞き返し、満寵と荀彧は顔を見合わせる。
大臣らが去った後、今度は劉協の子を妊娠中の董妃がやってきた。彼女は思考が単純ゆえ今回の謀に参加させられない、充分気を付けるように…皇后の言葉を思い出し劉平は身構える。幸い皇后の助け舟もありなんとか切り抜けた。しかし董妃はやけによそよそしい劉平に首を傾げるのだった。

満寵は陛下が宦官ごときに酌量を出したり楊俊などという田舎の一貴族に関心を寄せたことが気になる。そして楊俊が襲われた事件と今回の失火事件は関わりがあるのではと荀彧に相談する。
司空(総理大臣)である曹操は官渡へ出兵しもう1年近くになる。彼に同行していった祭酒(文部大臣)の郭嘉は出発前にこう言った「許都で必ず騒ぎが起こる」…満寵はその言葉が気になって仕方ないのだった。

皇后は劉平が"寵愛している董妃"に触れることを避けていたのを見て、そんな様子ではばれてしまうと劉平に男女の手ほどきをしようとするが、女性と付き合った事もない劉平はすっかり固まってしまい皇后はため息をつく。皇后が陛下を董妃に取られ寂しい日々を送っていたことを知った劉平は彼女に同情し心惹かれていくが、しかし皇后は氷のように冷たい視線しか送らない。劉協が笑わなかったのと同様、彼女もまたその長年の暮らしから笑わなくなってしまったのだ。

董承の元には誕生会と称して将軍らが集まっていた。劉協が生前に衣の帯に書き記した「曹操を討ち漢皇室を守れ」という秘密の聖旨"衣帯紹"を受け取った董承は、陛下の身辺を自分の手下で固めた今こそクーデターを実行する時だと檄を飛ばす。
その時、楊彪の息子・楊修が入って来た。楊修は皆の前にスパイの切り落とした指を投げつけ去って行った。今はまだ事を起こす時期ではない…息子に董承を止めさせに遣った楊彪は頭を悩ませる。曹操の配下で最も恐るべき洞察力を持つ郭嘉が不在とはいえ、許都には満寵が残っている。彼を欺けるものかどうか…。

"宦官の焼死体"はまだ満寵の検死下にあるという。皇后は荀彧に命じて早く埋葬させようと考える。本当は皇帝でしかも愛する夫の遺体を、下賤な宦官の扱いで葬っていいのかと劉平は問うが、皇后は全ては劉協が自身の名誉を顧みずただ漢皇室の存続のために望んだことなのだと答える。皇后は14歳の時に劉協に嫁いだが、その結婚式で劉協は「私が本当に欲しいのは美しく賢い妻よりも絶対に裏切らない臣下だ」と言った。皇后は絶対に裏切らないとその時血の誓いを交わしたのだ。
その時、侍従長の宦官・張宇がやってきた。張宇は二人にどうしても聞きたいことがあるといって平伏する。何かと問うと張宇はこう言った「陛下は、どこにおられるのですか?」


[A] 楊平
字は義和。本名は劉平で皇帝・劉協の双子の弟。独学で医術を勉強している心優しい青年。
[B] 司馬懿
字は仲達。河内の名家・司馬家の次男。歳の近い楊平を実の弟のように可愛がっている。
[C] 伏寿
皇后。劉協を信頼し漢皇家の存続のために命を捧げる。
[D] 唐瑛
劉協の兄で故人である弘農王の妃。弘農王を祭る祠で静かに暮らしていたが…。
[E] 満寵
許都令。満府君と呼ばれる。都の防犯防衛を任されている。
[F] 荀彧
尚書令。荀令君と呼ばれる。曹操不在時に国の全責任を負う大臣。
[G] 董承
将軍。娘が皇帝の妃となったので国丈と呼ばれる。
[H] 董妃
董承の娘。最も劉協の寵愛を受ける妃。妊娠中。
[I] 張宇
劉協が生まれた時から世話し務めてきた老宦官。侍従長であり張総官と呼ばれる。
[J] 楊修
太尉・楊彪の息子。楊平の正体を知る数少ない人物。その心の内は謎に包まれている。


→インデックス
「三国機密之潜龍在淵」(2018年 邦題「三国志-Secret of Three Kingdoms-」 監督/遊達志、鄭偉文 主演/馬天宇、万茜、韓東君)
全54話

※日本語版ありません。[2018.9追記:日本語版作られました]

原作は馬伯庸の小説「三国機密」。後漢最後の皇帝・劉協には実は双子の弟がいて…という歴史if物語。
監督をはじめ多くのスタッフ・キャストが香港人で、物語は真面目だけど小難しくなく陰謀ものに慣れない人でもとっつきやすくなってるのは香港色ともいうべき。アクションもワイヤー仕込みで懐かしくすらある。そして脚本は「大軍師司馬懿之軍師連盟」のチャン・ジァン(常江)!
10話まで見たけど皇帝が主人公なので三国志らしいキャラがまだ出てこない。曹操、劉備、孫策はもちろん董卓も呂布も袁紹も名前しか出てこない。曹操は後々出て来るようだが…いわゆる三国志演義らしい物語ではない模様。

主演のマー・ティエンユー(馬天宇)くんがねぇ、もうカワイイの!彼のファンは必見☆ 笑わない皇后役に「九州・海上牧雲記」南枯月漓を演じていたワン・チェン(万茜)。その他、全く同じ時代を舞台にした「軍師連盟」のキャストらが別の役で出てて若干の混乱も来たしつつ…(^∇^;)

ざっくりあらすじを追っていきます。「軍師連盟」ほどじゃないけどよく練られた物語なのでネタバレにご注意ください。

(※先にGoogle+で公開した記事を再編集したものです。)
#1 第1集~第3集
#2 第4集~第6集
#3 第7集~第9集
#4 第10集~第12集
#5 第13集~第15集
#6 第16集~第18集
#7 第19集~第21集
#8 第22集~第24集
#9 第25集~第27集
#10 第28集~第30集
#11 第31集~第33集
#12 第34集~第36集
#13 第37集~第39集
#14 第40集~第42集
#15 第43集~第45集
#16 第46集~第48集
#17 第49集~第50集
#18 第51集~第53集
#19 第54集、総括



「遠大前程」(2018年 監督/謝澤、陳熙泰 主演/陳思誠)
全56話

※日本語版ありません。

タイトルは「前途洋々」のようなニュアンス。
世界中から人とカネが集まり賑わいを見せていたバブリーな1900年代上海。金も腕力も学もない青年が、その舌先三寸の話術で上海のヤクザを渡り歩きのし上がっていく出世物語。

――洪三元は上海で働く兄貴分の厳華を頼って、元歌姫の母と弟分の斉林と共に田舎から出てきた。華やかで夢と希望にあふれた街並みに有頂天になった洪三元と斉林は調子に乗って博打を打ち大勝ちするがイカサマを見抜かれて胴元にしょっぴかれる。
胴元は上海を三分するヤクザ・霍天洪率いる永金公司。永金公司は斉林を人質に取り洪三元に会社のとある任務につけと命じる――

主人公の洪三元は学がなく文字も読めないのだが、歌姫だった母の歌(日本で言えば演歌のようなもの)を聞いて育ったために言う事がやたら芝居がかって大げさで、でも気概あふれる言葉なためにヤクザたちはつい信じてしまう。何度も窮地に追いやられるも機転とその大げさな喋りで切り抜けていくのが見ていて爽快。さらにヤクザの娘や夫人らにも次々と好かれて恋も波瀾万丈。ひとつ間違えばあっという間に命を落とす世界で曲芸のごとくひょいひょいと綱渡りしていくという物語。
話の展開は面白いんだけど、意図的に笑わせようとしてるようなコメディ部分が多くてそれが鼻につくのよね…正直コメディ部分が面白くない。主人公のキャラクター自体がすでに笑えるものになってるので余計なボケとかいらないと思う。ちょっとしつこくて15話でリタイア。

主人公の洪三元を演じるのは「ムーラン」で二枚目王子様を演ってたチェン・スーチェン(陳思誠/陳思成)。彼が脚本も担当。正直幻滅するくらいのコメディっぷり(良い意味で)。黙っていれば男前なのに喋れば胡散臭いしヘラヘラしっぱなしだし、日本で言えば関ジャニの村上くん?(良い意味で)…あの王子様の正体コレ?って、「ムーラン」観た人には全くおすすめできません。(´д`lll)
その「ムーラン」で王子のライバルとなる趙宇を演ってたユェン・ホン(袁弘)が弟分の斉林を。彼はまあ、似たようなキャラです。
ヒロインの一人・林依依を演じるのはチェン・スーチェンの奥さんのトン・リーヤー(佟麗婭)。夫婦で出演するってだけでもすごいのに恋人役って…日本人には気恥ずかしくて絶対できない芸当だ。
兄貴分で後に共産党入りする工員・厳華に「隋唐演義」煬帝役のフー・ダーロン(富大龍)。悪役が似合う彼だけど今作はめちゃめちゃ正義の人で違和感!(中国ドラマで共産党員は絶対善人として描かれます。)ヤクザの親分・霍天洪にはいろんな映画でヤクザのボスや成金、グループのリーダー役として出て来るベテラン俳優ニー・ダーホン(倪大紅)。彼がね、やっぱりイイ、合いすぎてるw コメディな作風なのでヤクザ役も大げさに演じて笑いを取っていいところだけど彼はそうはしない。マジで怖いしその眼力。(@д@)

女優さんは皆若くてキレイなモデル系、男性陣は若干年齢層が高めだけどイケメンには違いない。アイドルドラマとして見るのが吉。コメディと言い切るほどのコメディでもなく中途半端なので…。


YOUKU

Pangzi

「戦場のレクイエム」「唐山大地震」「我不是潘金蓮」のフォン・シャオガン(馮小剛)監督の昨年末公開の作品。

「芳華」(2017年 監督/馮小剛 主演/黄軒、苗苗、鍾楚曦)
136分

※日本語版はまだありません。

1970年代の中国人民軍で楽器演奏や舞踊で慰労する文工団に所属する少年少女らの青春を描く群像劇。厳歌苓という作家の同名小説が原作で、脚本も原作者が手がけている。
あらすじを書くにはこれといって起承転結がないので省略。

文工団というのは楽団員といっても基本的には軍人であり有事の際には兵士として前線にも赴く。(ただ女子が多いからか彼女らは戦争が勃発した際には衛生兵として負傷兵の看護に当たっていた。)軍人たるものお国のために身を尽くす…といってもみんないたって普通の人間で、普通の青春時代を過ごしていて、恋とかいじめ、妬み嫉み、それから堅い友情とか。
彼女らは寮生活で、厳しいコーチ(上官)の元で叱咤され続け芸を磨き、清純で規律正しい生活を送っている。やがて戦争が終わり文工団に解散令が。長年共に暮らしてきた仲間達と離れ離れとなる。・・・つまりこれは日本人にとっては「寮生活してる高校生が部活動などに一心に励んだ三年間の学生生活と卒業を描く青春物語」と同じ感覚なのだ。

文工団には男子もいるけど本作は主に舞踊を担当する女子らにスポットを当てて描いているので、おばさ…かつて女子であった皆様は「あるある!」と非常に共感できる作品となってる。男女共学の学校の女子に発生する派閥、ヒエラルキー。これは過去の思い出を全て若さゆえと良い思い出として昇華できるおばさまにはキュンキュン来るんだけど、今現在若い10代20代が見るとただただ辛いだけだろう。これは回顧するための作品であり、今の若者に向けたメッセージなどではない。

昔のいかにもな軍隊風、今の北朝鮮の美女応援団のような不気味に揃った笑顔で歌い踊る文工団なのだけど、でも芸としてやはり美しくて、いや美しく描いていて、軍隊の中では軽視されがちな文工団に対する監督の敬意みたいなのを感じる。そして中盤では激しい戦争のシーンもあり、直視しがたい映像の数々が反戦のメッセージともとれる。序盤に敷いた伏線を回収する技も毎度見事で美しい。

主演筆頭がホァン・シュアン(黄軒)となっているけど実際はミャオミャオ(苗苗)が演じる何小萍をはじめとする女子4名が主人公で、誰か一人ではなく彼女らを柱として文工団の若者全体を描いている。この女子たちが本当に飾らない素のようなお芝居…つまり憎らしかったり汚かったりする所をも隠さず見せているのが良い。
ホァン・シュアンが演じる劉峰はその女子らの「見た目は華やか内心ドロドロ」な集団生活の中で重要な(そして意外な)役回りとなるのだけど、やっぱり彼のお芝居は凄いなとため息が出てしまう。主役の女子たちを立てながらもしっかりとした存在感を根付かせてる。若いのに凄い…と思ったら彼すでに33歳だと。うっそぉ!?と思うと同時に、なるほどだからこんなお芝居に深みがあるのかと納得。

普通の青春群像劇としてももちろん成立してるけど、この映画が一番心に響くと思われるのは戦争を体験した世代。辛く苦しいことがあったからこそ楽しかった思い出はキラキラ輝く。おそらく本国中国では60代くらいのおじさんおばさんが皆自分の青春時代と重ね合わせて涙したことだろう…。


Pangzi


「十八洞村」(2017年 監督/苗月 主演/王学圻、陳瑾、白微)
124分

※日本語版はありません。

英題は「Hold Your Hands」で「手を繋いで」の意味。

――山奥の村・十八洞村は棚田が広がる美しい大自然に囲まれ人々は昔ながらの農耕で暮らしている。だが若者を中心に人々は都会へと出て行き過疎の一途を辿っていた。
楊英俊の息子も都会へ出て行ったきり帰ってこない。脳に重い障害をもつ孫の"小南瓜(カボチャちゃん)"を引き取り妻と三人で暮らしていた。ある日政府の役人らがやってきて楊英俊の家を貧困家庭に認定すると言う。認定されれば政府から援助金がもらえるので村人らはよかったじゃないかというのだが、楊英俊は自分たちが食べていくのに困っておらず慎ましやかに暮らしているだけなのに貧民だと蔑まされたと怒り出す。政府から派遣された貧困家庭支援チームはどうすれば楊英俊の家庭の収入を増やせるか連日会議を開く。頑なな態度の楊にチームの一人は呆れて辞職し去って行った。チームの一人・王申は楊の農業を手伝って少しずつ彼と打ち解けていこうとする――

そんなびっくりするような結末もないのであらすじは省略。
少数民族ミャオ族が暮らす湖南省の十八洞村の村おこしを描いた実話だそうで。まるで観光地のようなそれはそれは美しい棚田の風景。けど実際その地で暮らす人々の生活は不便の一言に尽きる。高低差が激しく車がやっと一台通れる道はすぐに山崩れで進めなくなり病院へ行くにもバスもないから歩くしかない。でも長年その暮らしを続けてるから当の本人らは不便だと思った事はない。この作品は都会の人と田舎の人、あるいは保守的な人と先進的な人の"考え方のすり合わせ"の過程を描いてるとも言える。

物語自体は地味だけどシリアス一直線にならないよう時々コミカルに演出。でも物語以上に、映し出される風景の美しさに釘付けになる。晴天の青空を映し出しキラキラ光る棚田をドローンか何かでダイナミックに映し出してるシーンが何度も出て来て、また十八洞村の土地色らしい平らな石を積み上げた石垣や家の屋根、鶏や水牛、豚など生活に結び付いた風景を写すカットを幾度も挟んでて癒される。
そして彼らの昔ながらの暮らしを守りながら助けになりたいと奮闘する若者らの心も同じくらい美しい。

楊英俊を主人公として彼の心の変遷を物語の中心に据えようとしたみたいだけど、なんかもっと頑固親父みたいな人が演ってるとわかるんだけど演じるワン・シュエチー(王学圻)が最初から物分かりの良さそうなおじさんなのでその心の変遷がいまいちわかりにくかったというか…。その彼をほどよい距離を置いて説得し続ける若者・王申を演じるバイ・ウェイ(白微)は自然体でフレッシュな演技が良かったなぁ。とても今時の若者らしい。


Pangzi