戦場のレクイエム | あさひのブログ
「戦場のレクイエム」(2007年 原題「集結號」 監督/フォン・シャオガン 主演/チャン・ハンユー)
124分
戦場のレクイエム [DVD]/ブロードメディア・スタジオ

¥4,104
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これも映画。ツタヤは二枚単位でしか借りられなくて「鴻門宴伝奇」と一緒に借りたのがこれ。チャン・ハンユー(張涵予)の出世作らしい。
第二次世界大戦直後の中国の内戦を舞台にしたヒューマンドラマ。原題の「集結號」は軍隊で合図に使うラッパの事みたい。

――1948年、中国内戦の時代。グー中隊長率いる第9中隊は敵の猛攻に遭い大きな痛手を受けるが、充分な人員も補充されないまま次に最前線の旧炭坑の防衛を命じられる。先の戦いで指導員(参謀のような役割?)を失ったグー中隊長は、元教師で戦いにおびえるワンを新たな指導員に指名し戦場へ連れていく――

[ここからネタバレ------
まもなく敵の大群が旧炭坑に迫る。次々と仲間が倒れて行き圧倒的不利な状況。全身大火傷を負ったジァオ小隊長が「撤退合図のラッパが聞こえた」と言い残して息を引き取る。だがグー中隊長は砲撃で耳をやられていてラッパは聞こえなかった。ラッパが鳴ったのか部下たちに訊くが皆口をつぐむ。
上官であり古くからの友人でもあるリウ連隊長から「撤退合図があるまでは最後の一人になっても戦え」と言われていたグー中隊長は、ラッパの音が確認できなかった以上撤退はできないと決断。残った部下らと特攻する。
・・・この戦いでグー中隊長を除く47人全員が死亡し第9中隊は壊滅した。

間違って捕虜として病院に収容されたグーは第9中隊の隊長だと言うが全く信用されない。軍隊の改変が繰り返され第9中隊の存在自体がわからなくなっていたからだ。
グーは軍に残るため砲兵に志願し、後に朝鮮戦争に参加。アメリカ軍の戦車隊を奇襲に向かうが、若い中隊長アルドゥが雪の中地雷を踏んでしまい動けなくなる。グーはアルドゥの靴を支えゆっくり足を抜かせて脱出させ、奇襲作戦が成功したのを見届けて自ら地雷を浴びた。

1955年。終戦後殉職者には相当の手当てが支給されたが、遺体が見つからなかった者は失踪扱いとなった。地雷で右目の視力を失い退役したグーは、街で偶然にもあの元教師ワン指導員の妻スン氏と出会う。故郷ではワンは軍に処刑されたとの噂が立って家族は肩身の狭い思いをしているという。グーは彼の名誉のためにスン氏と共に第9中隊が全滅した旧炭坑を探す。だが戦争後殆どの炭坑は埋められてしまっていた。
グーは今は軍の連隊長になったアルドゥに協力を依頼。アルドゥは恩人の頼みを快諾するが、上層部は思うようには動いてはくれなかった。

ある日、アルドゥの元に第9中隊の資料が見つかったとの報せが。関係者の話を聞くためグー達は待ち合わせ場所の殉職者霊園へ行く。そこにはリウ連隊長の護衛官をしていたリァンが待っていた。ラッパ係だったリァンの事はグーも覚えていた。
リウ連隊長は朝鮮戦争で亡くなったらしい。リァンの話では全軍撤退時に無線が壊れていて撤退命令が届かずリウの連隊は必死に戦い続けていたというのだ。
リウの墓前で、グーは自分もあの時撤退のラッパの音が聞こえていれば仲間たちは死なずに済んだのにとこぼすが、それを聞いたリァンが第9中隊に撤退ラッパは吹いていないと言う。撤退命令は出されなかった、リウ連隊長はあの時連隊の全滅を避けるために第9中隊を犠牲にしたのだ…。

記録では第9中隊の仲間達は失踪扱いとなっていた。遺体が見つからなかったからだ。
グーは旧炭坑を探して鉱山を掘り返し始める。仲間の遺体は必ずどこかに眠っているのだ。鉱夫達に煙たがられてもグーは止めようとせず黙々とつるはしを振るい続けるのだった。
そして幾月かが経ったある日、第9中隊隊員を殉職者として認定するとの報せが届く。リァンが上層部に第9中隊の事を証言しそれが認められたのだ。
なのに、彼らの遺体はまだ出てこない…。

1958年、ダム建設のため工事が行われていた現場の廃坑から47人の遺体が発見された。グーはあの時、最後に残ったワン指導員と二人で仲間たちの遺体を炭坑の奥へきれいに並べ、敵に荒らされぬよう入口を爆破して封鎖しておいたのだ。
第9中隊の慰霊碑が建てられグーと仲間たちには勲章が贈られた。
慰霊碑の前でリァンが吹く鎮魂のラッパは空高く鳴り響く・・・。(終)
----ここまで]

あーーすごい物語でした。戦争の虚しさがよく描かれた、ノンフィクションかな、いい話だ。前半は戦争もの、後半はヒューマンドラマ。でもアメリカが作るような攻める戦争ものと違って内戦だから、すごく虚しい。自分と敵は同じ立場。なぜ殺し合いをしなければならないのか。最前線で戦う一人の兵士の命は戦争という括りの中では砂粒くらいにしか見られない、そういう虚しさ、理不尽さ。
終盤でリァンから話を聞いたグーが激昂するシーン、リァンが「あれは戦争なんだ!」と言う。このセリフは重い。誰だって人を殺したり犠牲にしたいなんて思わない、でも自分たちが生きるのに必死で、そしてそれを責めることはできない。理不尽を"まかり通させて"しまうのが戦争。

ホント素晴らしい作品でした。
結構細かく伏線が張られていたので確認するため二回観たけど、戦闘シーンはいやにリアルでこれを二回見るのは気力が要る…。(-"-;A
主演のチャン・ハンユー、これでブレイクするのわかる。話がいいし、自然で細やかな芝居。グーは聖人君子じゃない。自分と自分をとりまく身近な仲間の事だけを考えてる、ごく普通の人間。決して格好良い主人公ではないし時に痛々しいこの等身大の人物の描き方(演じ方)がリアルで共感と同情を呼ぶ。「水滸伝」の潯陽楼に反詩を吟ず(第38回)でその繊細な芝居に感銘を受けたものだけど、これ見て納得。こんな実力派俳優さんにエセ道士風な張良なんか演らせちゃダメ!w
あとワン指導員を演じたユェン・ウェンカン(袁文康)、熱演でした。実戦に恐怖するワンは観客を写す鏡。解りやすい役だけど、若いのにあそこまでぼろぼろの表情を出しきれるのは俳優さんとして好印象。ワンが短い時間でどんどん意識的に変わっていくさまに引き付けられました。

あ、セリフは殆ど聞き取れず。普通に洋画を見てる感覚で。話に見入ってしまって聞き取ろうとか思わなくって。
一点だけ気になったのは、グーが名前を聞かれて「谷子地」だと言ったのに「谷子弟」と間違えられて怒ってる所。調べたら地と弟はどっちもdiで第4声。なんで「子弟」と間違えられたって分かったのかがわからない。メモが見えたのか?人の名前でズーティ(zi3di4)だと「子弟」がメジャーだからか?


TSUTAYA DISCAS
2枚ずつしか借りられない。そしてひと月に4枚借りねば損…。





長いものに巻かれろ