いつもの年末恒例企画。2021年の新顔ランキングです。
今年初めて撮影した生きものの中から
特に印象に残っているもの・撮れて嬉しかったものを
ベスト30のランキング形式にてご紹介します。
今年遭遇した新顔は、哺乳類、鳥類、昆虫類、その他諸々含めて
全部で67種。ちなみに昨年が75種、一昨年が71種です。
数だけ見ると若干落ちましたが、それでも仕事で動けない時期も
多かった中、それなりの成果はあったかなという印象です。
4月より新たに自らが主催する講座をスタートし
色々と大きな動きの多かった2021年、
「生きものめぐり」の面でもなかなか充実した1年になりました。
それでは例年同様、ベスト30形式でお送りいたします。
30位 イソアワモチ
(初撮影:7月・天神島)
7月の散策講座「首都圏生きものめぐり」で遭遇した
ウミウシの仲間。関西の一部地域では食用にもされるとか。
岩に擬態しているかのようなゴツゴツした外見と
貝類らしい顔つきが秀逸です。
(講座参加者の方が見つけてくれた生きものです)
29位 アカヒゲドクガ
(初撮影:8月・長瀞)
ゲリラ豪雨に遭遇し、避難した東屋で遭遇した
成虫・幼虫共に毒針を持たないドクガの仲間。
最初は図鑑でもなかなか識別できずに
読者様より情報を頂きました。
一緒に雨宿りした仲(?)だからでしょうか
結構印象には残っています。
28位 ヤツデキジラミ
(初撮影:11月・神代植物公園)
神代植物公園 植物多様性センターの
園内観察ツアーで初めて観察した小さな昆虫。
ヤツデの葉の裏に隠れていました。
今回ベスト30に挙げた生きものの中では
最も小さい種となります。形はセミにそっくり。
27位 オオヘリカメムシ
(初撮影:7月・箱根湿生花園)
新規の開拓スポット 箱根湿生花園で遭遇した
かなり大型のカメムシ。種名の通り、
腹部の縁(へり)がよく目立ちます。
山岳域のアザミ類やキイチゴ等につきやすいらしく
平野部では見かける機会が少ないようです。
26位 トゲアシガニ
(初撮影:5月・天神島)
写真の個体は恐らく若い個体。
種名にもある通り、脚に多数の棘を有していますが
それ以上に背中の縦のラインが印象的です。
かなり俊敏に動き回るため、捕獲に苦労しました。
(相変わらず「網」は使用していないので)
25位 フクラスズメ
(初撮影:5月・21世紀の森と広場)
名前自体は割と知られたスズメガの仲間。
幼虫が威嚇時に激しく身体をゆする……とのこと。
(そういう姿は正直あまり見たくないのですが)
ちなみに幼虫は毒々しい色のケムシですが
やっぱり毒はないらしいです。
というか、毒のないケムシの方が圧倒的に多いとか。
カラムシなどの葉でよく見られるので
幼虫発生期は、苦手な方は気をつけましょう(汗)
24位 クロハラアジサシ
(初撮影:2月・手賀沼)
晩冬の手賀沼で遭遇したアジサシの仲間。
枝かぶりになってしまいましたが
立っていてもバランスを崩しそうな強風の中では
こんな写りでもかなり幸運な方だったと言えます。
アジサシの方も相当飛びにくかったようです……。
本来であれば春以降に稀に飛来するレアな鳥らしいので
この時期に撮れるのは珍しいと聞きます。
23位 ハッカハムシ
(初撮影:9月・狭山丘陵)
トトロのふるさと 狭山丘陵の草むらで見つけた
シルバーを帯びた配色が美しいハムシの仲間。
公園の管理事務所で確認したところによると
結構レア度の高い種だとか。これに限らず、
恐らく狭山丘陵にはまだ見たことのない昆虫が
多数生息しているはずなので、
来年は足を運ぶ頻度が増えるかもしれません。
22位 トモンハナバチ
(初撮影:8月・生活の木 薬香草園)
飯能市内のハーブガーデンで何度か遭遇した
ずんぐりした体形が目立つハチの一種。
中央で分断された腹部の黄色い紋が印象的です。
この手の花に集まるハチの常といいますか
非常に大人しいので、安心して観察できます。
21位 タイミルセグロカモメ
(初撮影:3月・銚子漁港)
オレンジ色の脚が特徴。カモメの聖地 銚子漁港で遭遇した
新顔のカモメの一種です。識別用の図鑑がなければ
セグロカモメということでスルーしてしまっていたかも?
来年も銚子には何度か足を運びたいところですが
相変わらずカモメ専門の図鑑が手放せません。
20位 コクマルガラス
(初撮影:2月・板倉町農耕地)
かなり遠方からの撮影だったため、写りはイマイチ。
ミヤマガラスの集団の中に1羽だけ混じっていました。
ミヤマryも含めてカラスの割に異様に警戒心が強く
やや撮影しにくいので、もし見かけることがありましたら
たとえ超遠方からでもまず証拠写真を撮っておきたいところです。
19位 アカクモヒトデ
(初撮影:5月・天神島)
ヒトデとありますが、厳密にはヒトデとは異なる生きもの。
激しくうねうねと動くので、写真だと伝わりにくいですが
少々グロテスクだったりします。小柄な体型を活かして
石の下に隠れていましたが、石をどけると結構なスピードで
泳いで逃げようとしていたのが印象的でした。
18位 ツマグロバッタ
(初撮影:7月・箱根湿生花園)
27位に続く、箱根湿生花園編で遭遇した新顔の昆虫。
撮影した翌日、仙石原でも複数エンカウントしました。
夏季のあの界隈ではかなりメジャーなバッタの模様。
山岳域の湿地を好む……ということで
まさに湿生花園は楽園に等しい環境のようです。
17位 クビアカトラカミキリ
(初撮影:7月・国立科学博物館附属自然教育園)
ここまでに紹介してきた新顔生物とは違い
東京都内で初エンカウントしたカミキリムシの仲間。
クビ……というか胸部が赤いのが特徴的。
一方でサイズは写真で感じるよりも小型なので
注意深く草むらをチェックしていないと見落とすかも?
16位 ニホンクモヒトデ
(初撮影:6月・天神島)
19位のアカクモヒトデの近似種で、こちらの方が大分大型。
天神島での初撮影時には死にかけ(?)だったのか
あまり動かなかったのですが、次の観音崎公園では
岩の隙間から引っ張り出したところ、
激しくうねうねと抵抗(?)してくれたので
嫌でも記憶に残っております。
多分、苦手な人にはトラウマ級ではないかと(;^_^A
15位 キクスイカミキリ
(初撮影:5月・鎌倉市内)
厳密に言うなら初めてエンカウントしたわけではなく
遠く昔、2011年のカメラを購入した直後頃に
一度だけ撮影したことのある小型のカミキリムシです。
名前通り、キク科の植物の茎に卵を産み付けます。
そんなに珍しい昆虫というわけではないのですが
なぜか長いことずーっとご無沙汰でした。
14位 ガンガゼ
(初撮影:4月・天神島)
磯場で恐れられる、かなり知名度の高い有毒ウニ。
バックベアード様のような外見と記事中では書きましたが
目玉に見えるのは肛門です。トゲは一度刺さってしまうと
抜くのが難しいらしいので、決して触ってはなりません。
ちなみに生殖巣は他のウニと同じく食べられるようで
意外と美味らしいですが、食べるところは少ない上に
上記の通り危険が伴うので、あまり漁獲はされないようです。
13位 ミミカイツブリ
(初撮影:1月・浦安の海岸)
2021年の記念すべき最初の新顔。
ハジロカイツブリによく似ている、冬の海鳥です。
(潜水して獲物を捕まえるなど、特徴も類似しています)
浦安はコオリガモ(未見)を撮影するために昨冬初めて
足を運んだのですが、それ以外にも色々と観察できるので
今後もコンスタントに足を運びたいところです。
12位 ニホンイシガメ(ウンキュウ?)
(初撮影:2月・井の頭恩賜公園)
厳密に言うとクサガメとの交雑種の可能性も
あるいは飼育個体が逃げ出して繁殖したケースも
考えられるそうですが、いずれも定かではありません。
少なくとも在来種 イシガメの遺伝子を引き継いでいることは
間違いないでしょう。井の頭公園では割と知られているとか。
この日見かけたのは甲羅干ししていた1匹だけです。
11位 シロウミウシ
(初撮影:5月・天神島)
白を基調として黒い斑点をちりばめられた、
天神島ウミウシシリーズの一角です。
ウサギを彷彿とさせるこの外見には
惹かれる方もさぞかし多いことでしょう。
ウミウシの仲間としてはかなりのメジャー所で
割とよく見られるみたいです。
(その割に大半のウミウシは今年初撮影なのですが)
10位 キレンジャク
(初撮影:3月・湘南平)
ここからいよいよベスト10。割と名の知れた生きものや
撮影難易度の高い鳥、レア度の高い昆虫などが並びます。
10位のキレンジャクは、湘南平にヒレンジャクと共に
多数飛来しているという情報を入手し、足を運びました。
ヒレンジャクを最初に撮影した頃には、キレンジャクというと
「たまにヒryの集団に交じる」程度の数の少ない鳥だと
聞いていたのですが、この日の湘南平では結構個体数も多く
写真のような食事シーンなども撮影できました。
9位 ニュウナイスズメ
(初撮影:2月・つつじが岡公園)
お馴染みのスズメと形も大きさもほぼ同じではありますが
頬のおてもやんみたいな黒い紋がなく、鳴き声が微妙に違うことから
識別することができます。北関東で稀にスズメの群れの中に
混じっていると聞いておりましたが、この日は幸運にも
2羽だけ分かれて行動していました。
さすがに大量のスズメの中からコイツを探すのはご勘弁願いたい
8位 アブラコウモリ?
(ヒナコウモリ?)
(初撮影:2月・浦安の海岸)
今年の新顔としては唯一の哺乳類。
何の前触れもなく浦安の海岸でアスファルト舗装の上を
頼りな~く歩いていた個体を撮影したものです。
当時はコロナ禍のピークだったこともあり
最初の感染源として疑われているコウモリに対しては
やはり警戒心こそあったものの、
触れない分には多分問題はないのでしっかり接写しました。
なお、アブラコウモリではなくヒナコウモリという
レア度の高いコウモリである可能性もあるとか……。
7位 ヤブサメ
(初撮影:8月・御岳山)
何気に今まで一度も撮る機会もなければ
エンカウントすらしなかったメジャーな夏鳥。
レンゲショウマ目当てで登った御岳山にて
たまたま見かけて咄嗟に撮影したものです。
(枝被りの証拠写真を撮影後、あっさり逃げられました(爆))
実は本ブログは、サンコウチョウなどの夏鳥については
まだあまり撮影記録がありません。
2022年は少しそちらのリストを充実させたいところです。
6位 アサカミキリ
(初撮影:7月・仙石原某所)
ホワイトブルーのラインで縁取られた
シンプルながらも美しいデザインのカミキリムシ。
実はかなりのレア種らしく、絶滅危惧Ⅱ類に属しています。
かつてはアサ(麻)を食害する害虫とされていましたが
大人の事情でアサの栽培がされなくなって以降は
コイツの数も減ってしまったとか。
一応、アザミの葉なども食べられるらしいので
仙石原のどこかでアサが野生化しているというわけではない……はず。
5位 ニシオジロビタキ
(初撮影:3月・八王子市内某所)
八王子市内での飛来情報を元に、具体的な位置を割り出し
ようやく撮影できた冬の珍鳥。ただ、例年首都圏でも
割と色々な場所での飛来情報がネットに流出するので
実はそこまで極端なレア種というわけではないようです。
名前の通り「オジロ(尾白)」な部分も撮影でき、大満足。
今冬もどこかに来ているかもしれません。
4位 チュウジシギ
(初撮影:9月・平塚市内)
タシギとよく似た、秋に田んぼに飛来するシギの仲間。
平塚市内に限らず首都圏各地の田んぼで割とよく見かけますが
警戒心が強い上に目立ちにくいため、撮るのはやや困難。
この日は平塚市内の田んぼで、畔に突っ立っているところを
他に来ていた多くのバードウォッチャーの皆さんと一緒に
たっぷりと撮影させていただきました。
3位 ワシカモメ
(初撮影:1月・銚子漁港)
カモメの名所 銚子漁港で撮影できる大型のカモメ。
初列風切が灰色であることから識別できますが
距離的に少なくとも双眼鏡かデジカメがなければ確認できず。
セグロカモメなどのメジャー種を除くと
銚子漁港周辺では割と出合いやすいようです。
昨年、初めて銚子漁港に足を運んでから
ずっと撮りたかったカモメだっただけに
最初に灰色の風切部分を見た時には結構歓喜したものです。
2位 オオルリハムシ
(初撮影:7月・箱根湿生花園)
箱根湿生花園の夏の名物らしい、
かなり分布の局所的なハムシの仲間です。
(配色の関係で最初はアカガネサルハムシかと思った)
名前のように全身瑠璃色の個体もいるそうですが
個人的にはこの赤銅色とメタリックグリーンの混じった
お洒落な配色が気に入っております。
もし、夏場に湿生花園に足を運ぶ機会がありましたら
ぜひともコイツを探していただきたいところです。
ちなみに神奈川県では現状あそこでしか観察できない模様。
これからも生息地が守られていくことを願います。
1位 アオウミウシ
(初撮影:5月・天神島)
そして今年の1位は、ウミウシの仲間で最もポピュラーながら
長らく撮影機会のなかったコイツです。レア度こそ低いですが
やはり初撮影時の感動でいうなら群を抜いてナンバーワンでした。
アナグマでも撮れていたらまた違ったのかもしれませんが
クロイソカイメンという、これまたどこにでもいるような
カイメンを食料としているのですが(←江の島にもいる)
今のところ撮影できたのは天神島だけです。
天神島はウミウシの聖地らしく、未撮影の種も多いので
来年もまた何度か足を運ぶことになりそうです。
以上、実に多彩な生きものとの出合いを経て
今年もどうにか無事に終わりを迎えました。
来年は引き続き講座「首都圏生きものめぐり」を実施しつつ
新しいエリアの開拓にも取り組んでいきたいところです。
今年1年、お付き合いいただきまして
誠にありがとうございました。
来年も何卒よろしくお願いいたします。
★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は
2022年1月16日(日)に開催いたします。
行先は「皇居外苑(予定)」でございます。
現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。
(講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)
【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】
小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。
ただし、御父兄の同行をお願いいたします。