久しぶりのご近所散策編です。
8月下旬、雑誌の入稿周りがようやく落ち着いた頃に、
炎天下の戸田市内を散策してまいりました(汗)
最近、地元の小学校で生きものに関する授業の
サポートに入ることがあるので、
その際に「歩いて行ける範囲の昆虫の多いスポット」を
子どもたちに教えられるよう、暇を見つけては散歩に出て
近所の公園やちょっとした広場などを探っています。
写真のような住宅地の児童公園も
一見すると殺風景ですが、足下の草むらには
カタバミが大量に生えており、ヤマトシジミもよく現れます。
成虫はカタバミで吸蜜し
幼虫はカタバミの葉を食べるヤマトシジミ。
(もちろん成虫は他の花でも食事しますが)
カタバミさえあれば生きていけそうです。
このあと、9月に入って一度公園の草むらが
刈り取りされてしまいましたが(汗)
まあ、カタバミは色々な所に生えていますし
あまり心配はしておりません。
(刈られずに残っていた方波見も多かったですし)
戸田市内も随所にクスノキが植えられているので
アオスジアゲハ(右)が随所で見られます。
また、後述するナミアゲハも
今年に入って明らかによく見かけるようになりました。
ハエの仲間を捕食するシオカラトンボ。
このトンボも5~9月にかけて
戸田市内のあちこちで遭遇しました。
アゲハ以上に、明確に増えた感がありますね。
他の街や公園でもそういう傾向がありますので
実際に首都圏では増加傾向にあるのかもしれません。
花壇にも、ヤマトシジミ(右)がたくさん。
この日はマリーゴールドで吸蜜していました。
ほか、ペンタスやブルーサルビアなどが
昆虫から人気が高いように感じます。
歩道沿いのちょっとした植え込み。
小さなものではタイム、大きなものではランタナなど、
やはり蜜源になる植物が多く開花しています。
ツマグロヒョウモンがランタナで吸蜜中。
このチョウ自体は大分前から関東でも多く
すっかりお馴染みの存在になった感があります。
そういえばコイツ、いつ頃から首都圏で
台頭してきたのでしょうか?
私が小学生の頃(横浜市在住でした)ですと
ほとんど見かけた記憶がないのですが
大学に入って以降は頻繁に目にするようになった気がします。
接吻中(?)のウリハムシ。
コンクリート護岸の上戸田川。
でも左写真を見ていただけるとわかる通り
川の水は結構澄んでいたりします。
8月にはシオカラトンボが多数飛んでいましたが
ここでも産卵しているんでしょうか?
泥の上に下りて吸水するナミアゲハの集団。
この時は全部で7頭確認しております。
後日、FBで繋がっている戸田市内の別の方も
「同じ場所で水を飲んでいるのを撮った」と報告があり
何かお気に入りの理由があるのでは?と思わされます。
一応、チョウが吸水するのは体温調整の他に
ミネラル分を摂取するためという説もあります。
ギンヤンマも現れました。しかも産卵中の様子。
この夏は上戸田川周辺でよく見かけていますが、
シオカラryほどではないにせよ
徐々に増えてきているように思えます。
では川から離れて、再び「草むら」に目を向けましょう。
トップの児童公園のようなごく背の低い草むらであれば
何ら問題なく踏み込めるのですが、
背丈が高くなってくるとそれも難しいところ。
そもそも、こういう場所は私有地になっていて
柵やロープに囲まれて中に入れないことも多々あります。
昔、子供の頃にはよく近くの草むら(1.5mくらいのススキもありました)で
カマキリを探したりしていたものですが、
今考えるとあれも本来はNGだったような気がします(汗)
なお、草むらの面積自体は、
確かに数十年前よりも減少したように思えますが、
そこまで極端な減り方ではないように思えます。
建設予定地などは相変わらず工事前は草ぼうぼうですしね。
草むらには、まれにイトトンボが飛ぶことも。
トンボである以上は成長するために「水」が
不可欠なので、上記の上戸田川や近くの公園の池
あるいは住宅地の庭の池などで繁殖していると思われます。
あまり背丈の低い草地を飛ぶことはなく
大体高さ30~50cmくらいのイネ科の植物の間を
縫うように飛んでいることが多いですね。
この草丈は、大人目線だとせいぜい膝丈レベルですが
小学校低学年くらいの子供からすると結構歩きづらいもの。
それだけに「探索」する面白さがあります。
ただ、結構高頻度で草刈りを実施しているので
草むら目当てで子供を連れて公園に出かける際には
あらかじめ注意が必要です。
「刈らないでほしい」と言うのは簡単ですが
今年の異様な雑草の伸びの速さを考えると
むしろあれより草刈りの頻度を下げたら
後々もっと大変なことになるような気がします……。
(特に、人がすっぽり隠れられるレベルの草むらは
治安面でのデメリットが非常に大きい)
ヒメジュウジナガカメムシ。
ヤブガラシに来ていました。
今回あまり紹介できていませんが
フェンスや塀、あるいはこんもりした草むらや
灌木などの隙間から生えるヤブガラシは
蜜源や隠れ場所を提供し、相変わらず良い働きをしてくれています。
まあ、これも今年はやたら伸びまくって
全国の造園会社や自治体の皆さんを困らせていたでしょうが(汗)
アベリアで逆さづりの
ハラビロカマキリ(写真右側)
一応確認はしましたが
ムネアカハラビロカマキリではありません。
……できればあれにはもう会いたくない(爆)
上記の、膝丈くらいの高さの草むら。
イトトンボもまれに飛びますが
こういう場所の主役はやはりバッタです。
やはり出てきました。ホシササキリです。
もっともポピュラーなキリギリスの仲間で
戸田市内でも珍しい存在ではありませんが
やはり安定して見られる場所となりますと
「草丈が高い」「ある程度面積がある」の2つは
ほぼ必須条件となっています。
理想的と言えるのは、こういう広場。
ブランコの足下付近が埋もれている(ように見える)ことから
何となくわかるかと思いますが、かなり草丈は高め。
私の膝よりも高い位置まで来ていました。
(で、ここもやはり9月に刈られていました)
ホシササキリの他に、ウスイロササキリの姿も。
こちらの方がやや湿った環境を好むらしく
見つけるのは少々難しかったりします。
キバナコスモスが咲き始めて
オオスカシバ(右)などがよく吸蜜に来ています。
なお、左写真の草むらは私の太股くらいの草丈で
さすがにここまで来ると踏み込むのは困難。
怪我の恐れもありますし、足下が見えない中で踏み込めば
バッタを始めとした昆虫たちにも直接危害が及ぶ可能性が高いので
大人であっても安易に中に入らない方がよさそうです。
そんな草むらの端っこで、やや大型のカメムシに遭遇。
シロヘリクチブトカメムシというそうです。
意外なところで新顔に出合うことができました。
遭遇率・・・2 (珍しくはないらしいのですが……)
インパクト・・・2 (カメムシの中では結構大型ですが、地味)
美しさ・・・3 (フォルムや模様の入り方はちょっとお洒落)
俊敏性・・・2 (この個体はずっと止まりっぱなし)
知名度・・・1 (後述の理由により図鑑に載っていないことも多い)
元々は九州などの南方に生息しており
蛾の幼虫などを捕食する肉食性のカメムシなのだとか。
近年徐々に生息域を北へと拡大し……という
要するにツマグロヒョウモン辺りと同じような系譜のようです。
近年、気候変動に伴って、外来種とは言えないものの
南方から北へと分布を広げている昆虫は少なくありません。
(例:ナガサキアゲハ、ムラサキツバメなど)
こうした昆虫を、私は勝手に「ツマグロ系」と呼んでいます。
彼らは元々関東にはいなかったので、地域性外来種として
嫌われる傾向もあるのですが、一応は元々日本国内にいたもので
人為的に持ち込まれたわけではないからか
あまり極端な拒否反応を示す人はいないようです。
もっとも、私も昔横浜に住んでいた時期に
パンジーのプランターにツマグロヒョウモンの幼虫が
大量に「湧いた」時は、火炎放射器で焼き払いたくなりましたが(爆)
汚物は消毒だ―
気候変動による分布の変化もさることながら
近年はそれに伴うゲリラ豪雨なども大きな課題。
昆虫たちも大雨の際には色々な場所に避難しており
たまに民家に入り込んでしまうこともあります。
写真は、私のマンションの踊り場で
雨宿りしているホシササキリです。
(ここ3階なのによく登ってきたな……)
このあと、雨が止むまでずっと同じ場所でジッとしており
翌朝晴天になるとどこかで移動していきました。
まあ、部屋に入り込んでくるわけでもない限り
暖かく見守ってやりましょう。
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