森ではなく、花壇の方に「出た」という話(目黒自然教育園&代々木公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

ちょうど1ヶ月前の話になりますが

目黒に出かけた帰りに自然教育園に立ち寄り、

初夏の昆虫・山野草などを撮影しておりました。

5月の訪問時と比べると植生も大分変わり

より緑が濃くなった印象があります。

 

 

 

 

 

 

これはヨツスジハナカミキリですね。

秋のタマアジサイなどによく来る種ですが

この日は当然まだタマアジサイは咲いておらず

ヤマアジサイに乗っかっていました。

ついでにメスにも乗っかっていました

 

ドクダミの花と横並びにしてみましたが(右写真)

これでサイズ感もわかりますでしょうか?

 

 

 

 

 

こちらはヒゲコメツキのメス。

オスと違ってヒゲ……もとい触角が短く

特徴がないので印象が薄いですが

翅の模様などである程度の識別はできます。

 

 

 

 

 

ご開帳のムラサキシジミ

最近全然撮る機会がないミドリシジミ

代用として楽しませていただいています(爆)

 

 

 

 

 

結構見かけるけれどあまり注目されない

クロバネツリアブというアブの仲間。

クローズアップで鮮明に撮影してみましたが

結構シックでいい感じのフォルムをしています。

 

 

 

 

 

自然教育園といえば、オオタカが営巣する場所として

その筋では結構有名なスポットとなっています。

(他にも東京都内の何ヶ所かで営巣している模様)

園の名物としてビデオ等で紹介されていることも。

 

 

 

 

 

そんなオオタカにも当然天敵は存在します。

成鳥になればほぼ向かうところ敵なしですが

ヒナの間はカラスを始め、多くの動物に狙われる様子。

木登りができるアオダイショウやハクビシンも厄介ですが

恐ろしいのはやはり、同じ猛禽類であるフクロウ

昨年、本ブログでも初撮影しましたが

近年首都圏で出没件数が増えているらしく

それ自体は魅力的なものの、オオタカにとってみれば

夜間であろうとお構いなしに襲ってくる危険な敵です。

いずれにせよ、自然教育園の自然度の高さを

よく象徴していると言えるかもしれません。

 

そういえば、園内で見られる夏の昆虫ということで

入口の所で代表種の写真等が掲載されていましたが

その中でハラアカマルセイボウなる

寄生蜂の一種が紹介されていました。

メタリックなのツートンカラーで

要するにオオセイボウとかミドリセイボウの系譜の

美麗種らしく、私も園内を巡って探したのですが

残念ながらどこにも確認できず……。

まあ、あの手のハチはそうそう狙って撮れるものでもないですしね。

 

時間がまだありましたので、

ちょっと代々木公園にも向かいました。↓

 

 

 

 

 

いい感じに花壇が夏模様になってきています。

ここ数週間は猛暑に苛まれていますが

この時よりも花の数・種類共にさらに充実しているので

熱中症に注意してご覧いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

バーベナは昆虫のお気に入り。

クマバチ(左)やアオスジアゲハ(右)は

いつものように多数飛来していました。

 

 

 

 

 

蜂♂「来るたびにやるなよ……むかっ爆弾

 

 

 

 

 

セリ科の花にはが。

ただ、このカメムシについては多数確認できたのは

パッと見でもわかるくらい弱っていた株のみで

元気な株ではほとんど見かけませんでした。

 

健康な植物は虫害を防ぐために

防除システム(?)を稼働させると聞きますが

あれはやはりその一環だったのか?

また後日、何度か現地を訪問した際にも

やはり弱った株以外では観察できなかったです。

 

その後は蜜源となる植物を観察し

昆虫の飛来状況を確認していましたが……↓

 

 

 

 

 

ノコギリソウという小さなキクの仲間を見てみたところ、

何やら小さくキラリと光るものが……。

(写真中央をよくご覧ください)

この後、素早く飛んで消えてしまいましたので

少し時間をおいて再度チェックしてみました。↓

 

 

 

 

 

ふたたびノコギリソウにやってきたところを

可能な限りクローズアップ。

頭部・胸部が緑で、腹部が赤のメタリック……

間違いありません。これこそ自然教育園で紹介されていた

ハラアカマルセイボウです。(見て思わず小躍りしました)

 

遭遇率・・・1 (この手のハチはそもそも数が少ない)

インパクト・・・1 (オオセイボウよりもさらに小さい)

美しさ・・・5 (これは文句ないはず)

俊敏性・・・5 (気づいた時には、もういない……)

知名度・・・2 (セイボウとしてはまだ知名度は低め)

 

首都圏屈指の自然度の高さを誇る自然教育園で

観察できなかったハチが、まさか代々木公園の

人工的に設えられた花壇で見られるとは……。

さらにこの後、何度か足を運ぶたびに

毎回ノコギリソウの周囲で本種が見られましたので

どうやら偶然ではなく、必然と見てよさそうです。

 

 

 

 

 

では、なぜハラアカマルセイボウは

ここに毎度のように来ていたのか?

その要因と思われるものも確認できました。

写真のこの黒いハチは、ナミツチスガリといいます。

これも新顔なのでしっかり登録しましょう。

 

遭遇率・・・2 (希少種というわけではないはず)

インパクト・・・2 (ミツバチとほぼ同じくらいのサイズ)

美しさ・・・2 (地味なことは否めない)

俊敏性・・・4 (一般的なハチのそれに準じます)

知名度・・・2 (あまり注目されないハチ)

 

実は上記のハラアカマルセイボウは

このツチスガリの巣に寄生(労働寄生)するハチ。

ツチスガリの集めた獲物(他の小さな昆虫等)に

卵を産み付けて幼虫に食べさせているそうです。

(直接ツチスガリの幼虫を食べるわけではない模様)

ツチスガリにしてみれば当然迷惑千万な「敵」と言えます。

 

2つのハチは同じノコギリソウに飛来していましたが

やはりセイボウの狙いは、ここでターゲットを待ち伏せし

尾行して巣に侵入することなのかもしれません。

ちなみにツチスガリの巣は地面の下にあるらしく

特に森の中である必要はないらしいので

明治神宮内苑ではなく、代々木公園の開けた場所のどこかに

営巣している可能性が高いように思えます。

 

なお、サイズはツチスガリの方が遥かに上。

直接バトルしたら勝負にならんと思いますが

あいにくそういう展開にはならないみたいです(汗)

 

 

 

 

 

最後に、モデルガーデン「クラウド」を見て撤収。

暑かったからか、白人のおっちゃんが裸でベンチに

座っていましたが…………ま、いいか(汗)

 

 

 

 

 

【6/11 目黒自然教育園&代々木公園で撮影した生きもの】

昆虫類・・・アオスジアゲハ、アカスジカメムシ、アシナガバエ、アシブトハナアブ、アメンボ、イチモンジセセリ、オオシオカラトンボ、カトウカミキリモドキ、カマキリの幼虫、クサギカメムシ、クマバチ、クロハナムグリ、クロバネツリアブ、コアオハナムグリ、シオカラトンボ、セイヨウミツバチ、ツマグロヒョウモン、ナミツチスガリ、ハラアカマルセイボウ、ヒゲコメツキ、フクラスズメ(幼虫)、ホソハリカメムシ、ムラサキシジミ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヨツスジハナカミキリ

その他・・・アカミミガメ、クサガメ、ニホンカナヘビ、メダカ

 

 

 

 

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