オオセイボウを超えるか否かは人次第(薬師池公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

以前から、小山田緑地に出かけるついでに

何度か足を運んできました薬師池公園

実はこの公園、いつも行っていた本園以外にも

比較的新しく作られた分園(2020年開園)があり

そちらにはまだ行ったことがありませんでした。

 

今回は本ブログでも初となります

1日薬師池公園で過ごしてみた……というもの。

移動距離があまり長くない割に色々な見所があるので

結構長い記事になります。予めご了承ください。

 

 

 

 

 

 

まず、上記の分園から見て回ります。

分園の正式名称は「四季彩の杜(もり)」といい

カフェなどのある芝生広場(後述)や

右写真のような菜園を有していて

自然度もそれなりに高いエリアとなっています。

 

そこそこアップダウンもありますので

散策するとちょうどよい運動になるかも?

とりあえず、菜園を覗いてみましょうか。↓

 

 

 

 

 

 

ここの菜園、ちょっと珍しい野菜を育てているので

初見時には驚く人も多いかも。

まずはヘビウリ。名前の由来は見ての通り。

ちょうど花も咲いており、カラスウリに酷似していました。

 

ヘビウリはインド原産で、実の長さが時に1mを超えるとか?

カラスウリに非常に近い仲間らしいですが

あちらと違ってちゃんと食用になるようです。

インドではカレーの材料として使われるとのこと。

 

 

 

 

 

 

こちらはシカクマメ

実の断面が四角いことが名前の由来……らしい。

熱帯アジア原産で、一部沖縄でも

栽培されているのだとか。

まあ、東京のスーパー等で見かけることは

まずないかと思われます。

 

今回は9月に訪問したわけですが

季節を変えればもっと色々と変なものが

観察できるかも? 今後も要チェックですね。

 

 

 

 

 

ポールの上にいた、アリのような昆虫。

あいにくアリグモではなく、脚は6本でした。

顔の形などからすると何となくカメムシのよう。

実際、調べてみますとやはりカメムシの仲間で

ホソヘリカメムシの若い個体でした。

 

最初見た際は新顔じゃないかとちょっと期待したのですが

あいにく過去にも何度か撮影したカメムシ。

ただ、アリみたいな若い個体を見たのは

何気にこれが初めてだったりします。

やはりこの形は天敵対策の一環なのでしょうか?

 

 

 

 

 

ツリガネニンジンの花の中に

キンケハラナガツチバチの姿が。

 

森あり、草地あり、畑あり、広場あり……と

環境のバリエーションが豊富な四季彩の杜。

唯一ないのが「水環境」なのですが

そちらにつきましては薬師池公園の本園に

潤沢に存在します。詳しくはまた後述します。

 

 

 

 

 

クヌギやコナラなどを主体とした雑木林。

いわゆる「カブトムシ&クワガタの森」ですね。

と言っても既に9月に入っていましたし

昼間なのでそう簡単に会えるとは思いませんでしたが……。↓

 

 

 

 

 

 

幸運にも、ノコギリクワガタが何度か出現しました。

見ればわかると思いますが、左右は別の個体です。

7月の講座時と同じく、立派な水牛型のものも。

 

また、カブトムシの死骸が複数転がっていましたので

然るべきタイミングであれば新宿御苑と同じく

相当数が観察できるのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

本園に移動する前に、四季彩の杜で昼食を。

チキンステーキの定食をいただきました。

この手のカフェメニューは値が張ることが多いのですが

ここでは1000円程度と割と安価でした。

 

ほか、地元農産物の販売などもしていますので

薬師池公園を訪問した際には一度は立ち寄りたいところです。

 

 

 

 

 

ここからは本園の記録です。

分園と違い「水」を主軸としています。

写真は菖蒲田。棚田状に広がっていました。

 

 

 

 

 

 

水車小屋(左)と、公園名の由来でもある薬師池(右)。

そこまで極端に広い池ではないのですが

冬場にはカモの仲間などもよく飛来すると聞きます。

 

今回は見られませんでしたが

そこそこの率でカワセミが出現しますので

バードウォッチャーが三脚持ちでスタンバイしていることも。

水面に迫り出した枝やポールの上などにいることが多く

距離も近いので、撮りやすいかも?

 

 

 

 

 

公園内には茶屋もオープンしています。

ショウジョウトンボ(写真左下)がお出迎えです。

 

 

 

 

 

この茶屋では「紫蘇ジュース」や「梅ジュース」など

ちょっと珍しいメニューも取り揃えています。

写真は赤紫蘇ジュース。酸味が強くとても濃厚で

疲労回復にはもってこいの一杯です。

 

 

 

 

 

ショウジョウトンボを素手で捕獲。

10月に入って以降はさすがに見なくなりましたが

この時期(9月上旬)はまだまだ最盛期でした。

 

菖蒲田に立てられたポールや

あるいは菖蒲の葉の先端などに

本種を始めとしてよくトンボが止まっています。

見つけるのに苦労しないレベルです。

 

 

 

 

 

 

茶屋の裏手にある萬葉草花苑

その名の通り、万葉集に登場する植物などを

中心に植栽されている植物園みたいです。

秋の七草のみを集めて植栽した区域(右)もあり

ここのオミナエシは例のルリモンハナバチなどの

飛来スポットとしても知られています。

 

 

 

 

 

古民家は現在、文化財などとして保存されており

当たり前ですが人は暮らしていません。

現在の家主なのか、床下にはトカゲが住み着いています。

 

 

 

 

 

これもニホントカゲ

コオロギを捕らえたようです。

あまり口が大きくないトカゲですが

結構デカい獲物を捕まえていました。

 

 

 

 

 

とまあ色々な生きものの観察できる公園ですが

この日はこんな新顔にも遭遇してしまいました。

いつぞやのイラガセイボウともまた違う美しさ。

見た目通りにミドリセイボウといいます。

全身のメタリックグリーンと

腹部にほのかに覗けるレインボーカラーが見事!

 

遭遇率・・・1(オオセイボウより会いにくい?)

インパクト・・・1 (サイズはミツバチ以下でオオセイボウとほぼ同等)

美しさ・・・5 (これは文句なし)

俊敏性・・・5 (ハチなので当然俊敏)

知名度・・・2 (オオセイボウに比べるとややマイナー)

 

 

オオセイボウやイラガセイボウ、あるいはルリモンハナバチなど

この手の美しいハチの常と言いますか、コイツも寄生バチです。

寄生先は、本ブログでも紹介したことのあるルリジガバチ。

オオセイボウと同じく、同じハチの仲間を寄生先にしています。

 

 

 

 

 

後に、上記のオミナエシの所で

オオセイボウも出てきてくれました。

ほぼブルーメタリックのオオセイボウと比較すると

色の差は明確ですが、どちらを美しく感じるかは

人それぞれ……といったところでしょうか?

 

私としてはミドリセイボウの方が好みですが

日本人は青を好む傾向が強いと聞きますし

知名度という点ではオオセイボウの方が上。

伊佐沼に出現したイラガセイボウも含めまして

さて、皆さんはどれがお好みでしょうか?

(ルリモンハナバチはちょっと系統が違うので除外か?)

 

 

 

 

 

樹皮に擬態するサザナミスズメ

セイボウとのギャップが激しい

 

 

 

 

 

池には、巨大なスッポンの姿も。

後ろ足が落っこちそうなのがポイント(爆)

 

 

 

 

 

産卵場所を探しているギンヤンマのカップル。

夏場の薬師池では結構よく見かけます。

 

 

 

 

 

最後に、ちょっと奇妙なシーン。

ナミアゲハの集団が枯れた菖蒲田で

泥から水を吸っていました。

まあ、吸水だけなら不思議なことでもないですが

周りに散らばっている小エビ(?)の死骸は

一体何なのか? そして、集団でアゲハが来たのは

この死骸と何か関係があるのか……?

 

ちなみに、動物の死体にチョウが群がるのは

決して不思議なことではないらしいです。

日本のアゲハチョウでも見られることだとか何とか……。

ま、まあ、深くは考えないことにしよう(汗)

 

 

 

まとめとしまして、歩く距離は遠くない割に

色々コンテンツが充実していますので

生きものめぐりには好都合なスポットと言えます。

来年あたり、講座を組んでみても面白いかもしれませんね。

 

 

 

 

 

【9/3 薬師池公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・キジバト、コゲラ、シジュウカラ、メジロ、ヤマガラ

昆虫類・・・アオバハゴロモ、アオモンイトトンボ、アミメクサカゲロウ、アブラゼミ、アメンボ、イチモンジセセリ、イボバッタ、ウスイロササキリ、ウラギンシジミ、オオシオカラトンボ、オオスズメバチ、オオセイボウ、オンブバッタ、カタグロチビドロバチ、カノコガ、キイロスズメバチ、キタテハ、キンケハラナガツチバチ、ギンヤンマ、クマバチ、クルマバッタモドキ、クロアナバチ、クロカナブン、コアオハナムグリ、コカマキリ、コシアキトンボ、コバネイナゴ、ササグモ、サザナミスズメ、サトキマダラヒカゲ、シオカラトンボ、ショウジョウトンボ、ショウリョウバッタ、ショウリョウバッタモドキ、スジグロシロチョウ、ダイミョウセセリ、ツクツクホウシ、ツチイナゴ、ツマグロオオヨコバイ、ツマグロヒョウモン、ナミアゲハ、ノコギリクワガタ、ノシメトンボ、ヒナバッタ、ヒメツツハキリバチ、ベニシジミ、ホソヘリカメムシ、マメコガネ、マユタテアカネ、ミドリセイボウ、ヤマトシジミ、ヤマトシリアゲ、ヨコヅナサシガメ

その他・・・アカミミガメ、スッポン、ニホンアマガエル、ニホントカゲ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2023年10月15日(日)に開催いたします。

 行先は「三番瀬&葛西臨海公園」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。