トトロの森の住人達(狭山丘陵) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

「となりのトトロ」を金曜ロードショーで放送していたその翌日、

舞台のモデルであった狭山丘陵に足を運んでまいりました。

さすがにサツキとメイが引っ越した時代のように

一面田んぼの里山とはいきませんが(むしろ新興住宅街色が強い)、

それでも丘陵域は高い自然度が守られており、緑の濃い環境です。

 

なお、狭山丘陵というのは埼玉県と東京都の西側で

ちょうど県境に位置するエリア全体のことをいいます。

今回の記事で私が紹介しているのは野山北・六道山公園を軸に

整備されている「公園」であり、それ以外の場所については

上記の通り住宅地が中心となっています。

そのため、トトロのあのひたすら長閑な里山風景を想像していると

ちょっとイメージが違って残念に感じてしまうかもしれません。

 

ただ、左写真のように公園内には雑木林も広がっており

その中で遊べるように遊具等が配置されています。

右写真は、林の中で鳴いていたヒグラシです。

サイズはアブラゼミやミンミンゼミよりも一回り小さめです。

 

 

 

 

 

ミヤマカミキリのいる風景

右の木に止まっているカミキリ本体に焦点を当て

フラッシュを使用して撮影しています。

もしフラッシュなしで撮影すると、どうしても右手前の木が

カミキリごとまとめて真っ暗になってしまうのです。

(他に撮影の方法があるのかもしれませんが、ぶっちゃけカメラのシステムについては詳しくない)

 

 

 

 

 

公園の中に限っていえば、到底新興住宅街っぽくは見えず

ほとんどの場所は「周りは全部森ばっか」だったりします。

 

 

 

 

 

 

草むらに隠れていたキリギリスを、素手で捕獲。

肉食傾向が強く大きな牙を持っているため

真似するのであれば多少の流血は上等という覚悟で(爆)

(別に噛まれてはいませんが)

 

ちなみにキリギリスを捕獲したのは、実はこれが初めて。

深い藪の中に隠れていて見つからないことが多いのみならず

手で捕まえられるほどの至近距離まで近づくのも一苦労なので

意外にもこれまで全く機会がありませんでした。

 

 

 

 

 

 

ニホンカナヘビ(左)とニホントカゲの若い個体(右)。

何となく、杭とかに堂々と乗っかって日光浴しているのは

ほとんどカナヘビの方で、ニホントカゲは地面を歩き回る印象があります。

何か理由があるのでしょうかね?キョロキョロ

 

 

 

 

 

散策中、いきなりカブトムシに遭遇しました。

本来夜行性ゆえにボーッとしていたのか、簡単に捕獲できたので

しばらくそのまま連れまわしてみます。

 

 

 

 

 

 

野山北・六道山公園の中には谷戸を活かした里山風のエリアがあり

昔ながらの古民家(右写真)なども保存されています。

トトロのカンタが暮らしていたのは確かこんな感じの家だった気がしますが

茅葺きだったかどうかまではちょっと覚えていないです……。

(サツキとメイの家は、少なくとも外観は洋風家屋なので違う)

 

ちなみにこのカブトムシ、自分から離れていってはくれませんでした。

(一切押さえつけていないので、その気になれば飛んで逃げられるはず)

力が強く脚がトゲトゲしているので抱きつかれると結構痛いんですが……。

 

 

 

 

 

1つ残念なお知らせとして、今年はコロナ感染予防のために

田んぼでコメ作りをしていません。例年は地域の子供たちを招いて

稲作体験を実施しているのですが、その手の催しは軒並み中止。

田植えから収穫までそうした実習の一貫として行っているため

今年のような状況下では田んぼそのものを

1年休ませるしかなかったみたいです。まあ、已む無しか……。

 

水田には水を張っているため、アメンボハイイロゲンゴロウなどが

普通に泳ぎ回っています。(アメンボは泳いでいるというべきか微妙ですが)

 

ここの谷戸を一通り見学し終えた後、

カブトムシは元の場所に戻しておきました。

くっついていた時間は約40分です。 逃げるという選択肢はなかったらしい

 

 

 

は? カブトムシの知名度?

にきまってるだろンなもん(威圧)

カブトムシの写真を見てカマキリというBAKAがどこにいる?

 

 

 

 

 

 

小さいながらもなかなか美しいスケバハゴロモ(左)と

園路沿いのロープにとまっていたオナガサナエ(右)。

いずれもカブトムシとは違い、知名度はあまり高くない昆虫。

一方で都心部ではなかなか観察する機会がないため

新興住宅地化しつつあるといえど、

ちゃんと自然は残っているんだということを実感します。

 

スケバハゴロモは、カメムシやセミなどに近い仲間。

わかりやすい例ではアオバハゴロモ(知名度4)の仲間です。

 

 

 

 

 

 

虹×2

右の噴水は、六道山公園に近い狭山池公園の中にあり

そちらは主に水鳥の飛来地となっています。

たまにカワセミも出るみたいです。

左の写真は、上に登場した古民家で噴霧していたミスト。

クソみたいに暑い昨今の真夏の心強い味方です。

 

 

 

 

 

7月が嘘のように晴天続きだった今年の8月。

気温も凄まじく高く、私もこの日1日だけでペットボトル6本空きました。

(量でいうと3リットル。とてもまとめて持ち歩ける量ではありません)

上の写真でホオジロが口を開けていますが、これは鳴いているのではなく

カラスとかアオサギなんかがよくやっているアレと同じです。

要は暑さでゲンナリしているわけですね。

今年はテニスの大会が中止続きで修造が日本に留まっているからこんなに暑いんじゃね?

 

 

 

 

 

林内に咲くキツネノカミソリ

ヒガンバナの仲間ですが、あちらが中国原産なのに対し

本種は元々日本の野山に生えていた植物です。

にしても、ここまでの群落は初めて見たかもしれません。

(近くに看板が立っていましたが、植えたものか自生かは定かでない)

 

 

 

 

 

 

林の中で遭遇した、カブトムシのメス(左)とニホンアカガエル(右)。

アカガエルの方は光が足りず証拠写真レベルになってしまいましたが

自然度の高さを象徴する指標動物だけに、会えると毎度嬉しくなります。

 

 

 

 

 

本気の威嚇を

見たことはあるか?

 

この場合、手を出すとカマで掴まれて噛み付かれます。

妊娠中ではなさそうなので、単に気が立っていただけでしょう。

人間でもよくあることです。

 

 

 

 

 

具体的な場所は秘匿とさせていただきますが

今回散策した狭山丘陵のとある場所に、オミナエシの大群落がありました。

誰かが植えたものなのか、それとも自生しているのかは不明です。

 

 

 

 

 

 

あれだけのオミナエシがあればひょっとすると……と期待していると

やはり現れました。オオセイボウ(左)とルリモンハナバチ(右)です。

人気の高いこの2種を同時に観察・撮影できたのはこれが初めてのこと。

しかも1匹2匹の次元ではなく、次々と現れるから驚いたのなんの。

周りの自然度が高いため、こういうレア度の高いハチも多いのでしょう。

はっは~ん、これが本当の「ダブル―ビー」か。

 

なお、「ブルー・ビー」「幸せを呼ぶ青いハチ」というのは

ルリモンハナバチことを示します。青色はオオセイボウの方が濃いですが

あちらは単にメタリックカラーの綺麗なハチとして認識されています。

(ただし、以前にも書きましたが知名度はオオセイボウの方が多分上です)

 

 

 

 

 

上に書きました「周りの環境」というのが実はとても大切。

例えば学校にビオトープをつくって虫を呼ぼうと思い

校庭にオミナエシを植えたとしても、周囲がビル街や住宅街では

それほど珍しい昆虫の飛来は期待できません。

 

ただ、都会進出していて広範囲を移動できるナミアゲハ(写真)などは

都心部でも飛来する可能性が高く、さらにそれを追いかけるように

カマキリやトンボなどがやってくる可能性はあるでしょう。

 

高望みはすべきでないでしょうが、虫を集めるという点では

やはりオミナエシは優秀です。が、優秀過ぎるがゆえに

ハチも多く飛来するため、導入時にはある程度の覚悟が求められます。

 

 

 

 

 

 

最後に、珍しくとまっているシーンを捉えることができたオニヤンマです。

かなり距離があったので所々ボケていますが、

そもそも静止しているシーンを撮影する機会が少ないので、文句は厳禁。

ちなみに写真だとわかりにくいですが、昭和記念公園のギンヤンマと同じく

獲物を喰っている真っ最中です。(多分日本のトンボの中では最強)

 

 

今回の散策を振り返ってみると

オオセイボウやルリモンハナバチも当然嬉しかったものの

アブラゼミアメンボオオカマキリオニヤンマオンブバッタカブトムシ

キリギリスシオカラトンボナミアゲハミンミンゼミあたりの

知名度5と思われる面々を多数撮影することができたのが特に印象的でした。

意外と都心の公園だと、こういうメジャー種も一気に撮れることは少ないんですよね。

 

 

 

 

【8/15 狭山丘陵で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、カルガモ、キジバト、トビ、ハクセキレイ、ホオジロ、ムクドリ、ヤマガラ

昆虫類・・・アオオサムシ、アオドウガネ、アオバハゴロモ、アオマツムシ、アオメアブ、アブラゼミ、アメンボ、イチモンジセセリ、イチモンジチョウ、イボバッタ、エビイロカメムシ、オオカマキリ、オオシオカラトンボ、オオセイボウ、オオヒラタシデムシ、オナガサナエ、オニヤンマ、オンブバッタ、カナブン、カノコガ、カブトムシ、キタキチョウ、キマダラセセリ、キマワリ、キリギリス、クルマバッタモドキ、クロウリハムシ、クロカナブン、コオニヤンマ、コクワガタ、コバネイナゴ、ササキリ(幼虫)、サトキマダラヒカゲ、シオカラトンボ、シオヤアブ、ジガバチ、ショウリョウバッタ、シロテンハナムグリ、スケバハゴロモ、ダイミョウセセリ、ツマグロオオヨコバイ、ツマグロヒョウモン、ナミアゲハ、ノコギリカミキリ、ハイイロゲンゴロウ、ハエトリグモの一種、ハラアカヤドリハキリバチ、ハラビロカマキリ、ヒグラシ、マメコガネ、マユタテアカネ、ミヤマカミキリ、ミンミンゼミ、ムネアカオオアリ、ヤマトシジミ、ヤマトフキバッタ、ヨツボシケシキスイ、ルリモンハナバチ

その他・・・アメリカザリガニ、ニホンアカガエル、ニホンカナヘビ、ニホントカゲ

 

 

【8/15 狭山丘陵で捕獲したポケモン】

イシズマイ・・・3

ガーディ・・・2

カイロス・・・1

カブルモ・・・2

キモリ・・・4

クルミル・・・1

サイホーン・・・2

シママ・・・3

ダンゴロ・・・9

チョボマキ・・・3

ツタージャ・・・2

ハーデリア・・・1

ヒトカゲ・・・1

ミジュマル・・・6

モグリュー・・・2

モンメン・・・3

 

★現在、生きもの探索ツアー開催に向けて準備中! ご期待ください。m(_ _)m