“本命”の居場所(天神島) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

午後から天候が荒れると予報で言われていましたが、

今度こそアオウミウシを……と狙いを定め、2度目の天神島へ。

前回は少しタイミングが早過ぎたものと思われたので

約2週間ブランクを置き、暖かくなるのを待ちました。

 

 

 

 

 

 

天神島に多いイソヨコバサミ(左)は、この日も健在。

ホンヤドカリより基本的にサイズが大きく

緑色で美しいため、よく目立ちます。

右はクロヘリアメフラシです。こういう写真ではわかりにくいですが

無印のアメフラシよりも大分小型です(これも個体差がありますが)。

 

 

 

 

 

 

ヤツデヒトデくっつかれた画像。

ねっちょりした粘液(?)で手のひらに貼り付いてこられると

思った以上になかなか離れてくれません(汗)。

この状態のヒトデは活発に動き回る傾向にあり、

水の中に入れてやると少しずつですが「移動」します。

 

 

 

 

 

タイドプールに入り込んだカエルウオ

ここのところ江の島の稚児ヶ淵に行っていないため

随分久しぶりに見たような気がします。

 

さて、正午過ぎまで探してもアオウミウシはなかなか見つからず。

それどころか前回撮影したクロシタナシウミウシも出てきません。

今回は地雷だったか?などと思いつつ、

前回の訪問時と比べて随分と潮が引き、

奥の方まで行けることに気づいたので、

足下に(前回ガンガゼがいたので特に)注意しながら

奥の岩場をチェックしてみました。(満潮時は間違いなく水没する所)

岩の隙間などを波に耐えながら念入りにチェックした、その結果……↓

 

 

 

 

 

おお! こ、これは!?

まだ子供なのかサイズは小さいですが……↓

 

 

 

 

 

ようやく撮ることができました。

これこそがウミウシの王道 アオウミウシです。

マジここまで長かった

 

遭遇率・・・2 (本来であれば磯で一番多いウミウシらしい)

インパクト・・・2 (最大でも3~4cm程度と小型)

美しさ・・・5 (最もポピュラーであると同時に最大級に美しい)

俊敏性・・・1 (まあウミウシなので)

知名度・・・4 (ウミウシといえばこれを連想する人が多い)

 

 

上記のヤドカリだのアメフラシだのよりも

深い場所を好んでいるらしく(水深2~3mくらい?)

これが今まで見つからなかった原因だったみたいです。

(今までは潮位の関係でそこまで奥を見られなかった)

今回は大きく潮が引いて岩場が露出していたため

辛うじてサンダル履いているだけで行ける場所に

現れたのではないかと、そう推察しております。

 

 

 

 

 

ちなみに、近くにいた親子連れが大人の個体も見つけており

一言断って撮影させてもらいました。

実はこちらの方が上の手のひらに乗せている個体よりも

先に撮れたやつなのですが、もし上のチビ個体を撮れなかったら

新顔登録は見送るつもりでした(汗)

(やっぱ自分で見つけた個体で登録したいもので)

 

ちなみにアオウミウシの食料はクロイソカイメン

本ブログでもたまに取り上げますし、

天神島では至る所で観察されますが

カイメンを見張っていれば来てくれるわけではありません(汗)

やっぱり然るべき場所を調べてみないとダメなようで……。

 

 

 

 

 

さらに、今度はシロウミウシにも遭遇。

本来はこれもアオウミウシと並ぶメジャー種だそうです。

 

遭遇率・・・2 (アオウミウシに次ぐ遭遇率との噂)

インパクト・・・2 (本来大きさはアオウミウシとほぼ同じ)

美しさ・・・4 (色彩面ではやや劣るものの、これも美しい)

俊敏性・・・1 (まあウミウry)

知名度・・・3 (名前は知らない方も多いかも)

 

 

 

 

 

水中を動いている姿を一枚。

(手のひらに乗せているシーンも水に浸して撮っているのですが)

ちなみにご存知の方も多いとは思われますが

尻尾みたいに見えるものが「エラ(鰓)」です。

 

 

 

 

 

これは……何のカニなのでしょうか?

特長的な模様ですが、正体がわかりません。

申し訳ありませんがもしわかる方いらっしゃいましたら

そっと教えてくださいませ。<(_ _)>

 ▼

読者様からの情報により

トゲアシガニというカニの子供であることがわかりました。

大きくなると甲羅の直径は3~4cmくらいになるそうです。

(ACたんぽぽ様、ありがとうございました)

 

遭遇率・・・2

インパクト・・・3 (成体になれば結構目立ちやすい模様)

美しさ・・・3

俊敏性・・・3 (動きはかなり俊敏。素手で捕まえるにはコツが必要)

知名度・・・1 (自分の検索スキルでは見つかりませんでした(汗))

 

 

 

 

 

岩の僅かな窪みに入り込む小さな小さなカニ……

と思いきや、実はこれはヤドカリの仲間。

イソカニダマシというそうです。名前の由来は言わずもがな。

 

遭遇率・・・2 (アオウミウシのいた辺りに数個体確認)

インパクト・・・1

美しさ・・・2

俊敏性・・・3 (ちょこまか動くので撮影に苦労しました)

知名度・・・1 (Webで検索しまくってやっと見つけた)

 

カニのように見えてヤドカリの仲間、ということで

あのタラバガニに通じるところがあります。

最初、カニのつもりで「カニ 磯 図鑑」などで

Web検索をかけていたので、なかなか見つかりませんでした。

 

 

 

 

 

 

これはキモい

アカクモヒトデといい、

厳密に言うとヒトデの仲間ではありません。

岩を持ち上げたら下からにゅるりと出てきましたので

素早く捕獲しましたが、コイツは手のひらの上でうねうね動き回り

最初はゴカイとかの類かと誤解しておりました。

 

遭遇率・・・2 (珍しいわけではないようですが……)

インパクト・・・3 (サイズがどうとかの話じゃなく、キモい)

美しさ・・・2 (キモいにはキモいけど、デザインは美しい)

俊敏性・・・3 (細長い腕を器用に動かし、俊敏に動く)

知名度・・・2 (図鑑なら掲載されているレベル)

 

写真だとわかりにくいでしょうが、

コイツの活発さは上記のヤツデヒトデとは比べ物にならず、

そこいらもカニもビックリするレベルの俊敏性を兼ね揃えています。

特に危険な動物でもなければ、嫌な質感があるわけでもないので

観察したい時は躊躇なくガバッと捕獲しましょう。

 

 

 

 

 

と、ウミウシを始めとして新顔集団にwktkしていましたが

ここへきて急激に空気が冷たくなり、空模様が悪化。

危機感を感じて陸に上がったところで雷が鳴りだし

雨も降り始めました(しかも集中豪雨)。

いくら予報で覚悟していたとはいえ、急に来られるとやはり驚きますね。

 

慌てて管理センターに駆け込み、しばらく雨宿りしました。

 

 

 

 

 

雨が小康状態になったところで帰路につきましたが

道中、新顔の蛾に遭遇。ウスキツバメエダシャクというそうです。

磯散策の締めとしてはちょっとアレかもしれませんが

これも新顔登録させていただきます。

 

遭遇率・・・2 

インパクト・・・3 (そこそこ大き目で白いので目立つかも)

美しさ・・・3 (白を基調としており、デザインもなかなか美しい)

俊敏性・・・3 (飛べばそれなりに早いはず)

知名度・・・1 (この系統の蛾は種類豊富過ぎて図鑑検索が必須)

 

名前にある「ツバメ」というのは

後翅の尾状突起に由来するものと思われます。

ツバメシジミなんかでも同じような突起がありますよね。

あれと同じと思っていいでしょう。

 

 

 

以上、ようやくアオウミウシを登録できて感無量です。

天神島には他にもウミウシが生息しているという話は聞きますので

仕事が落ち着いたら再度足を運んで見ようかと検討中です。

 

 

 

【5/1 天神島で撮影した生きもの】

鳥類・・・ガビチョウ、ツバメ、ハクセキレイ

昆虫類・・・ウスキツバメエダシャク、セグロアシナガバチ

その他・・・アオウミウシ、アカウニ、アカクモヒトデ、アゴハゼ、アメフラシ、イソガニ、イソカニダマシ、イソスジエビ、イソヨコバサミ、ウメボシイソギンチャク、カエルウオ、カツオノエボシ、クロイソカイメン、クロヘリアメフラシ、ケアシホンヤドカリ、シロウミウシ、ダイダイイソカイメン、タテジマイソギンチャク、ヒライソガニ、ホンヤドカリ、マナマコ、ムラサキウニ、ヤツデヒトデ、ヨロイイソギンチャク

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年5月16日(日)に開催いたします。

 行先は「横浜自然観察の森」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらをご覧ください。

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。