ぶっちゃけ軽井沢や銚子よりずっと近い(箱根湿生花園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

実家の家族と仙石原(箱根)まで出かけました。

ここの箱根湿生花園は昔からのお気に入りスポットですが

ブログを始めて以降はまだ一度も訪ねたことがなかったので

なかなか新鮮な気持ちで散策を楽しむことができました。

 

とは言え、一応ここは神奈川県の一部ですし

これまで多々良沼や御岳山など関東西部の自然地には

結構足を運んできたので、そこまでの大きな収穫は

ぶっちゃけ期待していませんでした。ところが……。↓

 

 

 

 

 

林の中の風景。ギボウシシシウドなどが観察できます。

春ならミズバショウも咲くらしいです。

 

 

 

 

 

在りし日の箱根の湿地環境を再生・保全する湿生花園は

季節の山野草の宝庫です。標高が高いこともあって

関東平野部よりもやや開花期が遅くなる傾向にあります。

実際、この時点でまだヤマユリが開花期一歩手前でした。

 

 

 

 

 

 

フシグロセンノウ(左)とレンゲショウマ(右)。

いずれも毎年御岳山で撮影しているものです。

(もちろん人の手で植栽・保護されているものではありますが)

 

 

 

 

 

 

周囲は自然度の高い森で、園内には花が多数あることから

チョウの姿も色々と観察できます。

平地ではなかなか観察できない種も多く

ミヤマチャバネセセリ(左)とウラギンスジヒョウモン(右)を

ずいぶん久しぶりに観察できました。

 

 

 

 

 

これは珍しいわけでもないですが、

池で見かけたハグロトンボです。やたら多数飛んでいました。

 

 

 

 

 

意外にも、まだミドリシジミが残っていました。

撮れたのはこの1頭だけでしたが、これまた山岳域ゆえ

平地よりも大幅に発生期が後ろ倒しになるみたいです。

 

 

 

 

 

 

オカモノアラガイ(左)は雨上がりだからか

色々な植物の葉の上で確認できました。

右は、尻尾の再生しかけているニホンカナヘビです。

 

 

 

 

 

コオニユリの花粉を食している(?)ヒメギス

ヒメギス自体は決して珍しい昆虫ではないですが

こんなふうに食事しているシーンは初めて。

 

多くのキリギリスの仲間と同じく雑食性ですが

より草食傾向が強く、花粉以外に花弁や果実など

色々なものを食べて生きているようです。

 

 

 

 

 

シシウドに目を向けると、お馴染みのが。

彼らはセリ科の植物を好み、実際シシウドもセリ科。

この辺りは平地とあまり差がないようです。

 

 

 

 

 

園内の南側に位置する仙石原湿原植生復元実験区。

黄色いカセンソウを軸に、ギボウシチダケサシなど

夏の山野草が自生地さながらに咲き乱れています。

もっとも開放的でなおかつ花の数が多い必見のポイント。

また、右奥の斜面にある開けた部分が

かの有名な仙石原のススキ野原です。(そちらについてはまた後日)

 

 

 

 

 

黄色いクサレダマと。乳白色のチダケサシ

いずれも仙石原エリアでは多数自生しています。

 

……とまあ植栽とは言え山野草も多数観察できましたが

本番はここから。同じ神奈川県とは思えないレベルで

これまでに見たことのなかった昆虫が続々と登場しました。↓

 

 

 

 

 

 

草むらで鳴いているバッタ。多数見られました。

お恥ずかしながら「鳴くバッタ=ナキイナゴ」

こっ恥ずかしい勘違いをして、家族にもそう説明してしまいましたが

これはツマグロバッタという新顔でした。

(後で家族にちゃんと説明しておかなくては……)

 

遭遇率・・・2 (平地にもいるらしいのですが)

インパクト・・・2 (ナキイナゴよりサイズが大きめ)

美しさ・・・3 (後脚の関節と翅の先端が黒い)

俊敏性・・・3 (バッタなので飛ぼうと思えば早いはず)

知名度・・・2 (手持ちの図鑑にもちゃんと載っている)

 

 

……油断せず、常にWebや図鑑で

チェックする癖をつけましょう(戒め)

 

 

 

 

 

こちらはオオヘリカメムシ

名前の通り、サイズはカメムシの中でも大きめです。

 

遭遇率・・・2 (そんなに多くはない模様)

インパクト・・・3 (大型でちょっと驚く)

美しさ・・・2 (地味な色なので)

俊敏性・・・2 (飛ぼうと思えば飛べる……のか?)

知名度・・・2 (図鑑には掲載されている)

 

 

 

 

 

カワラナデシコの花を訪れた、ずんぐりした体形のハチ。

トラマルハナバチといいます。虎柄で丸いからこの名前。

 

遭遇率・・・2 (絶滅危惧種ではないですが)

インパクト・・・2 (クマバチのようなインパクトはない)

美しさ・・・3 (明るい色でなかなかオシャレ)

俊敏性・・・4 (なかなか静止しないのでやや撮りにくい)

知名度・・・3 (下記の理由により、それなりに知られている)

 

トラマルハナバチは、本ブログでもよく紹介しております

サクラソウの花粉を媒介する種として知られています。

だとすれば田島ヶ原のサクラソウ自生地でも観察できそう……と

当初私も思ったのですが、あちらではまだ見たことがなく

あそこの自生地のサクラソウはクローンで増えているそうです。

(サクラソウはトラマルハナバチ以外では受粉できないらしい)

 

 

 

 

 

そしてこの日最大の発見だったのがこちら。

タマムシを思わせる配色の、美しく輝く甲虫。

最初はアカガネサルハムシかと一瞬思ったのですが

サイズが明らかに違いますし、あちらと比べると縦長です。

 

正体はオオルリハムシといい、国の準絶滅危惧種に指定される

神奈川県ではなんと仙石原でしか確認できていない甲虫です。

 

遭遇率・・・1 (上記の通り準絶滅危惧種)

インパクト・・・2 (葉虫にしてはサイズが大きめ)

美しさ・・・5 (タマムシに勝るとも劣らない美しさ)

俊敏性・・・2 (あまり活発には動きませんでした)

知名度・・・3 (県内では仙石原にしかいないこともあり、人気が高い)

 

 

 

 

 

正面から見るとこんな感じです。

タマムシと同じであまり可愛い顔ではありません(爆)

 

 

 

 

 

交尾している個体もいました。

成虫は基本的に8月中旬頃から見られなくなるらしいので

今足を運んでも観察できる可能性は低いでしょう。

狙うなら、7月上旬辺りがベストかもしれません。

 

湿生花園内ではある特定のエリアで多数観察できました。

シロネ類を食草とするらしいので、探してみるといいかも?

 

 

 

 

 

これは驚き。夏に開花するエビネです。

ナツエビネというそのまんまの名称。

もちろん園内で見られるのは植栽されたもので、

野生のものは絶滅危惧Ⅱ類となっていますので

見るチャンスは少ないでしょうし、見てもそっとしておくべきかと。

(居場所を晒せば盗掘される恐れがあります)

 

 

 

 

 

一通り、山野草と新顔の昆虫を観察・撮影して満足。

帰りがけに、エントランス付近での特別展示を見ておきました。

見ての通りの食虫植物展。マニア受けの良い植物ではありますが

ここまで集まっているとさすがに気持ち悪い……を通り越し

むしろ半永久的に見続けていたくなります(病気)

 

 

 

 

 

もういっちょ。

 

小さいものが多数集まっているのが苦手な方は

迂闊に写真をクリックしないようご注意ください。<(_ _)>

 

 

 

 

【7/27 箱根湿生花園で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、カルガモ、キジ、セグロセキレイ、ツバメ

昆虫類・・・アカスジカメムシ、アメンボ、ウラギンスジヒョウモン、ウリハムシ、オオシオカラトンボ、オオヘリカメムシ、オオルリハムシ、オバホタル、キタキチョウ、コアオハナムグリ、クロアナバチ、クロイトトンボ、シオカラトンボ、シオヤアブ、シマアメンボ、セマダラコガネ、タンザワフキバッタ、ツマグロバッタ、トラマルハナバチ、ニホンミツバチ、ハグロトンボ、ハナグモ、ハラビロトンボ、ヒメギス、ホソメヒラタアブ、マメコガネ、マユタテアカネ、ミドリシジミ、ミヤマチャバネセセリ

その他・・・ニホンカナヘビ、オカモノアラガイ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年8月22日(日)に開催いたします。

 (15日から日程を変更したいと思います。何卒ご了承ください)

 行先は「小山田緑地(東京都町田市)」でございます。※下記写真

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 

 

 

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。