道さえ開通してりゃ…(瀬上市民の森→横浜自然観察の森→石窯ガーデンテラス→朝比奈切通) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

今日は長いです。

何卒ご了承ください。<(_ _)>

 

 

 

 

 

5月の講座で訪問した横浜自然観察の森

金沢自然公園や瀬上市民の森と隣接しており、

巨大な一つの森を作っています。

これらの森はハイキングコースで繋がっており、

時間と体力さえあれば徒歩で移動することも十分可能。

ところが2019年秋に上陸した巨大台風によって

いくつかの山道で崖崩れが起き、未だに開通していない所もちらほら。

本来であれば瀬上→横浜自然観察の森というルートは

私のよく通る道だったのですが、ここのところはご無沙汰でした。

 

この日は朝から時間があったので、まず瀬上(左写真)で森の中を歩き

そこからバスを使うなりして別の場所に移動しようと思いました。

真夏の陽気ゆえ、既にハグロトンボ(右)が多数出現しています。

このトンボ、よく見なくてもカワトンボより身体の光沢が強く

翅の黒さゆえに見落としがちですが、日本有数の美しい昆虫です。

 

 

 

 

 

コオニヤンマ……だと思う(弱気)

この日、瀬上でやたらと何度も遭遇しました。

森の中では上方からタイワンリスとガビチョウの声がして

藪の隙間からソウシチョウが姿を見せ、池に目を向ければ

今度はウシガエルが合唱しているというステキな場所ですが(呪)

自然度は依然として高く、コオニヤンマを始めとした

サナエトンボの仲間は、その象徴的な立場でもあります。

 

 

 

 

 

 

ウバユリも多数見られました。左写真は保全されているようですが

全く手つかずのところに自生しているものも多数あります。

 

 

 

 

 

ヤブミョウガの大群落。ここまでの規模のものは

ひょっとすると初めて目にしたかもしれません。

特に珍しいわけでもないポピュラーな森の植物ですが

ここまでたくさん生えていると圧巻です。

 

 

 

 

 

ところでこの瀬上、4年くらい前までは

ハンミョウが多数見られたのですが、最近見られません。

代わりに写真のトウキョウヒメハンミョウが増えました。

 

単に私の運がないだけならいいのですが

こうも少ないと「何か」あったんじゃないかと邪推してしまいます。

 

 

 

 

 

 

さて、上記の通り一昨年の台風で崖崩れが起き

山道が通行止めになっていた瀬上ですが、

複数あるハイキングコースへの道

いっしんどう広場に続く山道は開通していたので(右の地図参照)

今回、ちゃんと徒歩で横浜自然観察の森に行けました。

(これは元々通行止めになっていなかったのか

私の知らない内に工事が終わって開通したのか、そこは不明)

 

 

 

 

 

山道で何度か見かけたニホントカゲ

まだ若い個体のようです。

 

 

 

 

 

小さいながらも、寸詰まりで珍妙な体つきが印象的なこの虫。

シリアカハネナガウンカというそうです。

尻(腹部の先端)が赤みを帯び、身体に比して翅が長いという

特徴をよく表した名前ですが、

明日まで覚えていられるかは微妙です(;^_^A

 

遭遇率・・・2 (そんなに多くはない模様)

インパクト・・・1 (妙な形だがサイズが小さすぎるので)

美しさ・・・2 (汚くはないですが……)

俊敏性・・・3 (そこそこの速度で飛ぶ)

知名度・・・1 (図鑑なしで識別するのは難しい)

 

 

 

 

 

 

横浜自然観察の森です。上記の通り5月の講座で歩きましたが

今回はあの時と違い良い天気です。ビジターセンターに立ち寄ると

今年のホタルの出現状況についての展示がありました(右)

 

スタッフの皆さんが保護していることもあるのでしょうが

結構出てはいたようです(ただし初夏でないと見られません)。

 

 

 

 

 

オニヤンマにも遭遇しました。

珍しく止まってくれたのですが(止まっているのはミズヒキ)

後ろからのアングルで撮れなかったのが残念。

 

上記のコオニヤンマとは別の科に属しており

模様もそうですが、何よりサイズが全く違うので

見かけても誤認することはまずないでしょう。

(明らかにサナエトンボの系統よりデカいです)

 

 

 

 

 

さて、横浜自然観察の森でもハンミョウが見られず

残った時間をどうしようかと検討した結果

バスで鎌倉方面に向かうことにしました。

本当なら朝比奈切通を通って徒歩で鎌倉に行けるのですが

何度も言うように台風で崖崩れが起きてまだ封鎖されているため

バスを使わざるをえなくなっています。クソ面倒くさいです(爆)

 

バスに乗り、6月の「花をたずねてry」講座で足を運んだ

浄明寺を訪ねました。ここの敷地内に石窯ガーデンテラスがあり

食事をすると英国式庭園の散策もできるので

当時の記事でも書いた通り、晴れたらまた行きたいと思っていました。

 

 

 

 

 

これが石窯ガーデンテラスの英国式庭園です。

様々な草花を組み合わせて華やかかつナチュラルな風景を描く

英国式らしい手法が魅力。周りが緑の濃い森ということもあり

天気さえよければ昆虫も来るだろうと踏んでいましたが

予想通り、いや予想以上の成果がありましたので

ここでご報告いたします。

 

 

 

 

 

 

庭園内の雰囲気です。テラスからガーデンを眺めることができますが

当然屋外にエアコンなどありませんので、席から楽しみたいなら

暑さはある程度我慢しましょう。

 

席に案内してもらった際、店員さんから

「今、青いミツバチが来ているんですよ」という一言が。

私がカメラをぶら下げていたので教えてくれたのかもしれませんが

どうやら「真夏の名物」みたいなものになっているようです。

もちろん、ルリモンハナバチ(ブルー・ビー)のことだというのは

すぐに察しがつきましたし、実際あちこちを飛んでいました。

 

 

 

 

 

 

その前に、ガーデン内を飛んでいた他の昆虫を紹介。

モンキアゲハ(左)とカラスアゲハ(右)です。

いずれも静止してくれることが少ないので撮りにくいのですが

ここのように「食事場」さえあれば割と撮影機会があります。

 

 

 

 

 

で、件の青いミツバチことルリモンハナバチですが

探すのに苦労しないレベルで多数観察できました。

何気に初めて、2匹同時に撮影することにも成功。

(奥の個体にピントが合っていないのはまあご愛敬)

 

 

 

 

 

クローズアップし、可能な限り鮮明に撮影。

やはりこの模様は目を惹きます。

美しさというだけならオオセイボウの方が上でしょうが

落ち着いた配色のこちらの方が好きという方も多いでしょう。

 

ちなみに店員さんが「青いミツバチ」と言っていましたが

実際このハチはミツバチ科に属しています。

ただし、ハチミツを採るのに使えるわけではないので念のため。

 

 

 

 

 

小山田緑地ではオミナエシでよく吸蜜するこのハチですが

ああいう小さな花がたくさん集まった植物しか好かないのかというと

全然そんなことはなく、形の違う別の花でも吸蜜していました。

ただ、静止して吸蜜すると重さで茎が曲がってしまうためか

スズメガのようにホバリングしながら食事していました。

(翅の動きでわかります)

 

炎天下の中、視察で小山田緑地に出かけた際には

まだオミナエシが満足に咲いていなかったこともあり

1匹も見られなかったのですが、意外なところで多数観察でき

嬉しい反面ちょっとモニョる気持ちもしないでもない……。

(講座開催予定の22日にはちゃんと見られることを祈ります)

 

 

 

 

 

ちなみにこの日は抹茶のムースをいただきました。

他にも、名前の通り石窯で焼いたパンなどが揃っているので

純粋に食事目的で立ち寄る方も多いようです。

(というより昆虫目的で来るのは私くらいなもんでしょう)

 

 

 

 

 

日が傾いてきましたが、まだ少し時間があったので

最後に鎌倉側の朝比奈切通を途中まで歩いてみました。

 

……ここさえ開通してくれればどんなに便利か。(;^_^A

(感染症対策に予算が掛かる中、そこを要求するのは酷でしょうが)

 

 

 

 

 

前回と同じく、こちらでハンミョウを撮影することができました。

数はそれなり。どうか瀬上のように激減しないでほしいものです。

 

 

 

以上、実質的に4つのスポットを1日で巡りましたが

ドリンクはペットボトル4本消費(つまり2リットル)

翌日筋肉痛に悩まされるなど、なかなか過酷なものでした。

その分収穫も多いので、無理のない範囲で

皆様も散策を楽しまれてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

【7/25 瀬上市民の森→横浜自然観察の森→

石窯ガーデンテラス→朝比奈切通で撮影した生きもの】

鳥類・・・ウグイス、ガビチョウ、キセキレイ、ツバメ

昆虫類・・・アオバハゴロモ、アブラゼミ、ウラギンシジミ、オオシオカラトンボ、オオホシカメムシ、オニヤンマ、オンブバッタ、カラスアゲハ、キンケハラナガツチバチ、クサカゲロウ(幼虫)、クルマバッタモドキ、クロアゲハ、クロウリハムシ、コオニヤンマ、コジャノメ、コミスジ、サザナミスズメ、ザトウムシ、シオカラトンボ、シオヤアブ、シマアメンボ、ジャコウアゲハ、ショウリョウバッタ、シリアカハネナガウンカ、スジクロシロチョウ、トウキョウヒメハンミョウ、トドノネオオワタムシ、ナガメ、ニイニイゼミ、ハグロトンボ、ハンミョウ、ヒグラシ、ヒシバッタ、ヒメアカネ、ヒメウラナミジャノメ、ベニシジミ、マメコガネ、ミンミンゼミ、ムラサキシジミ、モンキアゲハ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ルリモンハナバチ

その他・・・アオダイショウ、オイカワ、ニホントカゲ、ミミズ、ヤマカガシ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年8月22日(日)に開催いたします。

 (15日から日程を変更したいと思います。何卒ご了承ください)

 行先は「小山田緑地(東京都町田市)」でございます。※下記写真

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 

 

 

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。