法規制の思わぬ犠牲者(仙石原~強羅公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

前回の湿生花園に続く箱根編2日目です。

湿生花園は仙石原(せんごくばら)という景勝地に位置しますが

よく考えたらこれまでに仙石原のススキ草原を直接見たことは

生まれてこのかた一度もありませんでした。

 

本来であればススキが程よく枯れる秋が見頃なのでしょうが

本ブログはあくまで「生きものめぐり」ですので

昆虫の出現率が高そうなこの真夏に敢えて足を運びます。

(恐らく、秋は秋で何かしら昆虫が見られるのでしょうが)

 

非常に広いススキの草原ですが、入れるところは限られており

写真の通り一本道。奥へ進むと行き止まりです。

入口から突き当りまで行って戻ってくるだけなら

大して時間はかからないのでおススメです。

 

 

 

 

 

まあこれだけの自然地ならクマくらい出るでしょうね。

 

 

 

 

 

 

クサレダマ(左)とナワシロイチゴ(右)。

遊歩道沿いで多数観察できました。

このほか、湿生花園に植栽されていたチダケサシや

タマアジサイなどの割とよく見る植物も多く

少なくとも「ススキしかない大草原」ではありません。

 

 

 

 

 

中腹くらいまで登ってきたところ。

急峻な坂道ではないですが、日差しを遮るものがないので

夏の炎天下では結構身体に「くる」かもしれません。

 

 

 

 

 

山をバックに。

 

 

 

 

 

道中に数株見られたオミナエシ

野生のものは近年あまり姿を見かけませんが

さすがは仙石原、ちゃんと生き永らえているようです。

 

 

 

 

 

シシウドに多数群がる

普段あまり昆虫に関心がないと気づきにくい存在ですが

セリ科の植物をチェックしていると

面白いくらいにたくさん見つかります。

 

が、前日の湿生花園でも多数見かけていましたので

私も家族も「もうええわ」という感じでした(笑)。

 

 

 

 

 

歩いているオオセンチコガネを、同行していた姪が発見。

無印のセンチコガネと比較すると、

本種の方がより自然度の高い場所を好む傾向にあり

それ故私も見つけると毎度欠かさず撮影しています。

ちなみに写真の毛深くて汚い手は、姪ではなく私のものです(爆)

 

 

 

さて、前日に撮影したオオルリハムシを家族にも見せるべく

ススキの葉を何度もチェックしながら歩を進めたのですが

残念ながらこの日は1匹も確認できず……。

湿生花園であれだけ多数見られたので期待していたのですが

ちょっと運がなかったようです。

(前日の写真は私が単独行動中に撮ったもの)

 

が、ススキ草原を後にしてぶらりと移動後

とある場所で「まさか」の出会いが……↓

 

 

 

 

 

全長はせいぜい1センチ程度と思われる

小さなカミキリムシで、翅や体が白い毛のようなもので

縁取りされている不思議なフォルムをしています。

この後すぐに飛んで逃げていってしまったため

撮れた写真はこの1枚だけ。この時点では何者かわからず

後でWeb検索を駆使してどうにか正体を突き止めました。

 

これはアサカミキリといい、国の絶滅危惧Ⅱ類に属する

かなり生息域の限られた昆虫であることがわかりました。

それ故にブログにアップするべきかも迷いましたが

箱根町の一部情報誌や神奈川県版レッドデータブックには

既に仙石原周辺が生息地であることが明記されていたため

ここに報告させていただきます。

 

 

遭遇率・・・1 (オオルリハムシよりカテゴリは上)

インパクト・・・2 (カミキリムシにしては小型)

美しさ・・・3 (シンプルな配色ながらどこか幻想的)

俊敏性・・・3 (すぐに飛んで逃げられました)

知名度・・・1 (手持ちの図鑑と昆虫エクスプローラには未掲載)

 

 

方々の資料によれば、名前の通りアサ(麻)を食草とするらしく

実際麻が栽培されていた時にはむしろ害虫とされていたそうです。

しかし、ご存知の通り大麻が法律で取り締まられるようになってから

麻の栽培が全面的にほぼ禁止となり、以降このカミキリムシも

減少の一途……という数奇な運命を辿ってきたとか。

 

現在は代替としてアザミを食草とすることにより

細々と生き残っているそうです。ただ数はかなり少ない上に

いわゆる「採集圧」による減少も叫ばれていますので

仙石原エリアの具体的にどこで撮影したかについては

さすがにこのブログでも伏せさせていただきます。

 

一応、この場を借りて改めて書かせていただきますが

私はコレクションや転売目的での採集については

基本的に「否定」の立場を取っています。

ただ、闇雲に生きものの生息情報を隠すことにも否定的です。

それは、長い目で見れば「種の保存」とは逆ベクトルですからね。

 

 

 

 

 

電線に止まる大量のツバメ

巣立った直後の若鳥も含まれているかも?

 

 

 

 

 

前日に新顔登録したツマグロバッタ

車道に降りていました。といっても轢殺されることはなく

この後無事飛んでいきましたので、一応ご安心を。

 

 

 

 

 

車(←運転手は妹 私はペーパードライバー)で移動し

強羅公園にやってきました。ここも訪問は初めてです。

 

 

 

 

 

 

斜面に広がる縦長の公園で、階段や坂道が多いのが特徴。

一方でカフェやレストラン、熱帯温室なども併設されており

花の数・種類も多いなど、長時間滞在に適した公園です。

 

 

 

 

 

バラと宿根草類を混植したローズガーデン。

まだ結構な数のバラが残っており、なかなかの美しさです。

 

 

 

 

 

ミソハギの花に多数来ていたアオスジハナバチ

本場のブルービー(ルリモンハナバチには大分劣るものの

やはりこちらもお洒落な種といえます。

 

ただ、ルリモンryと違ってなかなか止まってくれないのが難点。

数は相当いたんですけどね……。

 

 

 

 

 

キンモンガにも遭遇。今年初撮影ですね。

 

 

 

 

 

 

上に書いた温室内で撮影。

ハイビスカス(左)やブーゲンビリア(右)など

南方系の植物が多数観賞できます。

 

 

 

 

 

パイナップルの生っている姿も。

……そういや一時期話題になった台湾産のパイン

美味かったのでまた食いたいですね。

 

 

 

 

 

最後に、強羅公園から見えた「だいもんじ」の跡です。

最近はだいもんじというとポケGOでしか見かけませんでしたが

こうしてくっきり文字が残されている様は実に印象深い……。

 

以上、強羅公園については特に真新しい発見等はありませんでしたが

散策するにはちょうどいい公園で、生きものの数もそれなり。

また、この日は江の島でもよくある「リアル宝探し」のイベントも

開催されており、姪も楽しそうに参加しておりました。

(密集することなく屋外で身体を動かせるとあって

コロナ禍においても貴重な遊びコンテンツとなっている模様)

純粋な自然地である仙石原ススキ草原とはまた違う

広い世代が長時間楽しめる場所ということで、こちらもおススメです。

 

 

 

 

【7/27 箱根湿生花園で撮影した生きもの】

鳥類・・・ツバメ

昆虫類・・・アオスジハナバチ、アカスジカメムシ、アサカミキリ、アシグロツユムシ、アブラゼミ、オオセンチコガネ、キンモンガ、コバネイナゴ、コミスジ、シオヤアブ、スジクロシロチョウ、セマダラコガネ、ツマグロバッタ、トラマルハナバチ、ニイニイゼミ、ハサミムシ、ベニシジミ、ミンミンゼミ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヤブキリ、ルリシジミ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年8月22日(日)に開催いたします。

 (15日から日程を変更したいと思います。何卒ご了承ください)

 行先は「小山田緑地(東京都町田市)」でございます。※下記写真

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 

 

 

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。