“型を覚える”ということ(銚子漁港) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

昨年の12月に銚子漁港に出かけた際には、

お目当てであった珍種のカモメには会えていません。

ただ、年末頃にようやく「飛来した」という情報が入り

居なくなってしまう前に確認しておくべく

再度早朝からバスで現地に向かいました。

 

2月に入ったらそう簡単に遠出はできず

休日にも雑誌用の取材・撮影に出なくてはならないため

今冬は実質的にこれが最後の銚子遠征になりそうです。

 

 

 

 

 

金銭的にも時間的にも

おいそれと足を運べるような場所ではないため

行ったからには今度こそ「確実」に

ターゲットの姿を写真に収めておきたいところ。

 

完ぺきとは言えませんが、見落としリスクを低減すべく

参考用にカモメの図鑑を持参しました。

(中身は濃密ですが、結構値が張る上に重いのが難点です)

 

とは言え、トップの写真のように波止場にズラリと並んだカモメを

一つひとつカメラでズームしながら図鑑と照らし合わせて

「これは●●カモメだ」などと同定していたら

とてもじゃないですが時間が足りません。

 

 

 

 

 

そこで、上記の図鑑でも推奨されていたのですが

銚子で多数見られる「メイン種」について

徹底的に特徴を頭に叩き込み、その記憶をベースとして

ちょっとでも違う特徴を有するカモメを撮影し

後で帰宅後に同定する……という手法を採りました。

 

ここでいうベースとなるのが、このセグロカモメです。

銚子漁港で例年最も多いカモメであり、

所感では大型カモメの9割方を占めているように思えます。

本種をカモメ撮影の「型」と定め、

その「型」に当てはまらない鳥だけをピックアップすれば

効率よく珍種カモメを探せるというわけです。

 

 

 

 

 

では、これは何か?

セグロカモメと比べると背中の色が明らかに濃く

オオセグロカモメであろうと推察できます。

 

ちなみに非常に情けない話ですが

これまでにオオセグロカモメとして本ブログで掲載してきた鳥の中に

結構な数のセグロカモメが混じっていたりします(恥)。

 

 

 

 

 

成鳥だけでなく、結構な数の若いカモメが混じっているのも

識別を妨げる大きなネックとなっています。

このため、セグロカモメについては成鳥だけでなく

若鳥のついても羽・嘴・脚・初列風切(尾羽に見える部分)など

各部位の特徴を頭に叩き込む必要があるのです。

しかし、若鳥になるほど差が目立たず識別が困難なので

一朝一夕では覚えられず、その都度図鑑とにらめっこする羽目に。

 

……正直、苦行ですが(汗)

これがある程度できるようになってくると

鳥探しも新境地が開ける……かもしんない。

 

 

 

 

 

 

カモメ以外は、こんな遠距離でも本当簡単に識別できるんですけどね。

アカエリカイツブリ(左)とクロガモ(右)です。

 

クロガモは、この日確認できたのは1羽だけ。

やっぱり昨年のアレがイレギュラーだったということか……。

 

 

 

 

 

同じ「黒」でも、クロサギは今冬遭遇率が高め(な気がする)。

基本的に彼らは波止場のような人工護岸域は好まず

険しい岩場にやってくる気がします。

ちなみに銚子では昨年会っていません。

 

 

 

 

 

食事処「一山いけす」近くの海岸。

手前の岩に複数のカモメがとまっています。

後でクローズアップしてみましたが

ここにいたのは全てセグロカモメでした。

 

珍種系のカモメは、ズバリ銚子漁港の波止場に多いようです。

事前情報でもその旨は確認しておりましたので

この日は犬吠埼や外山方面などに「寄り道」はせず

腹ごしらえを済ませたらすぐに漁港に戻ることにしました。

 

 

 

 

 

これは「一山いけす」の近くで見たキョウジョシギです。

春・秋の渡り鳥というイメージが強いのですが

昨年に引き続き、ほぼ同じ場所で観察できました。

(いたのは1羽だけでしたけれどね)

 

 

 

 

 

漁港に引き返したところ。

昨年12月に撮った例のエイの死体

まだ現地に残っていました(汗)

それも原型を残しつつ、より腐敗した状態で。

 

ちなみにエイは死んで発酵すると

尿素が加水分解されてアンモニア臭を発生させます。

実際、この死体もこの世のものとは思えない

とてつもない悪臭を放っておりました。

 

本ブログでは現地のありのままの姿を伝えるため

過去に鳥や魚の死体の写真を掲載したことがあります。

しかし、これはさすがに汚損が激しくて見るに堪えず

私自身に腐敗臭の記憶が蘇るためボカします。

 

 

 

 

 

 

口直しに花の画像をどうぞ(爆)

近くにあるハーブガーデン・ポケットに立ち寄りました。

仕事でもちょっとだけお付き合いのあるところですが

直接訪れたのはこれがまだ2回目です。

 

ハーブ園が魅力ですが、季節の花苗を販売しているほか

飲食店やドッグランなどもあり、長時間滞在できる施設です。

ハーブについては立地上、潮風に強いものが多い模様。

 

花苗については、プリムラが多数店頭に並んでいました。

サクラソウ科の園芸植物で種類が多く、冬の人気植物。

(クリスマスローズと比べると単価も安め)

特に「プリムラ・ジュリアン」という品種は

首都圏近郊の街中花壇や公園などでもよく見られるはずです。

(実際、戸田市でも病院前の植え込みなんかで見かけます)

 

 

 

 

 

ハーブガーデン内で飼われているウサギ。

なんか和む。

 

 

 

 

 

そうこうしている内に日が傾いてしまいました。

銚子漁港に戻り、再び波止場をチェックします。

 

この写真は鳥と距離があり、間にガードレールが入って邪魔ですが

実は手前に車道がある上にガードレール側に歩道がなかったため

反対側の歩道から車道と海越しに撮影するという

非常に面倒くさくじれったい手法を採らざるを得ませんでした。

 

まあ、でも堂々と車道に突っ立って撮影するわけにもいきませんし……。

 

 

 

 

 

 

何かの魚を丸のみにしている最中のアオサギ

時系列的には左→右の順番です。

 

 

 

 

 

ん? このカモメは一見セグロカモメのように見えますが

尾羽に見える初列風切が黒ではなく、グレーのようです。

この時、夕日は向かって左から差していました。

右側はカモメの身体のせいで陰になるはずですが

それにもかかわらず明らかに色が薄いです。

 

ただ、この個体はずっと座った(?)ままだったため

一応証拠写真だけ押さえて一旦その場を離れました。

その後、やや離れた場所で……。↓

 

 

 

 

 

今度こそ、明確に初列風切がグレーの個体を撮影。

間違いありません。これはワシカモメです。

今回の銚子遠征で、私が一番の目的としていたカモメです。

 

遭遇率・・・1 (銚子では基本毎年飛来するが数は少ない)

インパクト・・・4 (セグロカモメと同程度の大型カモメ)

美しさ・・・3

俊敏性・・・4  (他のカモメたちに準じる)

知名度・・・2 (それなりの鳥類図鑑なら載っているはず)

 

名前からして如何にも大きそうなカモメという印象ですが

確かにカモメの中では大型なものの、

上記の通りセグロカモメと大差なかったりします。

だから識別に困るのです(汗)。

それでも、このワシカモメは「グレーの初列風切」という

他のカモメにない明確な特徴がある分、まだ見分けやすい部類。

銚子にはもっと紛らわしいものが飛来するらしいので

引き続き、識別眼を養う必要がありそうです。

 

 

 

 

 

大きく口を開けたワシカモメ。舌が見えています。

美しさが1ランクダウン

 

 

 

 

 

ワシカモメ(左)と並ぶヒメウ(右)。

ヒメウは名前の通り、鵜の中ではやや小型ですが

それでもこうして並ぶと、大型カモメのワシカモメと

ほとんど大差のない体格となっています。

 

要するに、カワウやウミウは

大抵カモメより大きいということですね。

 

 

 

 

 

左にいるのはシロカモメの若鳥と思われます。

シロカモメは若鳥の間は本当に全身真っ白(くちばし除く)。

そして成鳥になっても全体的に白みを帯びており

これまたワシカモメと同じく、比較的見分けやすい部類に入ります。

 

 

 

 

 

最後に、これは恐らく無印(?)の「カモメ」です。

昨年撮影して新顔登録したアレ。

昨年これを初めて紹介した際に「くちばしに班がない」みたいに

お話したかもしれませんが、時期によっては写真のように

薄っすらと点のような班が浮かび上がることもあるらしいです。

 

……車の運転と同じで慣れた時が一番危ない(?)ので

例え「型」を頭に焼き付けたとしても

引き続き銚子にはカモメ図鑑を持参した方がよさそうです(汗)

 

 

 

【1/16 銚子漁港で撮影した生きもの】

アオサギ、アカエリカイツブリ、イソヒヨドリ、ウミウ、ウミネコ、オオセグロカモメ、オオバン、カモメ、カワウ、カンムリカイツブリ、キョウジョシギ、クロガモ、クロサギ、シロカモメ、スズガモ、セグロカモメ、ダイサギ、ツグミ、トビ、ハクセキレイ、ヒメウ、ムクドリ、ユリカモメ、ワシカモメ

 

★現在、生きもの探索ツアー開催に向けて準備中!

 次回の記事にて、詳細をお話いたします。m(_ _)m