久々に来たら嬉しい収穫が(国立科学博物館附属自然教育園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

別名の「目黒自然教育園」の方が

よく知られているかもしれません。

名前に反して目黒区ではなく港区に属していますが

一方で最寄りのJRの駅は「目黒」だったりします。

 

皇居、新宿御苑、明治神宮に並んで

23区有数の広く自然度の高い緑地です。

少し前までオオタカが営巣していたらしいですが

足を運んだ日にはすでに巣立っていたらしく

バーダーの姿は見当たりませんでした。

 

 

 

 

 

 

森の中は緑量が多く、しっとりした雰囲気。

ギボウシの仲間(右)など、日陰を好む植物が多く育ちます。

早春期であればカタクリを始めとした

スプリング・エフェメラルも観察できるようです。

 

 

 

 

 

ササキリの幼虫。成虫が観察できるのは

例年9月に入ってからになります。

(その頃になれば日陰環境ではよく見られます)

 

 

 

 

 

来園者のリュックにとまってしまうオオシオカラトンボ

動かない内にそっと撮影させていただきました。

 

ちなみにこのトンボは、割とよく静止してくれる種。

ショウジョウトンボやアキアカネなどよりも

翅を休める回数が多いように感じます。

太目で身体が重いからだろうか?

 

 

 

 

 

ニホンカナヘビもよく見かけます……が

それよりも尻尾の先端辺りにいる丸っこい昆虫に注目。

 

 

 

 

 

全体に緑色を帯びた、指先サイズ以下の小さな甲虫。

ジンガサハムシなどに近い種で、アオカメノコハムシと言います。

 

遭遇率・・・2 (希少種というわけではないらしい)

インパクト・・・1 (このサイズではやむなし)

美しさ・・・3 (曇った緑色でちょっときれい)

俊敏性・・・3 (飛んで逃げることはできるはず)

知名度・・・1 (手持ちの図鑑には不掲載)

 

 

 

 

 

引っくり返すとこんな感じです。

この手のハムシは一部のゾウムシ等と同じく

ビビるとよく死んだふりをします。

(人間にはほぼ意味ないですが、天敵には効果ありとか)

 

 

 

 

 

上記のアオカメノコハムシは完全な初見で

Web図鑑で必死こいて検索しようやく識別できましたが

こちらのカミキリムシは以前から図鑑で何度も見ており

その姿と名前は把握しておりました。

クビアカトラカミキリといい、もちろん新顔でございます。

 

遭遇率・・・1 (若干分布は局所的らしい)

インパクト・・・2 (ゴマダラryなんかに比べるとかなり小さい)

美しさ・・・3 (胸部の赤色と翅の模様がお洒落)

俊敏性・・・3 (カミキリムシなのでそれなりの速度で飛ぶ)

知名度・・・2 (図鑑にはよく載っている模様)

 

名前に反して赤いのは胸部なのですが

まあ、名付けられた当時の識別スキルのためか

はたまた「首赤」とした方が見た目のイメージに合うからか

あまり違和感は感じません。割とその辺、名付け方はいい加減です(笑)

(ヒヨドリではない「イソヒヨドリ」辺りの方が違和感バリバリ)

 

 

 

 

 

 

正面から撮影するとこんな感じです(右写真)

ちゃんとカミキリムシらしい顔をしています。

 

 

 

 

 

湿生植物園へ移動。ミソハギやコウホネが開花していました。

自然脅威貴園の中では一番開けた環境で、

トンボやチョウなどの多くはここで観察できます。

 

 

 

 

 

ミソハギの最盛期には、もうちょいかかるかも?

この花も虫媒花らしく、多くの昆虫が吸蜜に訪れます。

 

 

 

 

 

 

花粉まみれになりながらノカンゾウで吸蜜するモンキアゲハ(左)と

真夏を象徴する松岡修造暑苦しい色のショウジョウトンボ(右)です。

日当たりのよい場所を好むノカンゾウが湿生植物園にしか

ほぼ生えていないため、必然的にこういうチョウの仲間も

ここに集まってくる傾向にあります。

 

あまりカブトムシやクワガタを探すようなスポットではないので

(そもそも動植物の採集は固く禁止されています)

昆虫目当てで訪れた人は、必然的にこの湿生植物園周辺を

ウロウロすることになると思われます。

 

 

 

 

 

ヨツスジトラカミキリです。

イヌヌマトラノオの花に顔を突っ込んでいました。

花粉を食べているようです。幼虫は朽木を食べるので

辺り一面が「森」という自然教育園は

繁殖に適した環境なのだと思われます。

 

 

 

 

 

これが……ちょっと正体不明です。

ホシホウジャクなんかと同じスズメガの仲間で

実際彼等と同じくホバリングしていましたが

体色といい翅の色といい、何か違うようにも見えます。

 

もしわかる方いらっしゃいましたら、

そっと教えてくださいませ。<(_ _)>

 ▼

読者様からの指摘により、

オオモモブトスカシバであることが判明しました。

足の毛が豊富なので腿が太く見えることが由来の模様。

もちろん本ブログでは新顔です。鶴見様、ありがとうございました。

 

遭遇率・・・1 (あまり多くはないとのこと)

インパクト・・・3 (飛び方はホシホウジャクなどに準ずる)

美しさ・・・3 (もっさりした毛の模様がちょっと美しい)

俊敏性・・・5 (この手の蛾の特徴で、なかなか静止しない)

知名度・・・1 (手持ちの図鑑には載っていない)

 

 

 

 

 

久しぶりに撮影したアカガネサルハムシ

日本で最も美しい(といわれる)葉虫の仲間です。

ブドウの仲間の葉を食べる「普通種」らしいのですが

その割に私はあまり姿を見たことがありません……。

 

近くを通りかかった子連れに、捕まえて見せてあげました。

美しいですが一般認知はまだあまり浸透していないようで

「こんな虫がいたのか」と大分驚かれていました。

 

 

 

 

 

 

園内でもとりわけ多くのヤマユリが開花する、武蔵野植物園

こちらもそこそこ開けてはいますが、

水場があまりないためにトンボの数・種類は控えめです。

 

 

 

 

 

こちらもホバリングするスズメガ……らしいですが

何気に今まで止まった姿しか撮ったことがありません。

ホシヒメホウジャクといいます。新顔ではありません。

 

地味ですが、遭遇する機会はそんなに多くありませんので

しっかりと写真を撮っておきました。

(少なくとも新カメラになってからは初撮影です)

 

 

 

 

 

最後に、この日かなりの数見かけた陸貝の仲間です。

サイズはやはり指先サイズ以下。

キセルガイの仲間?と思ったのですが、具体的な種までは

ちょっとわかりません。体色が黒いのが特徴的でしたが

それだけでは識別にまでは至らず……謎のままです。

 

……とまあ、周りは都会、所在地はヒルズで有名な港区という

聞いただけでは自然地のイメージが湧かない教育園ですが

僅か3時間弱の滞在で新顔昆虫3匹を登録、

未識別の生きものも1種撮影するなど、侮れないスポットです。

 

引き続き、何度か足を運んで見た方がいいかもしれません。

 

 

 

 

 

【7/10 国立科学博物館附属自然教育園で撮影した生きもの】

昆虫類・・・アオカメノコハムシ、アオスジアゲハ、アカガネサルハムシ、アメンボ、アリグモ、オオカマキリ(幼虫)、オオシオカラトンボ、キタキチョウ、キンケハラナガツチバチ、クサカゲロウ(幼虫)、クビアカトラカミキリ、クマバチ、コシアキトンボ、コミスジ、ササキリ(幼虫)、シオヤアブ、ショウジョウトンボ、スジクロシロチョウ、ツチイナゴ(幼虫)、トウキョウヒメハンミョウ、トホシテントウ、ハエトリグモの一種、ホシヒメホウジャク、ムラサキシジミ、モンキアゲハ、ヨツスジトラカミキリ

その他・・・ニホンカナヘビ、ミスジマイマイ、ミミズ

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年8月15日(日)に開催いたします。

 (14日はお休みの予定です。ご了承ください)

 行先は「小山田緑地(東京都町田市)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。