やっぱり一番ポピュラーなウミウシなのだと実感(天神島) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

先日、ようやく念願のアオウミウシを撮影できた天神島

雑誌の仕事がどうにか無事校了し(例年5月末は地獄)

久々に実家に戻ったので、改めて足を運んでまいりました。

既にスカシユリが咲いています(右写真)。

一昨日に神奈川県の某臨海域でハマユウが咲いているのを見ましたので

こちらでもそろそろ開花期を迎えるのではないかと期待しております。

 

 

 

 

 

引き潮で、磯の中でも広範囲を散策できたおかげで

早速色々と磯らしい生きものが観察できました。

これはマダラウミウシ。アオウミウシより遥かに前に新顔登録し

以降も何度となくエンカウントしてきた大型のウミウシです。

 

 

 

 

 

……何かのウミウシの卵のようです。

ちょっと種類はわかりませんが。

 

サイズはそれほど大きくはありませんでした。

直径が、イソスジエビと同じくらい……かな?

 

 

 

 

 

バフンウニを手前に据えて。

 

まだちょっと小さい個体です。

色んな意味で食べるには適しません。

 

 

 

 

 

 

これも、色んな意味で食べるには適しません。

ガンガゼの目玉のように見えるものは、言うなれば肛門。

両方の写真をよく見ると、やはりバックベアード様の目玉よろしく

活発に動いており、少々不気味です。

ただ、肛門まわりの青白い斑点などはなかなかオシャレ。

 

しつこいようですが有毒なので、絶対に触ってはいけません。

遠くからそぉ~っと観察しましょう。

 

 

 

 

 

アカクラゲが多数浮遊している気がしました。

そう簡単に致命傷になるようなことはないものの

うっかり触れてしまうリスクもありますので、注意は必要。

ミズクラゲもいくつか見かけましたが、

この日は恐らくこちらの方が多かったんじゃないかと思われます。

 

 

 

 

 

 

脚が1本欠損しているイソクズガニ(左)と

ねっちょり粘液で貼り付いてくるヤツデヒトデ(右)。

ヒトデの方は餌と思われる貝が多数付着しています。

 

ところでイトマキヒトデはいないんでしょうか?

ここで見かけるヒトデというと本種ばかりなので……。

(しかもやたらと多数見かける)

 

 

 

 

 

肛門から水鉄砲。

かわいそうなのですぐ戻してあげましょう。

しかしまあデカいナマコだなオイ。

 

 

 

 

 

一応新顔になります。大分弱っていたのか、

先日撮影したアカクモヒトデと比べるとほとんど動きませんでしたが

クモヒトデの一種のようです。(ちょっと具体的なとこまでは不明)

 

遭遇率・・・2 (そう簡単には見かけないはず)

インパクト・・・4 (このフォルムは一度見たら忘れまい)

美しさ・・・2 (どう見てもクリーチャー)

俊敏性・・・3 (この個体はあまり動かなかったが、本来は活発な模様)

知名度・・・3 (珍妙な形状などからそこそこ知られてはいる)

 

普段は岩陰や石の下などに入り込んでいるのか、

上記のヤツデヒトデなんかに比べるとあまり出合えない模様。

先日のアカクモヒトデの異様な俊敏性を考慮すると

元気な個体を捕まえるのは少々難しいかもしれません。

 

 

 

 

 

さて、改めて撮影に臨んだアオウミウシですが

この日は昼食後にあっさりと姿を確認できました。

場所はやはり前回と同じく、岩礁のかなり奥の方で

満潮時刻に観察するのはほぼ不可能だったはず。

 

ウミウシを狙うなら、素直に干潮時刻を

それも潮が大きく引く日を狙った方がいいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

手に乗せて水に浸した状態で撮影を試みます。

5/1に撮影して新顔登録した個体(右写真)と比べると

今回撮れたアオウミウシ(左写真)は明らかにサイズが大きく、

成熟した個体であることがよくわかります。

 

ちなみに手に乗せて撮影する際、厄介なのが「波」がある時。

撮影している傍から波が来るとブレてクリーンに撮れないので

波の影響を受けにくい岩陰に移動するなど、

ウミウシに負担をかけないように実は結構苦労させられています。

 

 

 

 

 

上のものとは別の個体です。

引っくり返すとこんな感じになります。

表は派手な配色ですが、裏はほぼ水色一色です。

 

 

 

 

 

貝の仲間であるウミウシは、動き方もカタツムリ等と同じ。

トゲトゲしたサンゴの上などもスムーズに移動できるのですが

「ウミウシの絵を描け」と言われると

写真の足の部分は結構忘れられがちです。

(実際、ウミウシをモチーフにしたキャラでも足の部分がないことがある。キモいからかも?)

 

ちなみに知っている方も多いとは思いますが

尻尾のように見える部分は、ウミウシの「エラ」です。

ついでに目のように見えるのはただの触角であり

どうもアオウミウシには目がないか、

あってもほぼ機能していないそうです……。

(じゃあどうやって餌のカイメンを探しているのか?)

 

 

 

 

 

これまた別の個体。背中の模様が大分異なります。

この日は午後だけで5体アオウミウシを撮影できましたが

私のザルな捜索方法でこれだけ撮れたということは

よりじっくり探せばもっと見つかったのではないかと思われます。

 

本ブログではサラサウミウシに始まり、

マダラウミウシ、クモガタウミウシ、コノハミドリガイなど

なかなかメイン種であるはずのアオウミウシが撮れませんでしたが

然るべき場所さえ探せば、やはりアオウミウシが一番会いやすい模様。

最も有名な「メジャー種」であることがよくわかりました。

 

 

 

 

 

食事中のイソヨコバサミ

ハサミで削り取って口に運ぶ……という

カニとほぼ同じ食事方法を採っています。

 

にしても何喰ってるんだろうか? 海藻?

 

 

 

 

 

途中から雲が多くなったりと、快晴とはいきませんでしたが

最後まで雨が降らなかったのは幸運と言えるでしょう。

帰りがけ、ウミネコの集団が上空を横切っていきました。

 

 

 

 

【6/12 天神島で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、ウミネコ、トビ、ハクセキレイ

昆虫類・・・シオヤアブ

その他・・・アオウミウシ、アカクラゲ、アゴハゼ、イソクズガニ、イソスジエビ、イソヨコバサミ、イボイワオウギガニ、イワガニ、ガンガゼ、キヌバリ、クモヒトデの一種、タコノマクラ、ナベカ、ニシキベラ、バフンウニ、ヒライソガニ、フナムシ、ホンヤドカリ、マダラウミウシ、マナマコ、ミズクラゲ、ムラサキウニ、ムラサキカイメン、ヤツデヒトデ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年7月17日(土)18日(日)に開催いたします。

 (19日はお休みとさせていただきます。ご了承ください)

 行先は「天神島(神奈川県横須賀市)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらをご覧ください。

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。