何気に今まで一度も撮れていなかった有名なヤツ(観音崎公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

これはまだ7月中、

四六時中雨雲に覆われていて今と違い日照が待ち遠しかった時期のこと。

横須賀駅前では集中豪雨で傘があっても濡れるのは不可避でしたが(右写真)

これまた最近の雨の特徴と言いますか局所的で、

バスに乗って観音崎に到着すると嘘のような晴天でした。(左写真)

 

最近は週間天気予報がてんで当たらならないのはもちろん

「横浜で雨」などという予報もほとんど当てにならないので

出かける際には雨雲レーダーなどを見て随時雨雲の移動先をチェックし

雲がぶつからないスポットをピンポイントで狙うのがいいでしょう。

この日はなぜか三浦半島の南東側だけ雨雲がかからず

横須賀駅は土砂降り、観音崎はずっと晴れという珍現象が生じていました。

 

 

 

 

 

観音崎公園の磯は波によって岩が激しく削り取られており、

凹凸の激しいスポット。それだけに生きものの隠れ場所も豊富で

1日たっぷり時間をかけて磯遊びを楽しめるスポットです。

ただ、入口周辺は人が多いので感染症が気になる方は要注意。

 

 

 

 

 

 

こういう磯場でカニを捕まえる際に使える、ちょっとしたテク。

左写真のように甲を上から軽くプッシュして岩に圧しつけてやると

カニはなかなか身動きが取れなくなります(以前にも書いたかもしれませんが)。

ただ、当たり前の話ですが力み過ぎて潰さないように!

そして、岩の隙間に隠れて出てこないカニを無理やり穿り出すのも

カニの身体を傷つけてしまう可能性があるため、避けた方がいいでしょう。

(カニの正体はヒライソガニと思われます)

 

 

 

 

 

上記の「上からプッシュして取り押さえる」手法は

こういうふうにオープンな場所を歩いている個体に向いています。

ただ、当然「反撃」される恐れもありますので

あまりデカいカニを素手で捕獲しに行くのは……(逃)。

 

 

 

 

 

 

どこの海でも見かけるダイダイイソカイメンですが

何故か観音崎の個体は異様に「立って」いる印象がありました。

まるで柔突起のよう

 

ちなみによくスポンジのようだと比喩されるカイメン(海綿)ですが

実際、スポンジよろしく水を吸っており、

押すと本当に水が染みだしてきます。(右写真)

まさに海の綿(わた)。 ついでに見た目も腸(わた)

 

 

 

 

 

大きな貝殻に身を委ねるナベカ。

美しいヒレを優雅になびかせて貝殻に座る姿は

まるでお伽の国の人魚姫さんのようですね(*^ ^*)

 

 

……あーダメだ俺こういうキャラじゃねえ

背中痒くなる(ポリポリポリポリポリ)

 

 

 

 

 

この魚、以前にも何度か目にした機会はあったのですが

撮影できたのは今回が初めてでした。

キヌバリというそうです。磯では至って普通に見られるとか。

 

遭遇率・・・3 (江の島なんかでも見たことがあるような気が)

インパクト・・・4 (アゴハゼなどよりサイズが大きく、目立つ模様)

美しさ・・・3

俊敏性・・・4

知名度・・・2 (見かける頻度の割に名前は知られていません)

 

アゴハゼなどと同じく、ハゼの仲間。

目立つ模様のためか観賞用に飼育する人もいるみたいです。

 

 

 

 

と、普段通り海岸線を歩きながら目ぼしい岩場をチェックしていると

すぐ近くの小学生が一言。

「パパ―、ヒトデがいたよー」

 

 

 

 

 

不審者扱いされないよう、パパよりやや遅れて偶然通りかかった風を装い

ヒトデとやらを覗き込んでみると、正体はこれでした。

(見つけた小学生に頼み込んで撮らせてもらいました(恥))

よく水族館などでも見かけるイトマキヒトデですね。

ヒトデの中ではトップクラスの知名度を誇る種で

意外や意外、本ブログではこれが初めての撮影だったりします。

 

遭遇率・・・2 (ヒトデの中では最も普通に見かけるらしいのですが……)

インパクト・・・4 (きれいな星形で印象に残りやすい)

美しさ・・・3

俊敏性・・・1 (ちょっとずつは動きます。一応)

知名度・・・4 (ヒトデの中では恐らく人気も知名度もトップ級)

 

江の島水族館などではタッチプールと称して

海の生きものに直接触れることができるコーナーがありますが

そちらではウニやナマコと並んで人気者です。

(ただ、今はそうしたコーナーは感染症予防の観点から休止中の模様)

 

 

 

 

 

 

小学生に先を越された個体で新顔登録するのは情けないので(爆)

その後近くの岩場を念入りに探しました。結果、ちょっと小型ですが

先程とは別の個体を自力で(←ココ重要)見つけることができました。

模様が違うことから、最初のとは別個体であることがわかるはず。

 

裏返すと右写真みたいな感じ。ヒトデ的にはこっちの方が(多分)顔。

ある意味、生きものと向かい合うという観点では右写真が正解ですが

図鑑にヒトデのビジュアルを載せるなら当然左の写真が選ばれます。

 

ちなみに上でちょっとずつ動くと書きましたが、

実際顔(?)を下にして手に乗せると、掌の上で移動を始めます。

うぞぞもぞぞとこそばゆく気持ち悪く記憶に残るので、一度お試しあれ。

 

 

 

 

 

?????

……すみません、これの正体がどうしてもわかりません。

何かの生きものだとは思うのですが……。

 

 

 

 

 

 

これはケヤリムシですね。右写真は潮が満ちてきて

触手の部分が海水に触れるようになったことで

活動(というか食事)を再開した状態かと思われます。

 

引っ込んでいる姿は何度か見かけましたが

こんなふうに筆みたいな姿になっているのは初めて撮影しました。

 

 

 

 

 

南国風な気候に触発されて身も心も開放的になると

人は性に奔放になるという話を聞いたことがあります(呪)。

もしかしたら、人に限らないのかもしれません(爆)。

 

ちなみに写真の昆虫はアカスジカメムシです。

知名度はあまり高くはなさそう。2と3の間くらいか?

 

 

 

 

 

 

ある意味、この日最大級のインパクトを残してくれたもの。

こんなオオバコ見たことない。海岸線で潮風による被害を防ぐため

オオバコもこんなふうに大きく葉も硬くなるのか……と思いましたが

実は我々がよく知るオオバコとは別の種類だったりします。

 

トウオオバコといい。漢字で書くと「唐大葉子」

この字面だけ見ると例によって中国から渡ってきた外来種のように

感じるかもしれませんが、実はれっきとした日本在来種。

海岸線に普通に分布するらしく。珍しいものではないそうです。

 

パッと見では何となくギボウシ辺りを彷彿とさせる……かも?

 

 

 

 

 

この日3種類目の新顔。やたらと毛深いヤドカリです。

そのまんまケブカホンヤドカリといいます。

観音崎ではよく見かけるヤドカリなのか

現地の案内板でも写真付きで紹介されていました。

 

遭遇率・・・1 (上記の通り観音崎ではよく見るそうですが)

インパクト・・・3

美しさ・・・3

俊敏性・・・2 (他のヤドカリに準じます)

知名度・・・1 (図鑑なしでわかる人はかなりのマニア)

 

毛むくじゃらな脚と赤い触角が識別のポイントらしいですが

もしかしたら現地で案内板に掲示されていなかったら

今も何者かわからないままだったかもしれません。

ちなみに私の手元には昆虫と野鳥の図鑑はあるのですが

海の生きものについては専門の図鑑を持っていません。

そろそろ買おうか? ハンディタイプのものでいいから。

 

 

 

 

 

別角度から見た、夕暮れ時の観音崎公園。

彼方に見える肉厚な雲がインパクト抜群です。

多分あの下は、トップに挙げた写真よろしく土砂降りだったかと。

ちなみに私が帰った後、観音崎にも夜に雨雲がかかったそうです。

 

 

 

 

 

バスで横須賀駅に戻ると、先程までの大降りが嘘のように

上空は青空が広がっていました。ちなみに写真はヴェルニー公園

初夏と秋にはバラが咲くため、愛好家の方が撮影に訪れることも。

 

 

 

 

 

対岸には潜水艦も停泊中。海軍の街らしいですね。

……そういえばよこすか海軍カレーってまだ一度も食ったことねーな。

 

 

 

 

【7/26 観音崎公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・ウミネコ、ツバメ、トビ、ハクセキレイ

昆虫類・・・アカスジカメムシ、キアゲハ(幼虫)、キアシナガバチ、ニイニイゼミ

その他・・・アカクラゲ、アゴハゼ、イソガニ、イトマキヒトデ、イワガニ、ウメボシイソギンチャク、オオヘビガイ、キヌバリ、クロイソカイメン、ケブカホンヤドカリ、ケヤリムシ、ショウジンガニ、ダイダイイソカイメン、タテジマイソギンチャク、ナベカ、ヒライソガニ、ホンヤドカリ、ミズクラゲ、ムラサキウニ、ムラサキカイメン、ヨロイイソギンチャク

 

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