こんにちは。
魂響書占 たまゆらしょせん 恵理子です。
両親の老いについて
また私が面した老いについて綴っています。
糖尿病(Ⅰ型)と認知症があり 敗血症を発症し
6月から入院生活を送っている母。
敗血症は自力で完治したものの その後
うっ血性心不全 左腎結石 膀胱結石
巨大肝のう胞(大きさ約20センチ)
と4つの病気が判明し
途中2度 生命の危機を宣告されながらも復活。
ここ2週間ほどは血糖値の数値が高く
また入院当初のように尿路感染を起こし
意識が朦朧とすることが多くなり
ろれつが回らず 何か言っているのだけど
聞き取れないことが増えた。
それでも声をかければ目を開けて
私のことはちゃんとわかっている。
私の娘が再来年着る成人式の振袖を決めて
その時の写真を見せたら
「いい柄だねぇ」
と言って受け答えも出来ている。
ただ 目の動きは以前とは明らかに違って
1点を凝視しているように見える時がある。
黒目があんまり動かなくなった。
そんな状態なのだけど
私の顔を見ると入院する前と同じように
おもてなしをしているつもりになるみたい。
「みんな来てるからね」
「味噌汁 運んで」
「おかずは?」
と孫たちを迎えていた頃のように
お勝手のことや食べるもののことを気にかけている。
ベッドから動けないんだけどね
意識ではあれこれみんなの世話を焼いているんだろうね
「忙しい~」って言っていた。
主治医の先生のお話では
肺に溜まっていた水は減ったものの
今度は心臓に水が溜まってきたとのこと。
見た目も身体の内部状態も
ここに来てかなり落ちた母ですが
母自身はとても穏やかで
私たち家族も落ち着いています。
たぶん これまでの半年の経過がなくて
母が今の状態に一気に落ちていたら
父をはじめ きっと家族みんな動揺していたと思う。
でもね 「確実に死に向かう」と2度言われ
そこから這い上がった母の生命力を信じているので
というか 母に信じさせられたので
私は今 覚悟と希望
両方の気持ちがあるような不思議な感じでね。
娘としては
「出来るだけ生きて欲しい」と思うものかもしれないけれど
その気持ちもありながら 正直
「このまま穏やかに逝って欲しい」という想いもある。
すっかり細くなってしまった母の顔や手足をホットタオルで温めていて
随分前に 母のこのような衰えを見る時は
きっと私も気落ちするだろうと想像したことがあったけれど
「ああ ずいぶんやせちゃったねぇ」
と なんだか割と淡々としている自分に驚いたりもして。
水が溜まっている心臓と肺の辺りもタオルを当てながら
母になんの苦痛もなく今の状態にいさせてくれて
「よく動いてくれてありがとうね」
なんて気持ちが自然と湧いてきた。
主治医の先生のお話からしても
母の病気の状態で まず復活したのが奇跡的なことだし
こんなに穏やかにいられるのももう有難いことでしかなく。
そういう意味で
「とても良い状態」なのね 母は。
あとね 母を観察していて
なんだかふと懐かしい気持ちがしたのよね。
母の覚醒が落ちて
黒目があまり動かない時のその様子は
そっか 乳児の目みたいなんだな と思った。
まだこの世の何の知識もなくて
ただ純粋なまま 生きているってだけの乳児の目。
うちの子たちも まだ首が座らない頃
こうやって じーっと黒目を動かさずに
どこかを見てることがあったっけ
って思い出した。
母は認知症もあって 色々なことを忘れているし
意識がハッキリしている時にあった世間的な色々も
すっかり抜け落ちたかのような時間が多くなり
今は本当に赤ちゃんのようにとても無垢だなぁと感じる。
人は老いると子供に還っていく
と言うけれど
赤ちゃんに還っていくんだね。
老いていく哀しさよりも
母の純粋無垢な様をすごいなぁと感じて
それもまた ちょっと不思議な気持ちです。