Twin Peaks : The Return PART 17

監督/脚本/制作総指揮:デヴィッド・リンチ

脚本/制作総指揮:マーク・フロスト

カイル・マクラクラン

2017年9月3日放送(米国)

 

①第17章 ストーリー覚え書き(ネタバレ)

 

バックホーン。ダイアンを撃てなかったと言うゴードンに、アルバートは「老いてヤワになったのでは?」と言う。

ゴードンはアルバートとタミーに、「25年間隠していたことがある」と話す。

姿を消す前に、ブリッグス少佐はゴードンとクーパーにある存在を発見したと告げていた。

それは極めてネガティブな力で、遠い昔の呼び名は「ジャオデイ」だった。

だが時を経て、その名は「ジュディ」になった。

ゴードンとクーパー、ブリッグスはジュディにたどり着くための計画を練ったが、その後少佐が、続いてクーパーが行方不明になった。

フィリップ・ジェフリーズはもうこの世に存在しない。少なくとも通常の意味では。

ジェフリーズは「その存在に気づいた」と言って、姿を消した。

そしてクーパーの最後の言葉は、「もし他のみんなと同様に僕が消えたら、あらゆる手を尽くして見つけ出してほしい。僕は1石で2羽の鳥をねらう」というものだった。

最近になって、レイ・モンローという情報屋から暗号メッセージが届いた。クーパーは座標を探している。座標を知っているのがブリッグス少佐だ。

我々のデイル・クーパーから連絡がないので、計画が順調に進んでいるのか、見当もつかない。

 

ラスベガスのヘッドリーから電話が入る。

ダグラス・ジョーンズを見つけたが今はどこにいるかわからない、という報告にアルバートは「こいつはアホのコメディアンで、今のはネタですかね」と毒づく。

ブッシュネルが電話をかわり、クーパーからの伝言を伝える。

「僕はこれからトルーマン保安官のところへ向かう。ラスベガスの時間は2時53分で、合計すると10だ。完成を意味する数字だ」

ゴードンは「これもまた青いバラ事件の一つということだな!」と言う。

 

ツイン・ピークス保安官事務所の留置所。

眠っていたナイドが目覚めて、鳥の声を出し始める。

 

ベン・ホーンにワイオミングの警察から電話があり、ジェリー・ホーンを保護したと伝える。

ジェリーは「自分の双眼鏡が人を殺した」と言っていて、発見された時は全裸だった。

 

森の中、ダギー・ジョーンズが水たまりとシカモアの木に近づく。

電気音が鳴り、空中に渦巻きが現れ、ダギーは消える。

 

消防士”のモノクロの劇場。天井のパイプだけが金色。

右にブリッグス少佐の巨大な顔が浮かび、左に吊るされた檻の中にダギーの顔がある。

画面には森の中の水たまり、そしてセーラ・パーマーの家。

消防士が手を動かすと、画面には道が映る。

檻が小さくなり、天井のパイプに吸い込まれ、画面の中へ。

画面に映った道に、ダギーが現れる。

 

 

ダギーはツイン・ピークス保安官事務所の前に立っている。

アンディがダギーを見つけ、クーパーと思って保安官事務所の中へ案内する。

留置所では、ナイドが怯えた声を上げている。

 

ダギーはルーシーと会い、フランクと会って署長室へ向かう。アンディはダギーにコーヒーをすすめるが、ダギーは断る。

アンディは、消防士の部屋で見た、ルーシーの肩に手を置いているビジョンを見る。

 

チャドが靴のかかとに仕込んでいた合鍵で脱獄する。

頰に傷のある男は絆創膏を剥がして、傷をかきむしる。

駆けつけたアンディにチャドが銃を向けるが、檻の中からフレディーが手袋パンチでぶっ飛ばしてチャドをノックアウトする。

 

ルーシーに電話がかかり、ルーシーはダギーと面会中のフランクに電話をつなぐ。

電話をかけてきたのはクーパーだ。ハリーに呼びかけるクーパーに、フランクはハリーの兄だと名乗る。

「今ツイン・ピークスに入ったところだ。コーヒーはあるかね?

ダギーが銃を出して撃ち、フランクも応戦しようとする、一足早く背後からルーシーが撃っている。ダギーは倒れる。

フランクはクーパーに「一人は死んだようだ」と伝え、クーパーは「決して死体に触るな」と告げる。

 

フレディーとジェームズ、ナイドを連れて、アンディが署長室にやってくる。

ルーシーはアンディに「携帯電話がどんなものかわかった」と言う。

ホークがやってきて、倒れているのがクーパーだと言うが、フランクは「いいや、そいつじゃない」と言う。

3人の森の男が現れて、倒れているダギーの体を撫で回し始める。

 

クーパーが到着すると、ダギーの腹から黒い大きな玉が現れて浮上する。

玉の中にはボブの顔があり、クーパーに噛み付いてくる。

 

フレディーが、ボブの玉の前に立ちはだかる。

クーパーは「君がフレディーか?」と尋ね、フレディーは「そうだ。で、これは僕の運命だ」と答える。

 

ボブの玉はフレディーに襲いかかり、フレディーは手袋パンチで殴って反撃

床に落ちた玉を殴ると床に穴があき、そこから炎が吹き出る。

 

 

穴から浮き上がるボブの玉。

クーパーは倒れるフレディーに「立て!」と呼びかける。

死体袋でとらえてやるぞ」とボブ。

フレディーが最後の一撃を加えて、ボブの玉は粉々に砕け散る

「僕やった?」と尋ねるフレディーに、クーパーは「ああ、見事にな!」と答える。

 

クーパーは倒れているダギーの左手薬指に指輪をはめる。

ダギーの死体は消え、ブラックロッジの床に指輪が落ちる

 

クーパーはフランクから、グレートノーザンホテル315号室の鍵を受け取る。

クーパーはナイドを見て、そして何かに気づく。

そこから、画面にクーパーの顔がオーバーラップし、しばらくその状態が続く。

 

ボビーがやってきて、クーパーは「君の父上にはこうなることがわかっていた」と告げる。「君の父上が何年も前に集めた情報が父上とゴードン・コールを引き合わせた。今時間通り到着だ」

ゴードンたちがやってくる。

クーパー「結果、我々はこうして導かれ、そしてこの先変わりゆくものもいくつかある。過去が未来を決める

キャンディたちが、バスケットに入ったサンドイッチを持ってくる。

 

 

ナイドが進み出てクーパーと手をあわせると、ナイドの顔が消え、ブラックロッジで浮かぶ岩になり、そしてナイドはダイアンの姿に変わる

ダイアンはクーパーと抱き合い、キスをする。

時計は2時53分を指している。

 

オーバーラップしたクーパーの顔が、「僕らは夢の中に生きている」と言う。

 

クーパーは「また会えることを願ってるよ、みんなと」と告げる。

暗くなり、クーパーとゴードンは名前を呼びあう。

オーバーラップしたクーパーの顔が、暗がりを歩くクーパー、ゴードン、ダイアンの姿を見る。

 

グレートノーザンホテルのボイラー室謎の音が鳴っている。

奥にあるドアを、クーパーは315号室の鍵で開ける。

「僕を追ってこのドアを通らないでくれ」とクーパーはゴードンとダイアンに告げる。

ゴードンはクーパーに「ずっと君を想ってるぞ」と言い、クーパーは「カーテンコールでまた会おう」と言い残してドアの向こうへ消える。

 

暗闇の中をクーパーが進む。先には、フィリップ・ジェラードが待っている。

未来における過去の闇を通して、魔術師は見たいと乞い願う。

 1つの声が放たれるのは、2つの世界の狭間。火よ、我と共に歩め

ジェラードに導かれ、クーパーは森がオーバーラップする暗闇の部屋を進み、その先の階段を上がる。

そこはかつてダギーが訪れたコンビニエンス・ストアの上だ。

階段をジャンピング・マンが降りてくる。

 

中庭を抜け、フィリップ・ジェフリーズの蒸気を吹く装置がある部屋へ。

ジェフリーズ「頼む、明確に言ってくれ」

クーパー「1989年2月23日だ」

ジェフリーズ「君のために見つけよう。ここは滑りやすい。また会えて嬉しいよ、クーパー。ゴードンに会ったらよろしく言ってくれ。正式じゃない方を見つけてくれるだろう。ここで君はジュディを見つけるはずだ。おそらく誰かがいる。君はこれを頼んだか?」

装置が吹き出す蒸気の中に、エクスペリメントのマークが現れ、8の字に変わる。

ジェフリーズ「よしいいぞ。君はもう行ける。クーパー忘れるな」

ジェラード「電気だ。それは電気

 

1989年2月23日。夜、ローラが家を飛び出し、ジェームズのバイクに飛び乗る。

それを見つめているリーランド。

ローラとジェームズは森の中へ。クーパーはその森の中に現れる。

ローラはジェームズに愛してると告げキスをするが、「彼があなたを殺す」と言いだす。森の向こうにクーパーを見つけたローラは悲鳴をあげる。

ボビーが人を殺したと言うローラ。見たいの?とジェームズに問いかけるが、すぐに「あなたは私を知らない」と突き放す。「あなたのローラはもういないの。いるのはこの私だけ」

 

 

ローラはバイクから飛び降り、ジェームズに愛していると告げた後、森の中へ駆け込む。

森の中では、レオとロネット、ジャック・ルノーが待っている。

森を歩くローラの前に、クーパーが姿を表す。知り合いだっけ?と言うローラだが、「夢であなたと会ってる」と気づく。

クーパーは「うちへ帰ろう」とローラの手を取る。

 

朝の湖畔。打ち上げられたローラの死体が消える

鏡に向かうジョシー。ピートはキャサリンに釣りに行くと告げる。

あの湖畔を素通りし、釣りをするピート。

 

夜のパーマー家で、セーラが叫びをあげ、ローラの写真を叩き続ける。

 

ローラの手を引いていくクーパーだが、電気音がして、振り返るとローラが消えている。

炎の音がして、ローラの悲鳴が森に響き渡る。

 

ブラックロッジ。ジュリー・クルーズが「The World Spins」を歌う。

 

②第17章 レビュー

 

いやあ…すごい。

あまりに濃すぎて、覚え書きが終わらない。

 

ダギーの件がどう解決するのか、最終回でクーパーと対決か…と思っていたら、思わぬフレディー大活躍

25年の引っ張りをまさかポッと出キャラのパワー手袋で解決するとは!

ボブをやっつけるのが、まさかこんなにもストレートな「パンチ」だとは!

 

しかし、このシーンの完全な超自然描写はシリーズでは結構異例です。

旧シリーズでは、超自然的な描写はあくまでも個人の主観的な体験に限られ、夢や幻覚、内面世界の描写とも解釈できるものにとどまっていました。

今シリーズでは、その辺の抑制が取っ払われていて、XファイルとかSFファンタジーの領域に入ってしまっているようにも思えます。

…というのは逆に、今回のシリーズが「現実ではない」ことの現れなのかも。

やはり、すべては誰かの見ている夢の中なのかもしれないとも思わせます。

 

ツイン・ピークス保安官事務所に、いよいよ全員が集合しました。

クーパー、フランク、ホーク、アンディ、ルーシー、ジェームズ、フレディー、ナイド、ボビー、ゴードン、アルバート、タミー、ダイアン、ミッチャム兄弟、キャンディたち3人娘。

壮観ですね〜。

大団円、という雰囲気ですが、でもこれでは終わらない。

 

後半は映画「ローラ・パーマー最期の7日間」や旧シリーズ序章の映像をうまくつなぎ合わせて、驚きの時間遡行展開です。

若いローラの映像も出てきますが、現在のシェリル・リー+CGのような特殊効果でしょうか。

 

 

今回のエピソードはピート・マーテルを演じたジャック・ナンスに捧げられています。リンチのデビュー長編「イレイザーヘッド」に主演した、リンチ作品の常連俳優です。

彼は丸太おばさんを演じたキャサリン・コールソンの元夫でもありました。イレイザーヘッド以前の1976年に離婚していますが。

ナンスは1996年、「ロスト・ハイウェイ」の撮影完了後に、ドーナツ屋での喧嘩が元による脳内出血によって死去しています。いかにもリンチらしい死に様として話題になりました。

 

最後は懐かしのジュリー・クルーズの歌。これで最終回でも良いような幕切れでしたが、あと1回。カーテンコールが待っています。

 

③第17章 謎の考察…は次で!

 

記事が長くなりすぎたので、2回に分けます。

謎の考察は、次回で!

→後編はこちら

 

「The World Spins」収録のジュリー・クルーズのアルバム。ツイン・ピークスの楽曲が満載!

 

これも「The World Spins」収録

 

終盤のローラとジェームズのシーンのオリジナルはこの映画から

 

ジョシーやピートのシーンのオリジナルは旧シリーズ序章から

 

ツイン・ピークス The Return 第1章 ネタバレ考察とレビュー

ツイン・ピークス The Return 第2章 ネタバレ考察とレビュー

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