ツイン・ピークス The Return 10 ネタバレ考察とレビュー

Twin Peaks : The Return PART 10

監督／脚本／制作総指揮：デヴィッド・リンチ

脚本／制作総指揮：マーク・フロスト

カイル・マクラクラン

2017年7月16日放送（米国）

①第１０章　ストーリー覚え書き（ネタバレ）

ツインピークス郊外のトレーラーハウス。訪ねてきたリチャードに、ミリアムは事故を見た、通報の手紙を保安官事務所に出したと言う。

リチャードはミリアムを殴って昏倒させ、ガスを出す。

リチャードはチャドに電話して、ミリアムの手紙を握り潰すよう伝える。

ファット・トラウト・トレーラー・ハウス。カールがギターを弾いて「赤い川の谷間(Red River Valley)」を歌っている。

トレーラーの一軒ではスティーブンがベッキーにキレて暴力を振るっている。

「俺に逆らうんじゃねえ！　お前がやったことは全部わかってるんだからな！」

ロドニー・ミッチャムがカジノの帳簿を見ていると、ピンクのコスチューム姿のキャンディがハエを追い、ロドニーの顔をテレビのリモコンでぶん殴る。

流血するロドニー、泣いてうろたえるキャンディ、なだめるブラッドリー。

クーパーは医師の診察を受けている。以前のダギー・ジョーンズと比べると、ずいぶん痩せて筋肉質なクーパーの体にジェイニー・Eは驚く。

酒を飲むロドニー、泣いているキャンディ。

テレビのニュースがスパイクの逮捕を伝える。

インタビューを受けるジェイニー・Eが映り、ロドニーたちはクーパーに気づく。

「あれはミスター・ジャックポットだよな？」

夜。ジェイニー・Eは夫を誘惑。「私って魅力的？」

二人はベッドイン。ダギー！と絶叫するジェイニー・E。

ドクター・アンプとして「大企業の奴ら」をののしるジャコビー。

ネイディーンが夢中になって見ている。彼女の店のショーウインドウでは無音カーテンレールが無音で開閉中。中にはジャコビーの金のシャベルが飾られている。

朝。上機嫌のジェイニー・Eがクーパーを見送る。

ツインピークス保安官事務所では、チャドが郵便配達を待っている。ミリアムの手紙を抜き取るチャド。ルーシーが怪しげに見ている。

ホーン家。腫れた顔でメットをかぶり、椅子に固定されているジョニー・ホーン。

リチャードが金を借りに来る。シルヴィアは「お前なんて孫じゃない」と追い返そうとするが、リチャードは彼女の首を絞めて金庫の番号を聞き出す。

倒れてもがくジョニー。

アイク・ザ・スパイクの逮捕をロジャーから聞くダンカン・トッド。

アンソニー・シンクレアを呼び出す。

「私の敵であるミッチャム兄弟を覚えているか？　彼らの損失の保険は降りない。ダグラス・ジョーンズのせいだと伝えろ」

アルバートとコンスタンスがいい感じ。見守るゴードンとタミー。

アンソニー・シンクレアがカジノへ。

ブラッドリーはキャンディに連れてこいと命じる。だが、キャンディは余計なことを喋ってばかりでなかなか連れてこない。

「何を話してた？」「今は逆転層なのよって。だから明日は暑くなってスモッグが出るはず」

キャンディは行くところがないから、とブラッドリーは兄をなだめる。

アンソニーは数ヶ月前に全焼したホテルの保険金を、ダグラス・ジョーンズが個人的な恨みで阻止していると告げる。

ロドニーは「よくわかった。マーロン・ブランドの気持ちが」

ホテルの部屋で、ゴードンが絵を描いている。シカの角に伸びる手？

ノック。開けると、泣いているローラ・パーマーが！

いや、アルバートだった。「ダイアンが今朝11時13分にこのメールを受け取った。メキシコのサーバーからだ。返信は”ヘイスティングス逮捕。彼らをあの場所へ連れていく”」

ゴードンは、「ハグした時に感じたが……もう少し泳がせよう」

タミーが、ニューヨークの事件に関する写真を持ってくる。

ニューヨークの事件のガラスケースの前に、ダギー・ジョーンズが立っている。

シルヴィアがベンに電話する。「リチャードに全財産取られた。弁償して！」

ベンはビバリーを食事に誘う。

丸太おばさんがホークに電話。

「ホーク…電気がハミングしてる。

山の中や川から聴こえてくる。そして、海と星の間で舞い踊り、月の周りで輝くの。

でも近頃は輝きも消えかけ、残った闇の中には何があるのか。

トルーマン兄弟は、どちらも真の男たち。あなたの兄弟よ。

そのほかにも、良き者たちがあなたのそばにいる。

もうすぐ円が完成する。

時と空間の夢に目を凝らし、耳を傾けて。

まるで川のように溢れ出す。

それであり、それでない。

ホーク、ローラのことよ」

ロードハウス。レベッカ・デル・リオ(Rebakah Rel Rio)の「No Star」。

②第１０章　レビュー

今回は全体に暴力的なムードが漂っています。スティーブンのDVに、リチャードの傍若無人。それに不吉なミッチャム兄弟。

しかし、ピンクのコスチュームの３人娘が奇妙です。とりわけキャンディが、今回は大活躍。

ハエを追ってロドニーをぶん殴り、「もう愛してくれないよね？」とさめざめ泣いたかと思ったら、なんだか気だるそうな態度で、ロドニーの言うことを全然聞かない。謎の女です。

キャンディを演じているのはエイミー・シールズ。

ちなみに、スティーブンとベッキー、ミッチャム兄弟と３人娘、ともに第５章以来の登場です。ジャコビーとネイディーンも。

さらに、アンソニー（トニー）が初登場してクーパーに嘘をついていることを見抜かれるのも第５章でした。これはわざとかな…？

カールを演じるハリー・ディーン・スタントンの歌が聴けます。

歌うのは「赤い川の谷間(Red River Valley)」。アメリカのポピュラーなフォークソングです。インディアンの娘の、白人の男性への悲しい恋を歌っています。

クーパーとジェイニー・Eはついに濡れ場を！　でもやっぱりナオミ・ワッツのおかげでコメディ調ですね。

③第１０章　謎の考察（ネタバレ）

ミリアムは死んだのかな？　シェリーとハイジに愛されるいい人そうでしたが…。リチャード・ホーンの暴走が止まりません。

ツインピークス警察署でずっと嫌な感じを見せてきたチャドですが、ここに来てリチャードとつるんでいることが判明。いよいよ悪い奴になってきました。

シェリーの娘ベッキーと、そのダメそうな夫スティーブン。シェリーの心配通り、スティーブンは最低のDV野郎でした。

クーパーの体に思わず興奮するジェイニー・E。

しかし、誰もダギーとクーパーが別人かも…とは思わないんですね。

アンソニー（トニー）がミッチャム兄弟とつながっていることが判明。

ラッキー７保険会社における彼の不正とは、この関係だったようです。

いろんな人に命を狙われるクーパー。今度はミッチャム兄弟が敵になってしまいました。

ネイディーンといえば無音カーテンレール。旧シリーズで、彼女はずっとその発明に夢中になり、エドをうんざりさせていました。なんと！彼女は発明に成功したようです。

リチャードがシルヴィアの孫ということは、彼はやはりオードリーの息子なんでしょう。今回の流れを見ても、まさかジョニーの子ではなさそうなので。

しかし、そうなると彼はリチャード・ホーンなので、オードリーは誰かと結婚して彼を産んだわけではない…ということになります。

前回の、病院でのクーパーの接触というのが気になる…。まさか、クーパー／ダギー（ボブ）とオードリーの子？

そういえば、第１章のしょっぱなの巨人のヒントが「リチャードとリンダ」なんですよね…。

ゴードンがローラの幻を見るのはなんでしょうか。彼の描いていた鹿？のイラストも謎です。

ダイアンがダギー・ジョーンズと通じている可能性が出てきました。

丸太おばさんも久しぶりに登場。

「電気」はツインピークスの重要な要素。暗がりに浮かぶ信号機や電柱、電線、そして電気音のノイズといったものが描かれてきました。

映画版のコンビニエンス・ストアの上には、「電気工(Erectrician)」というキャラクターも登場していました。

レベッカ・デル・リオ(Rebakah Rel Rio)はカリフォルニアを本拠に活動するメキシコ系のシンガーソングライター。「マルホランド・ドライブ」の「クラブ・シレンシオ」のシーンに「ロサンゼルスの泣き女」として登場して、ロイ・オービソンの「Crying」をスペイン語アカペラで「llorando」として歌い上げました。

「No Star」はデヴィッド・リンチとジョン・ネフ、レベッカ・デル・リオの３人による共作で、彼女の2011年のアルバムに収録されています。

今夜のレベッカのドレスの模様は、ブラックロッジですね。