薄桜鬼・現パロ【Love the Spiral】(土方√)#4 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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設定無視、キャラ崩壊などご注意を。


それでもよろしければどうぞ。







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土方√

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<ヒロイン視点>




私は着替えてからも何だかさっきの土方さんとのやりとりが頭から離れなくて、ぼんやりとしていた。




あれ?


何か忘れてる…。



今日は午後から試合のため、早めに昼食の準備を始めること。


それに気付いて慌てて時計を見る。





「っ!!!やっばい!!!」


私は慌てて部屋から飛び出そうとしてドアノブを掴んだとき、
コンコンとノックする音が扉越しに聞こえた。


すぐさま開ければそこには驚いて目を丸くした千鶴ちゃんがいて。


「ごめん!!!私お昼の用意忘れてた!!!」


「あ、大丈夫ですよ」


「へ?」


「土方先生が川で遊んでた皆に昼食の準備を手伝うように言われて。
皆で準備もしましたし。たまには千亜さんも休んで下さいね」


「あ…、ありがと…」


私がこうなることを予測してか、土方さんは気を遣ってくれたみたいだ。


身体から力が抜けるのと一緒にひとつ息を吐いた。



「さっきは大丈夫でした?千亜さん。どこか強くぶつけたり…」


「あ、うん。それは大丈夫」


「私たちも沖田先輩を止めれなくてすみませんでした」

申し訳なさそうに頭を下げる千鶴ちゃんに「本当に大丈夫だから」と声をかける。


「でも…!でも!まさか土方先生がお姫様抱っこしてくれるなんて思いませんでした!!」

途端に千鶴ちゃんの目がキラキラとし出して、私はうろたえる。


「ち、千鶴ちゃんでもきっと土方さんは同じように…」


「しないと思います!!!何か大人な二人って感じで私うっとりしちゃいました!」

千鶴ちゃんの反応に乾いた笑いを浮かべながら、もうすぐお昼なのを確認して、
濡れた服を洗濯しようと部屋を出た。









洗濯場に来て洗濯機にセットする。


これで出かける前に干せば大丈夫そう。


目の前の窓から青々とした緑の広がる山肌を一度見やって、小さく息を吐いた。


そこから立ち去ろうとした時、左之が目の前に現れた。




「左之…」


「よう。総司に川に投げられたらしいな」

からかうように笑いながら私に声をかけてくる。


「ケータイはどうした?」


「あ、大丈夫。ちょうど部屋に置いてたから…」

後ろめいたものがあるわけじゃないのに、視線を合わせ辛い。


「どうした?どっか痛かったりするのか?」

顔を覗き込まれて、一瞬息を飲んだ。


「ううん、平気。大丈夫。もうお昼の時間だよね?行こ」


「おう」




顔を見られないように左之の少し前を歩く。

さっきの土方さんとのやりとりを思い出せば、私の顔はすぐ赤くなってしまうだろうから。




食堂に着けばまだ土方さんは来てなかったみたいで。

先にきていた部員たちが左之に向かって挨拶をする。



近い場所にいた藤堂くんに「ご飯の用意ありがと」と声をかければ、
「俺達の方こそスミマセン」って頭を下げてくれた。

「大丈夫だよ」と応えながらその様が可愛くて思わず笑みが浮かぶ。



私と千鶴ちゃんは入口近くの炊飯器やお鍋に近い場所に座っている。

この場所で良かったと今日は心底思った。


「あれ?もうご飯まで?」


「はい、午前はお休みでしたし、このくらい自分達でも出来ますから」

そう笑う千鶴ちゃんに私も笑顔で応える。

合宿半ばになって千鶴ちゃんも合宿でのマネージャーとしての逞しさが出てきたみたいで嬉しかった。




皆が一斉に入口の方へと視線を向ける。

土方さんが入ってきたようで皆が挨拶をする。

さっきのことがあって、私は視線を上げることは出来なかった。



「…おい」

掛けられた声にハッとして顔を上げれば、そこにはいつもの土方さんが私を見下ろしていた。


「…はい」


「あれから何ともないか」


「はい…、大丈夫です」


「午後からどうする?」

気遣うように掛けられた言葉に姿勢を正した。


「行きます!試合見させてください」


「そうか」

口角を上げた土方さんは私の頭をぽんと撫でた。

そして部員に向かって口を開く。


「お前ら、高橋も試合を見に行くぞ。勝つためにもしっかり食べておけよ」


「「「はい!!!」」」


気合の入った部員たちの声に私は思わず笑ってしまった。



自然と土方さんを見上げれば土方さんも目を細めて笑っていて、
何だか胸の奥で温かいものが広がる感覚がくすぐったく思えた。