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土方√
#1 #2
手を止めればバスタオルの開いた視界から高橋と視線が絡まった。
頬を少し染めて、恥ずかしげな目が俺を見ている。
「ガキどもの前でそんな姿見せるんじゃねぇ…。そんな顔するな…」
「…へ…?」
「好きだ」
高橋に自分の想いを告げた。
目を丸くして固まるアイツは俺がそんな想いを持っているなんざ、微塵にも思ってなかったんだろうな。
鳩が豆鉄砲くらったような顔しやがって。
少しばかり込み上げてくる笑いは想いを告げたという安堵なのか、…自嘲なのか。
俺はその誘うような口元に自分のを寄せようとすれば、
突然耳に飛び込んできた高橋が濡れることになった元凶たちの声。
途端に理性が立ちふさがり、俺は思わず舌打ちをした。
一つ息を吐き、高橋が頭に被っていたバスタオルを下ろして、胸元を隠すように肩にかけてやる。
視線を合わせればそこには明らかに戸惑いを持った瞳があって。
俺は視線を外して口を開く。
「総司たちが帰って来たな」
思わず取ってしまった手はそのままにドアの外に出る。
『触れたい』と思ってしまった俺はあいつらとは変わらないガキってことだな。
胸の内で自嘲する。
「俺は玄関へ行って来るから、着替えて来い」
そう言えば高橋は小さく頷いた。
その様が愛おしく思えて自然と口元に浮かんだ笑み。
俺は踵を返して玄関へと向かった。
そして総司たちに昼飯の用意を手伝うように言いつけ、この状況に至るというわけだ。
気付けば煙草も大分短くなっている。
そんな自分を小さく笑い、煙草を咥えた。
足音が近づいてきて廊下の方に視線をやれば、顔を出したのは原田だった。
「なぁ、土方さん」
「…何だ」
「さっきの騒ぎは何だったんだ?俺は寝てて気付くのが遅かったんだが」
「何でもねぇよ。総司たちが川で暴れただけだ」
「…そうか。じゃあな」
「ああ」
俺は高橋が総司に川に投げられたことは言わなかった。
言えば原田は真っ先に高橋の部屋に向かうだろうからな。
自分の中で自然と湧き上がった独占欲のようなもの。
思えば俺が高橋に惚れるきっかけになったのは原田が要因だったな。
ぼんやりとあの時のことを思い出す。
あの後と同じようにしばらくは高橋にまた避けられるんだろうか。
まぁ、それならそれで仕方ない。
諦めるつもりは更々ねぇが。
煙草を咥え、深くまで吸い込む。
…総司の奴、ちゃんと廊下拭いたか見にいかねぇとな。
肺の中が空っぽになるように煙を吐き出しながら、灰皿で煙草を揉み消した。