国道296号の起点になる匝瑳市の西の方から多古町あたりにかけての周囲には、わりと小規模な城郭がたくさん残っている。
一般にはほとんど知られておらず、町を挙げて中世城郭の整備に取り組んでいる多古町を別にすれば発掘調査や整備の手が入っていないらしいところも多いが、ざっと挙げられるだけでもこれだけあり、けっこうな密集地帯になっている。
範囲はワタシの独断と偏見でふ😅
太字は説明板などが整備され一般の観光客でも気軽に訪問できそうな城
・土橋城 多古町 ※入れるのは天之御中主命神社境内
・久保城 多古町
・多古城 多古町
・志摩城 多古町
・分城 多古町 ※妙見神社あり
・並木城 多古町
・中城 多古町
・物見台城 多古町 ※説明板周囲が畑や民家
・土やぐら城 多古町 ※入れるのは主郭隣の櫓台と堀跡
・大堀城 匝瑳市
・吉田城 匝瑳市 ※星宮神社あり
・久方城 匝瑳市
・寒風城 横芝光町
・新善光寺館 横芝光町
・亀崎城 匝瑳市
・田久保城 匝瑳市 ※稲荷神社あり
・新村城 匝瑳市
・飯倉城 匝瑳市
・米倉城 匝瑳市
・長岡城 匝瑳市
・飯高城 匝瑳市 ※堂宇や境内、参道等以外立入禁止
・飯高砦 匝瑳市
・飯高天神砦 匝瑳市
・大浦城 匝瑳市
・篠本城 横芝光町 ※遺構消滅
・小川台城 横芝光町
・岩室砦 横芝光町
・台城 横芝光町 ※星宮神社あり、城名不明
・小田部城 横芝光町 ※星宮神社あり
・芝崎城(田中城) 横芝光町
・坂田城 横芝光町
(紫色で示した城は記事あり。随時追加)
狭い地域に固まっていること以外の共通点を見出すのはなかなか難しいし詳細が不明な城も多いが、かつて多古町あたりにあった千田荘が鎌倉時代からの豪族千葉氏の拠点であったことから、これらの城も千葉氏との関係が深いと考えられているとのこと。岩室砦のように千葉一族から分家した武士が居城としていた記録が見えるところもあるし、千葉氏が守護神として祀っていた妙見神社、星宮神社さらには稲荷神社が城内や近くにある城もいくつかあって、千葉氏との関係を物語っているのだろう。
★立地
立地でいうと、舌状台地になっているところの先端とか段丘側面など急斜面を城内に取り込み、上に曲輪を配置しているところが多い。丘城という分類になるのだろうか。
このあたりは川沿いの広い平地と比高30メートルぐらいの平坦な台地が広がり、間を谷戸が複雑に切れ込んでいるような場所が多い。この特徴をしっかり築城に活かしていることがうかがえる。特に舌状台地の先端にある大堀城は、城内が猛烈なヤブで郭内の見通しは利かないが北端の奥城の縁まで行けば土塁の外側が急斜面で切れ落ちていて、防御力を高めるために段丘を取り込んだ様子を見ることができる。

★現状
これらの城のうち、町を挙げて中世城郭の整備とPRに取り組んでいる多古町にある城は、整備が行き届いているところが多く、安心して訪問できる。なかでも道の駅から南に1kmほどの並木城は規模もこのあたりの城では大きく、畑の脇を通る見学順路にウッドチップが敷かれるなど訪問者への気遣いも随所にうかがわれる。このあたりでは随一の名城だろう。
匝瑳市や横芝光町にある城は整備が手つかずのところが目立ち、ヤブの重囲で身動きが取れないような城もある。また集落の裏山のような場所で入城を憚られる城も多く、神経を使うところ。
ほとんどが超マイナーな部類の城だろうが、御城印が作られた城がいくつかある。
それに匝瑳市などは保存会が発足しPR活動に力を入れ始めたようで、ここに挙げたような超マイナーな城も日の目を見ることになるか、注目だろう。
(2024年4月19日 記)