【夕顔410-3】古文単語「たちかふ」 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【夕顔410-3】古文単語「たちかふ」

重要古語の記事では

源氏物語イラスト訳で出てきた古文の

単語を1つピックアップしています♪

源氏物語イラスト訳 重要古語ラブラブ 

 

古文単語は、

チェックボックス1.とにかく丸暗記して覚える語

チェックボックス2.漢字イメージで覚える語

チェックボックス3.文脈判断で決める語

があります。

 

今回は漢字のイメージで覚える古語です♪

 

【今回の源氏物語】

使帰りけれ小君して小袿返りばかり聞こえさせたり

蝉の羽たちかへける夏衣
 かへす泣かけり

   サゲサゲ↓

今回のイラスト訳はこちら

 

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今回出てきた古文単語
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■【御―】…尊敬の接頭語

■【使者】…光源氏からの使者

■【帰り】…ラ行四段動詞「帰る」連用形

■【に】…完了の助動詞「ぬ」連用形

■【けれ】…過去の助動詞「けり」已然形

■【ど】…逆接確定条件の接続助詞

■【小君(こぎみ)】…空蝉の弟

■【して】…使役の格助詞

■【小袿(こうちき)】…女性の平服。ここでは、空蝉が光源氏の夜這いから逃れる時脱ぎ捨てていった着物

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【御―】…尊敬の接頭語

■【返り】…返事。ここでは光源氏への返歌

■【ばかり】…限定の副助詞

■【は】…とりたての係助詞

■【聞こえさせ】…サ行下二段動詞「聞こえさす」連用形

※【聞こえさす】…「言ふ」の謙譲(作者⇒光源氏)

■【たり】…完了の助動詞「たり」終止形

■【蝉(せみ)の羽(は)】…蝉の羽のように、薄く軽い衣服

■【たちかへ】…ハ行下二段動詞「たちかふ」連用形

※【たちかふ】…布を裁断して衣服を作り替える

■【て】…単純接続の接続助詞

■【ける】…過去の助動詞「けり」連体形

■【夏衣(なつごろも)】…夏に着る衣服。薄くて涼しい和歌用語

■【かへす】…返す。つき返す

■【を】…対象の格助詞

■【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【も】…強意の係助詞

■【ねは泣く】…「ねを泣く」の強調表現

※【ねを泣く】…声を出して泣く

※【は】…強意の係助詞

■【れ】…自発の助動詞「る」連用形

■【けり】…詠嘆の助動詞「けり」終止形

 

今回は「れ」にも注意しましょ♪

「重要古語一覧」もご参照ください。
 

 

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☆ 本日の古文単語「たちかふ」 ☆

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御使、帰りにけれど、小君して、小袿の御返りばかりは聞こえさせたり。

蝉の羽もたちかへてける夏衣
 かへすを見てもねは泣かれけり」

 

問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。

 

1.この小袿は蝉の抜け殻のようなはかない夏衣なので、たとえ返されても

 

2.蝉の羽を織り込んで作った夏衣は、返してもらう意味がありません。

 

3.あなた様から返された夏衣は、蝉の羽という色目の襲で作りかえてしまいました。

 

4.蝉の羽のような薄くて涼しい夏衣を裏返して見ると

 

5.蝉の羽のような薄い夏衣を作り替えた今頃になって小袿を返されても

 

ゲッソリびっくり滝汗チーン

 

蝉の羽月というのは

旧暦6月の呼称です。

 

 

今日もミンミン蝉が鳴いてましたが…

滝汗

 

まさに今の季節にピッタリ!!

 

 

今回のポイント「たちかふ」は、

裁ち替ふ」と書くと、イメージがつかめますね。

ニヤリ

 

【たちかふ(裁ち替ふ)

【他動詞:ハ行下二段活用

…布を裁断して衣服を作り替える

 

 *『全訳古語例解辞典(小学館)』より

   

 

ちなみに…

襲(かさね)の色目にも「蝉の羽」があります。

 

【蝉の羽(せみのは)

【連語】

①蝉の羽のように、薄く軽い衣服

②襲(かさね)の色目(=衣服を重ねて着る場合の、配色の決まり)の名。表は檜皮(ひわだ)色、裏は青

 

 *『全訳古語例解辞典(小学館)』より

   

表は檜皮、裏は青という組み合わせは…

 

こんな感じかな?

キョロキョロ

 

 

蝉(セミ)の鳴き出す季節――

 

 

蝉の羽を思わせる薄衣を身につける月――

 

 

そういう「蝉の羽」というフレーズから、

裁ち替へてける」(=作り替えてしまった

という動詞を持ってきて、

もう夏の季節が過ぎてしまったことを暗示しています。

 

 

「蝉の羽」

①薄くて涼しい夏衣 をさすのか

②襲の色目 をさすのかは

解釈の分かれるところだと思いますが

 

 

いずれにせよ、こうした「夏衣」にかかわる縁語を用いて

夏の季節の思い出が過ぎてしまったことを

ほのめかしている、優雅な和歌でございます。

 

 

【夏衣(なつごろも)

【名詞:和歌用語】

①夏に着る衣服。薄くて涼しい

②【枕詞】夏の衣はひとへで薄いところから、「ひとへ」「うすし」「かとり」にかかる。また、「衣」の縁語の「着る」「裁つ」「うら」などにかかる

 

 *『全訳古語例解辞典(小学館)』より

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【答え】…

   

 

【夕顔(第9章)】の一気読みはこちら⇒

【源氏物語イラスト訳】の冒頭はこちら⇒

 

【今回の源氏物語】

使帰りけれ小君して小袿返りばかり聞こえさせたり

蝉の羽たちかへける夏衣
 かへす泣かけり


 

過去記事リンク

おほん(御)

にけり   にけり②

ぬ(助動詞)

ど・ども(接続助詞)

小君

して(識別)

小袿(こうちき)

の(格助詞)

かへし(返し)

ばかり

は(係助詞)

きこえさす

たり(助動詞)

て(識別)

つ(助動詞)

を(格・接続助詞)

見る

て(接続助詞)

ねを泣く・ねのみ泣く

れ・られ

けり(助動詞)

 

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