【夕顔193-3】古文単語「大殿油参る」
さて今回は、古文常識レベルの単語☆
分かるかなぁ?
源氏物語イラスト訳 重要古語
【古文単語の覚え方】
1.現代語から想像して覚える
2.漢字のイメージで覚える
3.ゴロを利用して丸覚えする
の3つのどれかで覚えます。
今回は、【漢字のイメージ】で覚えましょ♪
【今回の源氏物語】
格子とく下ろしたまひて、大殿油参らせて、「名残りなくなりにたる御ありさまにて、なほ心のうちの隔て残したまへるなむつらき」と、恨みたまふ。
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今回出てきた古文単語
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■【格子(かうし)】…格子戸
■【とく】…さっそく。早くに
■【下ろし】…サ行四段動詞「下ろす」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【名残りなく】…ク活用形容詞「名残りなし」連用形
※【名残(なご)りなし】…すっかり
■【なり】…ラ行四段動詞「なる」連用形
■【に】…完了の助動詞「ぬ」連用形
■【たる】…存続の助動詞「たり」連体形
■【御―】…尊敬の接頭語
■【ありさま】…ようす
■【に】…断定の助動詞「なり」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【なほ】…そうはいってもやはり
■【心】…心。気持ち
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【うち】…中
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【隔(へだ)て】…隠し立て
■【残し】…サ行四段動詞「残す」連用形
■【たまへる】…~ていらっしゃる
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(光源氏⇒夕顔)
※【る】…存続の助動詞「り」連体形
■【なむ】…強意の係助詞
■【つらき】…ク活用形容詞「つらし」連体形
※【つらし】…薄情だ
■【と】…引用の格助詞
■【恨(うら)み】…マ行上二段動詞「恨む」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◇ 今回は「にたり」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「大殿油」 ☆
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格子とく下ろしたまひて、大殿油参らせて、「名残りなくなりにたる御ありさまにて、なほ心のうちの隔て残したまへるなむつらき」と、恨みたまふ。
問)傍線部の意味として、最も適当なものを1つ選べ。
1.女が大殿油を取りに行って
2.女に大殿油を描かせなさって
3.光源氏が大殿油にお行きなさって
4.光源氏が大殿油をつけさせて
5.女房に大殿油へ参らせなさって
チョベリグ――
じぇじぇじぇ――
…ご存じですか?
ひと昔前に流行った言葉です。
マジ卍――
…こ、これは――?
現在フツーに使っていても、
あと1000年、2000年後に、同じように使うでしょうか。
…(゚Д゚≡゚Д゚)…?
源氏物語に出て来る言葉は、
1000年も前の言葉です。。。
今と同じ意味内容だと考えるほうが、おかしいですよね。
(ㆁωㆁ*)
今回出て来た「大殿油」☆
今とは異なる照明環境の中、
なじんで使われた文化的用語です。
(σ・∀・)σ
【大殿油(おほとのあぶら・おほとなぶら)】
【名詞】
…宮中や貴族の御殿の「灯台(とうだい)」にともす、油を用いた灯火
*Weblio古語辞典より
そして、この「大殿油」は、どうするものなのか…?
【大殿油 参る(おほとなぶら まゐる)】
【大殿油 参らす(おほとなぶら まゐらす)】
灯火(照明)っていうのは、
基本的に、明かりをつけるものですよね。
明かりは、暗がりの中を、見えるようにするためにつけます。
特に、貴人のためにつけられることが多いのが
平安王朝文学の特徴です。
【大殿油参る(おほとなぶらまゐる)】
【連語】
…御殿の灯火をおつけになる
(*「参る」はこの場合、尊敬語)
また、貴人は、自分で灯火をつけたりしません。
従者につけさせるのです。
【大殿油参らす(おほとなぶらまゐらす)】
【連語】
…御殿の灯火をつけさせる
*Weblio古語辞典より
光源氏は、
夕顔が怖がらないように、
そばにいる従者(女房)に、大殿油の灯火を
つけさせたんですね!
正解…4
格子とく下ろしたまひて、大殿油参らせて、「名残りなくなりにたる御ありさまにて、なほ心のうちの隔て残したまへるなむつらき」と、恨みたまふ。
● 過去記事リンク
■なほ
■たまへり
■つらし
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