【夕顔52-3】古文単語「なごり」 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【夕顔52-3】古文単語「なごり」

源氏物語イラスト訳重要古語ですラブラブ 

 

古文単語でよく出題されるのは、


チェックボックス1.古典特有語

   …現代にない古語。


チェックボックス2.古今異義語

   …現代と意味の異なる古語。


チェックボックス3.死語的現代ワード

   …受験生世代はほぼほぼ使わない語。



…ですが、今回の古語は、

現代でもよく使う常識的抽象語☆

 

はい、ではいってみましょぉ~♪

٩(๑•̀∇•́๑)و

 

夕顔52のイラスト訳はこちら

 

【今回の源氏物語】

「…だつものかごとばかり引きかけかしづくはべるなめり。昨日、夕日なごりなくさし入りはべり書くとてはべり、顔こそいとよくはべりしか。…」

 

 

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今回出てきた古文単語
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■【褶(しびら)】…裳(も)の代わりの略礼装

■【―だつ】…~のようだ。~めく

■【もの】…ここでは、着物のこと

■【かごとばかり】…ほんの申し訳程度

※【かごと】…言い訳。不平

※【ばかり】…程度の副助詞

■【引きかけ】…ちょっと羽織る。引っかける

■【て】…単純接続の接続助詞

■【かしづく】…大切に養育する。お世話する

■【人】…ここでは、女主人のこと

■【はべる】…ラ変動詞「はべり」の連体形

※【はべり】…「をり」の丁寧惟光⇒光源氏

■【なめり】…~であるようだ

※【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便の無表記

※【めり】…推定の助動詞「めり」の終止形

■【夕日】…夕陽。夕方の日差し

■【の】…主格の格助詞

■【なごりなく】…ク活用形容詞「なごりなし」の連用形

※【なごりなし】…跡形もない。余すところない

■【さし入る】…差し込む

■【て】…単純接続の接続助詞

■【はべり】…丁寧の補助動詞惟光⇒光源氏

■【し】…過去の助動詞「き」の連体形

■【に】…順接(単純)の接続助詞

■【文(ふみ)】…手紙

■【とて】…~しようとして。~ということで

■【ゐ】…ワ行上一段動詞「ゐる」の連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【はべり】…丁寧の補助動詞惟光⇒光源氏

■【し】…過去の助動詞「き」の連体形

■【人】…ここでは、女主人のこと

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【こそ】…強意の係助詞

■【いと】…とても

■【よく】…ク活用形容詞「良し」の連用形

■【はべり】…丁寧の補助動詞惟光⇒光源氏

■【しか】…過去の助動詞「き」の已然形

   アップ

単語の意味文法的説明です。

「重要古語一覧」もご参照ください。
 

 

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今回の古文単語 「なごり」 ☆

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「なごり」というと……

 

 

…が、まっさきに思い浮かぶ、

そんな世代の私でございます。。。

Oo。。( ̄¬ ̄*)

 

 

【なごり(名残)】

【名詞】

 

①余韻。影響。なごり

②心残り。なごり

③(心残りな)最後の別れ

④遺児。忘れ形見。遺産

 

 (『学研全訳古語辞典』(Weblio古語辞典)より)

  

 

 

現代でもよく遣う「なごり」☆

 

漢字で「名残」と書いてあっても読めますよね~!

 

漢検3級レベルだったかな?

(σ・∀・)σ

 

 

 

「なごり」というのは、現代同様、

 

物事が終わっても、あとに残っている

気分や気配、影響などのこと。

 

 

古文では「余波」と書いて、

「なごり」と読ませたりもします。

 

①の意味が、まさにこの語源です。

(▰˘◡˘▰)

 

 

 

で、現在よく使うほうは…

 

人と別れたあとに残っている別れを惜しむ思い

といった「名残」でございます。

 

 

「なごり雪」の「なごり」も、

恋人と別れを惜しむ列車での風景が

頭にイメージ浮かびますよね~!

(●´ェ`●)

 

 

 

 

ではここで、大学入試レベルの問題☆

    サゲサゲ↓   サゲサゲ↓

「…褶だつもの、かことばかり引きかけて、かしづく人はべるなめり。
昨日、夕日のなごりなくさし入りてはべりしに、文書くとてゐてはべりし人の、顔こそいとよくはべりしか。…」


問)傍線部の様子の説明として最も適当なものを選べ。

1.夕日がかすかにさし込んでいる様子。

2.夕日が余すところなくさし込んでいる様子。


3.夕日が跡形もなく消え去っていく様子。


4.夕日がほんの一瞬で消え去っていく様子。

 

5.夕日がほんのちょっと入ってきた様子。  

 

 

「なごり」という語は重要古語として覚えていても、

 

「なごりなし」という古語をきちんと理解している

受験生は少ないんじゃないかな?

 

 

【なごりなし(名残無し)】

【形容詞:ク活用】

 

①あとに何も残らない。跡形もない

②未練がない。執着しない

 

 (『学研全訳古語辞典』(Weblio古語辞典)より)

  

 

えっ?

夕日が「跡形もない」――?

 

じゃ、消えちゃうってコト?

(°Д°;≡°Д°;)

 

 

…な~んて、

下手に辞書的意味で解決しようとすると

文脈判断間違っちゃいますよねー!

 

 

お気をつけあそばせ☆

(▰˘◡˘▰)

 

 

 

1.夕日がかすかに(△)さし込んでいる様子。

2.夕日が余すところなくさし込んでいる様子。


3.夕日が跡形もなく消え去っていく(△)様子。


4.夕日がほんの一瞬で(△)消え去っていく(△)様子。

 

5.夕日がほんのちょっと(△)入ってきた様子。  

 

 

チュー チュー チュー

 

 

 

 

 

 

正解……

 

 

 

【空蝉(第3章)】の一気読みはこちら⇒

【源氏物語イラスト訳】の冒頭はこちら⇒

 

【今回の源氏物語】

「…だつものかごとばかり引きかけかしづくはべるなめり。昨日、夕日なごりなくさし入りはべり書くとてはべり、顔こそいとよくはべりしか。…」


 

過去記事リンク

褶(しびら)

―だつ(接尾語)

ばかり

引き~(接頭語)

て(接続助詞)

かしづく

人②

はべり

なめり

の(格助詞)

し(識別)

に(助詞)

ふみ(文)

ゐる(居る)

き(助動詞)

こそ

いと

よし(良し)

 

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